【韓国の会計・税務レポート】2018年税法改正の主要内容
公平かつ正義なる租税政策の運営を目標に、所得分配の改善及び持続可能な成長等に重点をおいた2018年税法改正が推進されてきました。去る2月14日、税法改正の後続措置である施行規則が立法予告されたことによって、2018年税法改正もほぼ完結した状況です。
以下では、2018年税法改正のうち、主な内容を幾つかご紹介します。
1.加算税・加算金・過料の納税者負担の緩和
延滞貸付金利の引下げ等を勘案して納税者負担を緩和し、納付遅延に対する行政上制裁を一元化するため、加算税、加算金、過料率が引下げられます。
区分 |
現況 |
改正 |
① 納付関連加算税(納付告知前): |
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納付・還付不誠実 |
未納期間1日当り0.03% |
未納期間1日当り0.025% |
源泉徴収納付不誠実 |
3%+未納期間1日当り0.03% |
3%+未納期間1日当り0.025% |
② 滞納加算金(納付告知後) |
3%+1ヶ月ごとに1.2% |
3%+1ヶ月ごとに0.75% |
③ 付加価値税加算税: |
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クレジットカード売上伝票未提出 |
供給価額の1% |
供給価額の0.5% |
電子税金計算書転送不誠実 |
遅延転送:供給価額の0.5% 未転送:供給価額の1% |
遅延転送:供給価額の0.3% 未転送:供給価額の0.5% |
④ 現金領収証発給違反過料 |
取引代金の50% |
取引代金の20% |
2.連結法人と外国法人の繰越欠損金控除限度の調整
一般法人、連結法人、外国法人間の課税衡平性を高めるため、2019年1月1日以降開始する事業年度からは、連結法人と外国法人の繰越欠損金の控除限度が縮小されます。
区分 |
現況 |
改正 |
一般法人 |
-2018年帰属:各事業年度所得の70% -2019年帰属:各事業年度所得の60% |
(同左) |
連結法人 |
当期連結所得個別帰属額の80% |
当期連結所得個別帰属額の60% |
外国法人 |
各事業年度所得の80% |
各事業年度所得の60% |
3.中小企業の交際費最低限税適用の排除
税額控除、税額減免等の租税優遇を利用する場合、租税負担の衡平性を高めるため、最小限の税金を納付することと規定(最低限税)をおいています。
従前は、所得税法と法人税法では、中小企業の交際費限度を1,800万ウォンと定め、租税特例制限法では、600万ウォンを追加して総額2,400万ウォンを交際費の限度としており、追加で認められた600万ウォンに対しては、最低限税の適用を受けることとしました。今回の改正では、中小企業の営業活動を支援するため、所得税法と法人税法の交際費の限度を2,400万ウォンに修正し、最低限税の適用対象から除外しました。
4.外国人投資企業に対する法人税・所得税減免の廃止
内・外国資本間の課税衡平性を高めるため、2019年1月1日以降の申請分から廃止されます。但し、外国人投資申告後、5年以内に輸入する資本材に対する関税の免除と、外国人投資企業が購入・保有する資産に対する取得税及び財産税の免除は従来通りに維持されます。
5.外国人技術者に対する所得税減免の拡大
海外の専門技術人材の誘致を支援するため、2019年1月1日以降最初に勤労を提供する分からは減免期間を2年から5年に延長し、適用期限も2021年12月31日までと3年延長されました。ご参考までに、減免される所得税は50%です。
6.外国人勤労者に対する課税特例適用期限の延長
区分 |
現況 |
改正 |
外国人勤労者 単一税率特例 |
2018.12.31.まで国内で最初に勤務を開始した場合、5年間単一税率(19%)選択可能 |
2021.12.31.まで国内で最初に勤務を開始した場合、5年間単一税率(19%)選択可能 |
7.雇用増大税制の青年中心支援拡大
青年の職場を創出する企業に対する税制支援を強化するため、1人当りの控除金額を100万ウォンずつ増額しており、控除期間も1年ずつ延長(大企業2年、中小・中堅企業3年)しました。
(単位:万ウォン)
区分 |
中小企業 |
中堅企業 |
大企業 |
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首都圏 |
地方 |
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常時勤労者 |
700 |
770 |
450 |
– |
青年正規職 |
1,100 |
1,200 |
800 |
400 |
