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会計税務ニュース

【韓国の会計・税務レポート】2020年度国税行政運営方案

国税庁は、2020年1月29日に政府世宗庁舎で2020年度全国税務官署長会議を開催しました。全国の税務官署長等313名が出席した中、「国税行政運営方案」を確定・発表し、重点とする推進課題を達成させることを約束しました。

国税庁は、「国税庁本来の責務を忠実に果たし、国税行政全分野の革新を本格的に推進して、国民目線に添った可視的変化と成果の創出」との戦略の下で、以下の7つの課題を発表しました。

 

● 安定的税収予算調達により、確実な国家財政を後押し

● 自発的誠実申告支援のための納税サービスの革新を推進

● 課税インフラ拡充による税源管理体系の高度化

● 公正社会に逆行する知能的脱税・滞納への対応を強化

● 包容的革新成長を国税行政の側面で積極的に支援

● 積極的な行政を通して国民が体感する変化の創出

● 清廉で、かつ円滑な国税行政の具現により、国民の信頼を高める。

 

上記の課題のうち、主な内容を紹介します。

 

 

1.自発的誠実申告支援のための納税サービスの革新を推進

 

2019年度の税収が税収予算と大きな差異はないと推定されますが、2020年度も米・中貿易交渉の不確実性等が存在しているため、誠実申告を最大限支援して申告税収を極大化するとの課題を設定しました。

 

(1)    ビッグデータに基づいた事前申告案内資料の提供

ビッグデータ分析を基に、住宅賃貸事業者と人的役務事業者に対する申告資料を支援し、繰越欠損金、法人クレジットカードの使用内訳、政府補助金の支援内訳を法人に提供する一方、小規模法人に対しては、家族人件費の現況も申告前に案内する予定です。

 

(2)    モバイルホームタックスの全面拡大により、納税便宜性を極大化

モバイルホームタックスのサービス項目を700種類余りまで拡大し、PCホームタックスのサービス項目のほとんどをモバイルで利用できるようにする予定です。また、モバイルによる電子申告も、法人税を除く全税目に拡大するのみでなく、期限後申告、更正請求、修正申告までもモバイルで完了できるように改善されます。

 

 

2.公正社会に逆行する知能的脱税・滞納への対応を強化

 

国税庁は、2019年度に企業競争力を棄損する高額財産家、多国籍IT企業の域外脱税、豪華・贅沢高所得事業者及び民生を侵害する脱税嫌疑者に対する税務調査を行いました。2020年度にも公正社会に逆行する知能的脱税・滞納への対応を引き続き強化する予定です。

 

(1)    大企業・大資産家の不公正脱税に調査力量を集中

大企業・社主一家の借名株式の運営、系列会社間不当支援、不公正合併及び迂回資本取引を通じた経営権の承継等変則的な脱税を厳重に処断し、高額財産家及び年少者への富の承継に対応するため、財産変動状況を定期的に検証する予定です。特に、海外送金・海外金融資産の活用、父母のクレジットカード使用による財産蓄積等のような便法贈与の類型を集中的に調査すると発表しました。

 

(2)    不動産取引と関連した変則的な脱税行為を厳重に処断

不動産価格の安定のため、資金調達計画書等を活用した高価住宅の取得と関連する資金の出処を全数分析し、高額借入による住宅取得に対しても負債償還の全過程を徹底して事後管理することとしました。多住宅者に対しては、借名口座活用を通じた賃貸所得の申告漏れや合算課税回避のために設立された不動産業法人の脱漏嫌疑等に対する調査も行われるものと予想されます。

 

(3)    域外脱税及び多国籍企業の攻撃的租税回避に対する検証を強化

検察・税関庁等関連機関との共助及び国内外の情報網を活用し、①海外現地法人資金の私的有用、②変則的資本取引(M&A、株式交換等)を利用した裏金の醸成、③非居住者としての偽装による納税義務の回避、④無申告海外資産(金融、不動産等)の変則的な相続・贈与のような域外脱税に厳格に対応する方針です。多国籍企業の攻撃的租税回避に強力に対処できるよう、OECD BEPSプロジェクトにより導入された制度を実質的に履行する予定です。

 

(4)    強化された組織及びインフラで悪意的滞納に対応

2019年より模範的に運営している税務署の滞納徴税課を本格的に稼働して効果的に滞納体系を構築し、悪意的財産隠匿に対する現場追跡調査も強化されます。滞納者の親姻戚の金融情報照会や監置命令制度等新しく導入されたインフラを積極的に活用し、長期滞納者のリスト公開も活用する方針です。

 

 

3.包容的革新成長を国税行政の側面で積極的に支援

 

故意的脱税や滞納に対して強力に対応する一方、民生経済の活力を後押しするための支援も提供できるようにしました。全体的な税務調査件数を縮小し、中小納税者に対する簡便税務調査を拡大し、納税協力義務を誠実に履行している小規模法人に対しては、非定期税務調査が原則的に排除されます。経営上支障のある中小企業に対しては、税務調査期間を最大限短縮して負担を緩和させる方針です。

 

 

- 以上 –