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【韓国の会計・税務レポート】2018年税法改正案の発表

政府は、去る7月30日に、経済状況を考慮した所得分配の改善及び持続可能成長等に重点をおいた2018年税法改正案を発表しました。両極化問題を解決するため、所得分配を改善していき、所得と資産間の課税衡平を高め、持続可能成長のための職場創出及び革新成長を支援する方向です。また、納税者の過重な税負担を緩和させるため、加算税等租税体系を合理化する改正事項等を含めました。

 

以下では、今回の税法改正案の主要改正内容をいくつかご紹介致します。

 

1.納税者の権利保護及び租税体系の合理化

 

1) 加算税・加算金・過料の納税者負担の緩和

 

延滞貸付金利の引下げ及び納付遅延に対する行政上の制裁を一元化し、税法上義務違反に対する制裁水準の合理化のため、以下の通りに加算税、加算金及び過料率を引下げました。

 

区分

現行

改正案

①  納付関連加算税(納付告知前):

 

 

納付・還付不誠実

未納期間1日当り0.03%

未納期間1日当り0.025%

源泉徴収納付不誠実

3%+未納期間1日当り0.03%

3%+未納期間1日当り0.025%

②  滞納加算金(納付告知後)

3%+1ヶ月ごとに1.2%

3%+1ヶ月ごとに0.75%

③  付加価値税加算税:

 

 

クレジットカード売上伝票未提出

供給価額の1%

供給価額の0.5%

電子税金計算書の転送不誠実

遅延転送:供給価額の0.5%

未転送:供給価額の1%

遅延転送:供給価額の0.3%

未転送:供給価額の0.5%

④  現金領収証の発給違反過料

取引代金の50%

取引代金の20%

 

 

2) 連結法人と外国法人の繰越欠損金の控除限度の調整

 

一般法人、連結法人、外国法人間の課税衡平性を高めるため、2019年1月1日以降開始する事業年度から繰越欠損金の控除限度を縮小しました。

 

区分

現行

改正案

一般法人

–    2018年帰属:各事業年度所得の70%

–    2019年帰属:各事業年度所得の60%

(同左)

連結法人

当期連結所得の個別帰属額の80%

当期連結所得の個別帰属額の60%

外国法人

各事業年度所得の80%

各事業年度所得の60%

 

3) 中小企業の交際費の最低限税適用の排除

 

税法では、税額控除、税額減免等の租税特典を利用する場合、租税負担の衡平性を高めるため、最小限の税金を納付することと規定(最低限税)をおいています。

 

法人税法では、中小企業の交際費限度を1,800万ウォンまでと定めており、租税特例制限法では600万ウォンを追加して総2,400万ウォンを交際費限度としています。現行税法では、追加控除限度600万ウォンに対し、最低限税の適用を受けることとしていますが、改正案では、中小企業の営業活動を支援するため、法人税法の交際費限度を2,400万ウォンと改正し、最低限税の適用対象から除外することにしました。

 

4) 外国人投資企業に対する法人税減免の廃止

 

業種、投資金額等一定要件を満たす新成長動力産業及び外国人投資地域等に入居した企業で発生した所得に対して法人税を減免する規定をおいていましたが、国内外資本間の課税衡平性を高めるため、これを廃止することにしました。但し、外国人投資企業が購入・保有する資産に対する取得税及び財産税免除規定は、地方税特例制限法に移管して維持しました。

 

 

2.職場創出及び革新成長の支援

 

1) 雇用増大税制の青年中心支援拡大

 

職場を創出する企業に対して雇用増加に対する税制特典を提供しましたが、青年親和企業(賃金水準、青年勤労者の比重、青年勤労者の勤務与件及び青年雇用増加率等を考慮し、青年親和企業の範囲を今後施行令で立法化する予定)に対しては、より多くの控除金額及び控除期間(3年)を支援して青年職場創出をもっと積極的に支援するように改正しました。

 

(単位:万ウォン)

区分

中小企業

中堅企業

大企業

首都圏

地方

常時勤労者

700

770

500

青年正規職

一般

1,000

1,100

700

300

青年親和企業

1,500

1,600

1,200

800

 

2) 革新成長に対する租税支援

 

① 革新成長投資資産

革新成長のための投資を活性化するため、革新成長投資資産(R&D設備、新成長技術事業化施設等)に対する減価償却費損金算入特例を新設して加速償却(基準耐用年数の50%範囲内)をできるようにしました。

 

②   海外専門技術人材と優秀人材の誘致

 

区分

現行

改正案

外国人技術者の所得税減免

2年間50%減免

5年間50%減免

外国人勤労者の単一税率特例

2018.12.31まで、国内で初勤務を開始した場合、5年間は単一税率(19%)を選択可能

2021.12.31まで、国内で初勤務を開始した場合、5年間は単一税率(19%)を選択可能

 