8.投資資産に対する減価償却費損金算入特例の新設
企業の投資活性化を誘導するため、中小・中堅企業の場合は事業用固定資産に対して、大企業の場合は革新成長投資資産に対する減価償却費損金算入特例を新設し、加速償却(基準耐用年数の50%範囲以内)することが可能になりました。
9.非居住者と外国法人の恒久的施設の範囲の拡大
外国法人等の国内源泉所得に対する課税権を拡大するため、恒久的施設要件から除外されていた「予備的・補助的性格の事業活動に限定する」要件を追加しました。
区分 |
現況 |
改正 |
外国法人の 恒久的施設要件から除外される 特定活動場所※ |
資産の単なる購入のみのための場所 |
当該場所で行われる活動が、 予備的・補助的性格を持つ場合に限定 |
非販売目的資産の貯蔵・保管のみのため使用する場所 |
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自己資産を他人に加工させる目的で使用する場所 |
||
広告、市場調査等予備的・補助的性格を持つ事業活動のため使用する場所 |
(同左) |
※予備的・補助的性格の事業活動を行っても、本人、又は特殊関係者の恒久的施設が存在し、同時に特定活動場所の事業活動が相互補完的に行われる場合と、個別特定活動場所の活動が全体的に相互補完的であるか、或いは予備的・補助的性格ではない場合は、恒久的施設とみなす規定も新設されました。
10.海外金融口座申告制度の改善
区分 |
現況 |
改正 |
申告義務者 (海外金融口座の実質所有者) |
‐ 口座を事実上管理する者 ‐ 租税条約未締結国に所在する外国法人が保有している海外金融口座 ‐ 外国法人持分を直・間接に100%所有
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(同左) (同左)
‐ 特殊関係者の保有分を含め、外国法人持分を直・間接に100%所有 |
取得資金に対する疎明要求の対象者 |
個人 |
個人、法人 |
過料 |
‐ 申告義務違反時、過料 ‐罰金、又は2年以下の懲役 |
過料賦課額以内で罰金と過料を併課 |
11.国外転出税の強化
区分 |
現況 |
改正 |
課税対象 |
大株主保有株式 |
(同左) ‐ 不動産比率50%(ゴルフ場、スキー場等は80%)以上の法人株式を追加 |
税率 |
20% |
‐ 課税標準3億ウォン以下分:20% ‐ 課税標準3億ウォン超過分:25% |
申告基準日 |
直前年度終了日 |
申告日前日 |
加算税 |
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未申告(過少申告)加算税: 株式の額面価額の2% |
申告期限 |
出国日が属する月の末日から3ヶ月以内に申告・納付 |
(同左) ‐ 納税管理人申告時、翌年度5月 |
更正請求 |
実際の譲渡日より3ヶ月以内 |
更正請求特例の新設:3ヶ月→2年 |
12.移転価格税制実効性の向上
移転価格税制の国際基準を反映して適用原則を明確にするため、国外特殊関係者との取引で正常価格算出時に独立企業原則を補完する規定を追加しました。
今回の税法改正では、課税当局が特殊関係者間の商業的・財務的関係及び取引条件等を考慮して合理的取引可否を判定することとし、商業的合理性が顕著に欠如した取引の場合は、当該取引を否認するか、或いは異なる取引に代えて正常価格を算出することとしました。
13.外国法人更正請求に対する部分税務調査範囲の拡大
税務調査は統合調査を原則としますが、例外的に必要な部分に限って部分税務調査を行うことができます。今回の改正税法では、非居住者・外国法人の租税条約適用のための更正請求と関連した確認調査の場合、確認が必要な部分に対する調査ができるよう部分調査の事由を追加しました。
14.域外脱税除籍期間の延長
国際取引を通じた域外脱税について課税実効性を高めるため、域外取引の概念を導入し、賦課除斥期間を拡大しました。国際取引とは、居住者と非居住者間の国内外取引を言い、居住者間の国外資産取引と国外での役務取引も域外取引に含まれます。域外取引での賦課除斥期間不正行為の場合は15年、一般無申告や過少申告の場合は10年に拡大しました。また、賦課除斥期間内に外国課税当局に情報交換を要請する場合は、情報を受けた日より1年(情報交換要請日より3年)以内に延長し、租税債権の逸失を予防するようにしました。
15.租税条約上の所得区分の優先適用の廃止
租税条約と国内税法上の所得区分適用に関する解釈上の議論を解消するため、租税条約上の所得区分が国内税法上の所得区分を決定することではなく、源泉地国の課税要否及び制限税率適用判断に限り、優先的に適用できるように当該規定を削除しました。
- 以上 -