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会計税務ニュース

【韓国の会計・税務レポート】2018年度国税行政運営方案

去る2018年1月13日、国税庁は政府世宗庁舎で2018年度全国税務官署長会議を開催しました。全国税務官署長等314名が参加する中、「国税行政運営方案」を確定・発表し、重点推進課題が成功裏に完遂できるよう念を押しました。この日に発表された「国税行政運営方案」には、‘国民と共に行う公正な税政’を具現するため、ハン・スンヒェ国税庁長が新年の挨拶を通じて明らかにした税政運営方向を具体的に履行するための実践方案が含まれています。

 

以下では、2018年度税制運営方向及び推進課題を紹介します。

 

1.『開かれた税政』推進を通じた自発的な誠実納税文化の定着

 

国税庁は、納税者と共に行う『開かれた税政』を積極的に推進し、事前誠実申告支援及び納税者の自発的税金申告・納付が好循環する税制システムを構築する予定です。

 

(1) ビッグデータシステムの構築を通じた誠実納税体系の確立:

ビッグデータを活用した、個人に合わせた申告案内等サービスの品質を高め、調査対象選定・税源動向分析等において税政の科学化を推進

 

(2) 納税者の誠実申告に役立つ情報の提供及びモバイルサービスの拡大:

納税者の類型別に取引・支出パターン等ビッグデータを分析し、具体的かつ理解し易い案内資料を提供し、モバイル電子納付、簡便決済サービスの拡大等により税金納付の利便性を高める。

 

(3)国民の目線に合わせた国税情報の公開範囲の画期的拡大:

政策樹立・執行、議定活動等のため関連機関と国会で課税情報を要請する場合、適法な範囲内で最大限提供し、外部所要に応じる国税統計項目の発掘のため、「国税統計開発TF」を設置

 

 

2.慢性的・知能的脱税に厳正対応して公平課税を具現

 

慢性的脱税は、優先的に課税インフラ拡充等を通じて積極的に対応し、大企業・大金持ち等の知能的脱税には、調査力を集中し厳正に対処していく予定です。

 

(1)  慢性的脱税は、課税インフラ拡充等により徹底的に遮断:

最近問題になっている仮想通貨に対する課税基準を備え、ブログ・SNS等オンライン未登録事業行為に対する点検を強化し、小規模事業者で管理の死角地帯にある法人転換事業者と個人類似法人等に対する管理及び点検を強化

 

(2)  大企業脱税・域外脱税等知能的・変則的脱税に調査力を集中:

大企業・社主一家の借名財産の運営、企業資金の流出、海外現地法人との移転価格操作等の脱漏行為を精密に検証し、租税回避先を経由する迂回投資や基地会社(base company)を利用した秘密資金の調整、海外子会社を利用した変法贈与等の域外脱税及び多国籍企業の租税回避に対する対応を強化

 

(3)  高額・常習滞納者の財産隠匿行為に対し厳正対応:

外国人身分詐称による滞納処分回避者、名義偽装嫌疑のある豪華生活事業者等の財産隠匿嫌疑者に対しては、追跡調査を通じて隠匿財産を積極的に回収

 

 

3.税政執行手続きの改善を通じた納税者権益保護の強化

 

税務調査手続きの公正性及び客観性を高め、事後検証等申告検証手続き改善及び税制執行過程での納税者権益保護強化等を積極的に推進する予定です。

 

(1)  税務調査の手続的公正性及び透明性を高める:

非定期調査の選定・執行に対し外部委員を中心にした納税者保護委員会の牽制・監督機能を強化し、非定期調査を主に実施するソウル地方国税庁調査4局等の人員を縮小させ、非定期調査の比重も段階的に縮小運営

 

(2)  事後検証等申告検証手続きの改善及び管理の強化

事後検証、企画点検等申告検証の対象及び範囲を訓令に明確に規定し、包括的帳簿提出を要求する等納税者の権利侵害の余地がないよう、手続的統制を強化

 

(3)  税政執行過程での納税者権益保護の強化:

納税者の権益をより一層保護するため、納税者が再審請求できるような納税者保護委員会を国税庁に新設し、外部委員・外部納税者保護人員を拡大

 

 

4.納税者の不便事項を解決するための‘傾聴と疎通の文化’を拡散

 

内・外部顧客との疎通を通じて現場の問題を実質的に解決し、雇用創出企業・零細事業者・低所得層に対する税政次元の支援を拡大していく計画です。

(1)  税政現場の問題解決のための実質的・上向き式疎通の強化:

新設された「現場疎通チーム」の主導の下で現場の改善意見を常に収集し、一線で共感できる革新課題を持続的に発掘・改善し、上向き式疎通チャネルを拡大して疎通履行状況を迅速に点検・共有し、国民が体感できる実質的変化を創出

 

(2) 納税者の雇用創出を支援し、不便事項を迅速に解決:

雇用創出中小企業を税務調査対象から除外するか、或いは猶予し、納付延長、徴収猶予等税政支援も強化し、職能団体別需要に合わせた疎通や支援を拡大し、小商人や工人の創業支援も強化

 

(3)  働く庶民・青年層の困難な部分を解消するための福祉税政の拡大:

拡大された勤労・子女奨励金の需給対象者に奨励金を支障を来すことなく支払い、高齢者・特殊職従事者等脆弱階層を積極的に発掘・支援し、青年層の困難な経済状況を勘案して学資金償還基準を引上げ、徴収猶予を最大限実施

 

 

5.国税公務員の清廉性及び力量を高め、国民の信頼を確保

 

市民参与の拡大、関連団体との協業等を通じて清い公職文化を定着させ、国税公務員の専門力量を高めていくことにしました。

 

(1)  清く、かつ正大な公職文化の定着

職員の清廉度を常時モニタリングし、腐敗脆弱要因等を評価・フィードバックする‘市民監査官’制度を導入し、退職者との私的接触申告制度を新設し、税務社会との協業等を通じて清廉な公職文化を定着させ、悪性コンプレイン等に対し職員を保護するための法律相談、訴訟支援等を積極的に実施

 

(2) 創意的に働くことのできる業務環境の造成

業務評価指標を核心指標中心に単純化し、精誠評価の比重を拡大し、成果優秀者に対する予算上のインセンティブを拡大

 

(3) 体系的な人員管理による専門力量の向上:

成果と力量中心の公正な人事文化を定着させ、訟務・ビッグデータ・統計分野等で外部専門家の採用を拡大し、循環補職制度から脱した‘分野別専門補職制度’を拡大して施行

 

なお、国税庁はこの日、本会議に先立ち、『納税者権利憲章』を改定して対内外に公布しており、徹底的に遵守することを確認する宣布式も開催しました。1996年に制定された納税者権利憲章は、2007年に小幅改定された以降10年間改定されませんでしたが、昨年に研究役務と国税行政フォーラムを通じて全面改定することになりました。改定された納税者権利憲章は、納税者が理解し易く、具体的で簡略な表現が使われており、税務調査進行段階別に再構成されています。

 

- 以上 -