 

3.域外脱税の防止及び国際租税関連規定の改正

 

1) 非居住者及び外国法人の恒久的施設の範囲の拡大

 

BEPSプロジェクトにより外国法人等の国内源泉所得に対する課税権を拡大するため、恒久的施設から除外される要件に、予備的・補助的性格の事業活動に限定する要件を追加しました。

 

区分

現行

改正案

外国法人の
恒久的施設から
除外される
特定活動場所*

資産の単なる購入のみのための場所

当該場所で
行われる活動が
予備的・補助的性格を持った場合に限定

非販売目的資産の貯蔵・保管のみのため使用する場所

自己資産を他人に加工させる目的で使用する場所

広告、市場調査等、予備的・補助的性格を持った事業
活動のため使用する場所

(同左)

*   予備的・補助的性格の事業活動を行っても、本人、又は特殊関係者の恒久的施設が存在し、同時に特定活動場所の事業活動が相互補完的に行われる場合と、個別特定活動場所の活動が全体的に相互補完的であったり、或いは予備的・補助的性格ではない場合は、恒久的施設とみなす規定も新設

 

2) 域外脱税の防止

 

①   海外金融口座の申告

 

区分

現行

改正案

申告義務者
(海外金融口座の
実際の所有者)

–    口座を事実上管理する者

(同左)

–    租税条約未締結国に所在する外国法人が保有する海外金融口座

(同左)

–    外国法人の持分を直・間接に100%所有

–    特殊関係者保有分を含め、外国法人の持分を直・間接に100%所有

取得資金に対する
疎明要求の対象者

個人

個人、法人

過料

–    申告義務違反時過料

–    罰金、又は2年以下の懲役

過料賦課額内で罰金と過料を併科

 

②   国外転出税の強化

国外転出とは、大株主である居住者が移民等により国外に転出する際、国内株式を譲渡したこととみなして譲渡税を課税して、域外脱税を防止し、国内財産に対する課税権を確保するための制度です。

 

区分

現行

改正案

課税対象

大株主保有株式

(同左)

–    不動産比率50%以上の法人株式を追加

税率

20%

–    課税標準3億ウォン以下分:20%

–    課税標準3億ウォン超過分:25%

申告基準日

直前年度終了日

申告日前日

加算税

 

未申告(過少申告)額面価額の2%

申告期限

出国日が属される月の末日から3ヶ月以内に申告・納付

(同左)

 

–    納税管理人を通した申告時、翌年度5月

更正請求

実際の譲渡日から3ヶ月以内

更正請求特例の施設:3ヶ月⇒2年

 

③   移転価格税制の実効性を高める

移転価格税制の国際基準を反映し、適用原則を明確にするため、国外特殊関係者との取引で正常価格算出時、独立企業原則を補完する規定を追加しました。

 

正常価格とは、国外特殊関係者ではない者と通常の取引で適用される価格を言い、財貨又は役務の特性、機能及び経済環境等の取引条件を考慮するようにしています。今回の税法改正では、課税当局が特殊関係者間の商業的・財務的関係と取引条件等を考慮し、合理的取引の可否を判定するようにし、商業的合理性が顕著に欠如された取引の場合、当該取引を否認、又は異なる取引に振替えて正常価格を算出することとしました。

 

④   外国法人の更正請求に対する部分税務調査範囲の拡大

税務調査は統合調査を原則とするものの、例外的に必要な部分に限り部分税務調査ができることと規定しています。今回の改正税法では、外国法人(非居住者)の租税条約の適用のための更正請求と関連した確認調査の場合は、確認が必要な部分に対する調査が可能となるよう部分調査の事由を追加しました。

 

⑤   域外脱税の除斥期間の延長

国際取引を通じた域外脱税に対して課税実効性を高めるため、域外取引の概念を導入して賦課除斥期間を拡大しました。国際取引とは、居住者と非居住者間の国内外取引を指していましたが、居住者間の国外資産取引及び国外での役務取引を含む域外取引において、賦課除斥期間を、不正行為の場合は15年、一般無申告や過少申告の場合は10年に拡大しました。また、賦課除斥期間内に外国課税当局に情報交換を要請する場合は、情報を受けた日から1年(情報交換要請日から3年)以内に延長して租税債権の逸失を予防するようにしました。

 

3) 租税条約所得区分の優先適用の廃止

 

租税条約と国内税法上の所得区分適用に関する解釈上の論議に対し、最高裁判所の判決を反映し、租税条約上の所得区分が国内税法上の所得区分を決定することではなく、源泉地国の課税可否及び制限税率の適用を判断することに限り、優先的に適用できるように当該規定を削除しました。

 

 

- 以上 -

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