トップページ > 会計税務ニュース > 【韓国の会計・税務レポート】国外支配株主等に支払う利息に対する課税調整

STARSIAがお届けする業界NEWS 会計税務ニュース

【韓国の会計・税務レポート】国外支配株主等に支払う利息に対する課税調整

OECD BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトによる履行勧告により、『所得対比過大支払利息に対する損金不算入制度』と『混成金融商品取引により発生する支払利息に対する損金不算入制度』が国際租税調整に関する法律(以下、「国租法」と言う)に2017年12月19日付けで新設されました。

日本は、既に2012年に過大支払利息税制を導入しており、2015年にはハイブリッド証券による租税回避を防止するため、外国子会社配当益金不算入の対象から、外国子会社の所得金額の計算上損金に算入される配当を除外する立法措置を取りました。

 

以下では、今回新設された2つの制度についてご紹介します。 未だ2つの制度と関連する具体的な施行令及び施行規則が公布されていないため、今後制定される後続措置を綿密に調べる必要があります。

 

1. 所得対比過大支払利息の損金不算入制度(国租法第15条の2)

資本に比し過大な負債利息が損金として認められることを制限するため、1995年国租法の導入時から過少資本税制を導入しており、現在は国外支配株主の出資金額の2倍(金融業の場合は6倍)を超過する借入金に対し適用されます(国租法第14条、同法施行令第26条)。従って、出資金額の2倍を超過しない借入金に対しては過少資本税制が適用されないため、所得に比して過大な利息の支払いによる租税回避を防止するため導入されたものです。

(1)   適用対象:金融業を行わない内国法人

(2)   損金不算入額の計算

国外特殊関係者より借入れた金額に対する純支払利息が調整所得金額の30%を超過する場合、その超過支払利息が損金不算入とされます。ここで、純支払利息とは、国外特殊関係者に支払った支払利息から国外特殊関係者より受取った受取利息を減算した金額を言い、調整所得金額とは、所得金額に減価償却費と上記の純支払利息を合算した金額を言います。

(3)   適用時期:2019年1月1日以降開始する事業年度から適用

日本の場合、純支払利息が調整所得金額の50%を超過した場合、その超過した部分の金額が損金不算入となります(租税特別措置法第66条の5の2第1項)。従って、日本よりも韓国が厳格に過大支払利息の損金算入が制限されています。なお、日本の同法同条第4項では、純支払利息が1,000万円以下であるか、総支払利息のうち、国外特殊関係者に支払う利息が50%以下の場合は、過大支払利息税制を適用しませんが、韓国の国租法第15条の2では、このような適用除外基準は規定されておりません。

 

2. 混成金融商品取引により発生する支払利息に対する損金不算入制度(国租法第15条の3)

(1)   概要

内国法人が国外特殊関係者と資本・負債の性格を同時に持っている金融商品取引を行う場合、内国法人が国外特殊関係者に支払った利息が、適正期間内にその相手方が所在している国で課税されなければ、その利息を内国法人の損金に算入せず、その他社外流出として処分されたものとみなします。この規定の適用対象となる金融商品取引の範囲、適正期間等については、施行令で定める予定です。

(2)   適用時期:2018年1月1日以降開始する事業年度から適用

(3)   事後管理

損金不算入となった金額が、適正期間内に取引相手が所在している国で、取引相手の所得に含まれて課税される場合は、適正期間の終了日が属する事業年度の損金に算入することができます。

なお、内国法人が支払った利息が当該事業年度の所得金額を計算する際に損金に算入されたが、その後に取引相手が所在している国で課税されていなかったことが明らかとなった場合は、適正期間の終了日が属する事業年度に益金に算入し、利息相当額を加算して納付しなければなりません。

日本の場合は、混成金融商品取引により発生する支払利息に対する損金不算入制度はないとのことですが、その代わりに、日本は外国子会社配当益金不算入制度を導入しているため、資本・負債の性格を同時に持っているハイブリッド証券による租税回避を防止するための規定を導入しております(法人税法第23条の2第2項第1号)。

 

例えば、A国親会社がC国子会社に資金を供与する際、A国の税制からみると株式であり、C国からみると負債となるハイブリッド証券を発行した場合、C国子会社よりA国親会社への支払額は、A国からみると配当となり、C国からみると利息として取扱われます。そうしますと、C国子会社では損金算入され、A国親会社では益金不算入とされます(A国の税制が外国子会社配当益金不算入制度を採択している場合)。これは、国によって性質決定が行われることにより発生するミスマッチであり、BEPS行動計画2では、このような場合をハイブリッド・ミスマッチ・アレンジメント((hybrid mismatch arrangement)と言います(出典:増井良啓·宮崎裕子『国際租税法』(第3版))。代表的な例として、オーストラリアのRPS(Redeemable Profit Share)と呼ばれる償還優先株式と関連した配当が挙げられます。

 

3. 支払利息の損金不算入の適用順位

過大支払利息と混成金融商品の利息に対する損金不算入制度の導入により、支払利息の損金不算入の適用順位に対する改定も行われました(国租法第16条)。その改定内容は下記の通りであり、結論的に、過少資本税制、又は過大支払利息に対する損金不算入制度が優先して適用されます。

(1)   過少資本税制と過大支払利息の損金不算入制度が同時に適用される場合は、損金不算入額が大きく計算されることを適用し、その金額が同一な場合は、過少資本税制を適用します。

(2)   過少資本税制、又は過大支払利息の損金不算入制度は、正常価格による課税調整、混成金融商品の利息に対する損金不算入制度、法人税法上の支払利息の損金不算入制度に優先して適用されます。

(3)   混成金融商品の利息に対する損金不算入制度は、正常価格による課税調整、法人税法上の支払利息の損金不算入制度に優先して適用されます。

ページトップへ