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【韓国の会計・税務レポート】付加価値税の代理納付

財貨が輸入された場合は税関長が付加価値税を徴収するため、輸入財貨と韓国内で生産された財貨間に課税衡平が維持されますが、役務を輸入する場合は税関長が付加価値税を課税しないため、役務の輸入と韓国内事業者が供給する役務間に課税不衡平が発生します。このような課税不衡平をなくし、租税の中立性を維持するため、韓国の付加価値税法では『付加価値税代理納付制度』をおいています。

 

今回は、付加価値税代理納付制度の具体的な内容について説明します。

1. 概要

付加価値税代理納付制度とは、以下に該当する非居住者又は外国法人から、韓国内で役務又は権利の供給を受けた者が、その代価を支払う際に、その代価を受ける者から付加価値税を徴収して納付することを言います。

① 国内事業場のない非居住者又は外国法人

② 国内事業場のある非居住者又は外国法人。但し、役務などの提供が国内事業場と実質的に関係がないか、或いは国内事業場に帰属されていない場合にのみ該当

 

2. 代理納付が成立するための要件

以下の要件を全て充足する場合、代理納付の義務が発生します。

① 役務などが消費されるか、或いは使用される場所が国内であること

② 役務提供者が国内事業場のない非居住者又は外国法人であるか、国内事業場があっても国内事業場と関係のない役務の供給を受けること

③ 提供を受ける役務などが付加価値税が課税される役務であること

④ 提供を受ける役務などを免税事業(非課税事業を含む)に使用すること

 

3. 代理納付の対象になる役務など

代理納付の対象になる役務とは、付加価値税が課税される役務、又は権利の供給を言います。ここで権利の供給とは、権利を韓国内に搬入することで、関税と共に付加価値税を申告・納付する財貨の輸入以外のものを意味します。

 

4. 代理納付義務者

代理納付義務者とは、非居住者又は外国法人より役務などの供給を受け、当該役務を課税事業に使用しない者を言います。課税事業に使用しないという意味は、免税事業に使用する場合のみでなく、非課税事業に使用されることまで包括する概念です。

ご参考までに、課税事業に使用する役務を代理納付対象から排除する理由は、これを課税事業に使用する場合は仕入税額として控除を受けられるため、実際に課税実益がないためです。

区  分

代理納付義務可否

(1) 事業者

課税事業者

課税事業に提供する役務など

×

仕入税額不控除対象役務など

免除事業者が供給を受けた役務など

(2) 非事業者が供給を受けた役務など

 

5. 代理納付の時期

代理納付の場合は、付加価値税法上の一般的な供給時期と関係なく、その代価を支払った際に代理納付する税額を徴収します。従って、役務などの供給を受ける前にその代価の一部を数回にわたって支払う場合は、支払うたびに代理納付税額を徴収しなければなりません。また、役務代価を未払いの場合は、同未払費用を送金する時点で送金額に対する代理納付税額を徴収しなければなりません。

 

6. 代理納付の方法

代理納付義務者は、代理納付対象とされる役務代価を支払う際に付加価値税を徴収し、付加価値税予定申告又は確定申告の規定の準用して、以下の事項を記載した付加価値税代理納付申告書と共に、これを徴収した事業場、又は住所地管轄税務署長に納付するか、或いは納付書を作成して韓国銀行などに納付しなければなりません。

① 役務など供給者の商号、住所、氏名

② 代理納付する事業者の人的事項

③ 供給価額及び付加価値税額

④ その他の参考事項

 

7. 代理納付不誠実加算税

代理納付義務者が代理納付税額を納付期限までに納付しないか、或いは過少納付した場合は、下記の金額を納付する税額に加算しなければなりません。

代理納付不誠実加算税 = Min(①、②)

① 未納税額・過少納付分税額×3%+未納税額・過少納付分税額×期間*×3/10,000

② 未納税額・過少納付分税額×10%

* 期間:納付期限の翌日から自主納付日、又は納税告知日までの期間

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