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【韓国の会計・税務レポート】主事業場総括納付及び事業者単位課税制度について

韓国の付加価値税法は、事業場単位で付加価値税課税標準及び税額の申告・納付、事業者登録、税金計算書の授受などを行うことを原則としておりますが、事業者が2か所以上の事業場を保有している場合は、納税者の便宜及び税務行政上の能率を高めるため、「主事業場総括納付制度」及び「事業者単位課税制度」を例外的に認定しています。

今回は、付加価値税法で例外的に認定している「主事業場総括納付制度」及び「事業者単位課税制度」について説明します。

 

1. 主事業場総括納付制度

(1)意義

主事業場総括納付制度とは、事業者が2か所以上の事業場を所有している場合に、付加価値税を各事業場ごとに納付せず、主事業場で他事業場の納付税額まで総括して納付できる制度を言います。

これは、同一事業者の一つの事業場では還付税額が発生し、他事業場では納付税額が発生する場合、納付税額は申告と共に納付しなければなりませんが、還付税額は一定期間を経て還付されるため、納税者としては資金運用が難しくなる可能性があります。そこで、納税者のこのような実務上の負担を減らすために作られた制度です。

主事業場総括納付制度は、付加価値税法上の諸般義務のうちの単なる納付に関する例外的規定のみであるため、納付以外の申告、税金計算書合計表提出などの義務は事業場別に履行しなければなりません。

(2)主事業場総括納付制度の効力

①   総括納付

主事業場総括制度を申請した総括納付事業者は、各事業場別納付税額又は還付税額を事業場間で通算して主事業場の管轄税務署長に納付するか、還付を受けることになります。

②   財貨の供給擬制規定の適用排除

事業場が2か所以上の事業者が、自己事業と関係のある生産、又は取得した財貨を販売する目的で自己の他事業場へ搬出することは原則的に財貨の供給とみなされるが、総括納付事業者が総括納付する課税期間中に自己の他事業場へ財貨を搬出することは財貨の供給とみなしません。

(3)総括納付申請及び適用時期

①   継続事業者

総括納付を希望する事業者は、その総括納付を希望する課税期間開始の20日前に主事業場の管轄税務署長に申請しなければならず、その申請日の属する課税期間の翌課税期間から適用します。

②   新規事業者

新規で事業を開始する者で、総括納付申請をした場合は、その申請日の属する課税期間から適用します。

(4)総括納付の放棄

総括納付事業者が総括納付をあきらめて各事業場で納付することを希望する場合は、その納付を希望する課税期間開始の20日前までに、主事業場の管轄税務署長に総括納付放棄申告書を提出しなければなりません。

 

2. 事業者単位課税制度

(1)意義

事業者単位課税制度とは、事業者が2か所以上の事業場を所有している場合、各々の事業場ではない当該事業者の本店、又は主事務場で総括して事業者登録を一つだけにして申告・納付することができるようにする制度です。上記の主事業場総括納付制度は主事業場で納付のみ総括する制度ですが、事業者単位課税制度は納付だけでなく、その他付加価値税法上の諸般業務までも総括する制度です。

これは、電算システムの発達にも関わらず、事業場別課税原則により各事業場別に納付(還付)税額の申告・納付、事業者登録及び税金計算書交付を行う場合に、その手続きが複雑で課税官庁や納税者が両者とも不便かつ非効率であるため、事業者の実務上の便宜を図るために作られた制度です。

(2)事業者単位課税の効力

①   事業者単位別申告・納付

事業者単位課税の適用を受ける事業者は、事業者単位課税適用事業場の管轄税務署長に課税標準及び税額を総括して申告・納付するため、事業者単位課税適用事業場以外の従属事業場は、別途の申告・納付義務がありません。また、税金計算書及び領収証の授受、納税管理人の選定などを適用することにおいても、事業者単位課税適用事業場のみ遂行すれば問題ありません。

②   財貨の供給擬制規定の適用排除

主事業場総括納付制度と同様に、事業者単位課税事業者が事業者単位課税の適用を受ける課税期間に、自己の他事業場に財貨を搬出することは財貨の供給とみなしません。

(3)総括納付申請及び適用時期

継続事業者は、その適用を受けようとする課税期間開始の20日前までに登録しなければならず、新規事業者の場合は、事業者登録証を受けた日から20日以内に申請があった場合に、その申請日の属する課税期間から事業者単位課税が適用されます。

(4)事業者単位課税の放棄

事業者単位課税事業者が各事業場別に申告・納付するか、主事業場総括納付を行う場合は、その納付しようとする課税期間開始の20日前に事業者単位課税放棄申告書を事業者単位課税適用事業場の管轄税務署長に提出しなければなりません。

 

‐以上‐

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