- 2017年1月23日
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【韓国の会計・税務レポート】2016年度税法改定案の主要内容(2)
前回は、2016年12月2日に発表(2016.12.20公布)された2016年税法改定案のうち、法人税、所得税及び付加価値税と関連した改定案について作成しました。
今回は、前回に続き、2016年改定税法のうち租税特例制限法及びその他税法に関連する内容及び2016年12月29日に発表(2017年2月3日に公布予定)された2016年税法施行令改定案の主要内容について説明します。
- 1. 租税特例制限法
(1) クレジットカード等所得控除適用期限短縮等(租税特例制限法第126条の2)
□ クレジットカード等所得控除控除限度及び適用期限調整
控除限度 |
現行 |
改定 |
総給与7千万ウォン以下 |
300万ウォン |
Min(300万ウォン、 |
総給与7千万ウォン~1.2億ウォン |
300万ウォン |
300万ウォン (2018年から250万ウォン) |
総給与1.2億ウォン超過 |
300万ウォン |
200万ウォン |
適用期限 |
2016年12月31日 |
2018年12月31日 |
□ 改定理由:庶民、中産層の税負担軽減等を勘案して延長及び限度を調整
□ 適用時期:2017年1月1日以降使用する分から適用
(2) 外国人勤労者の課税特例適用期限短縮(租税特例制限法第18条の2第2項)
□ 外国人勤労者の課税特例(総合課税の代わりに19%単一税率選択を許容)適用期限:2016年12月31日から2018年12月31日に調整
□ 改定理由:海外優秀人材の誘致、税負担の衡平性を高める。
(3) エネルギー節約施設への投資税額控除及び環境保全施設への投資税額控除の適用期限延長
(租税特例制限法第25条の2第1項、第25条の3第1項)
□ 適用期限延長:2016年12月31日から2018年12月31日に延長
□ 改定理由:日没期間の合理的調整
(4) 中小企業の交際費限度特例の適用期限延長(租税特例制限法第136条第1項)
□ 適用期限:2016年12月31日から2018年12月31日に延長
□ 改定理由:中小企業支援
- 2. その他税法
(1) 一般更正請求時には、2ヶ月間の賦課除籍期間を追加認定(国税基本法第26条の2第2項)
□ 一般的賦課除籍期間(5年)に迫って更正請求する場合は、更正請求日より2ヶ月間の賦課除籍期間を追加認定。
□ 改定理由:納税者の権利救済実効性を確保するため。
(2) 相続・贈与税の申告税額縮小(相続税及び贈与税法第69条)
□ 相続贈与税申告税額控除の控除率引下:10%→7%
□ 改定理由:控除制度の合理化
□ 適用時期:2017年1月1日以降相続が開始されるか、或は贈与を受ける分から適用
(3) 教育税(金融保険業者)納税義務者の追加(教育税法第3条)
□ 教育税(金融保険業者)納税義務者:貸付業等の登録及び金融利用者保護に関する法律による貸付業者、又は貸付仲介業者
□ 改定理由:課税衡平性を高めるため。
□ 適用時期:2017年1月1日以降開始する課税期間分から適用
(4) 輸出用原材料の国内製造加工期間の延長(関税等の還付に関する特例法施行令第10条)
□ 税関長の事前承認を受ける場合、輸出履行期間の不算入期間を1年6ヶ月まで延長
□ 改定理由:輸出履行期間延長により還付機会を拡大
□ 適用時期:2017年1月1日以降承認を受けた分から適用
- 3. 2016税法施行令改定案の主要内容
(1) 国外転出時、株式譲渡所得の税課税特例新設(所得税法施行令第167上の8新設)
□ 居住者が移民等により国外転出する場合、国外転出日に国内株式を譲渡したこととみなされ譲渡所得税を課税し、納税義務者に該当する大株主要件を新設した。
区分 |
内容 |
大株主の要件 |
(上場株式) 株式譲渡差益の課税対象資産に該当する大株主 (非上場株式) 20%の譲渡所得税率適用対象に該当する大株主 |
みなし譲渡価額の算定方法 |
(上場株式) 基準時価(国外転出日以前1ヶ月間の最終相場価額の平均額) (非上場株式) a. 売買事例価額、b. 基準時価(純損益価値、純資産価値を3:2で加重平均)を順次的に適用して計算 |
□ 改定理由:現行加重平均方式は純利益の低い法人の株式が過小評価されることを勘案して改定
□ 適用時期:2018年1月1日以降居住者が出国する時から適用
(2) マイレージ・商品券決済金額に対する付加価値税課税方法の補完
(付加価値税法施行令第62条)
区分 |
自己マイレージ*1 等で決済した金額 |
その他マイレージ等で決済した金額 |
現行 |
事業者がマイレージで決済を受けた金額に対し付加価値税を課税 |
事業者が実際に受けた対価*分に対し付加価値税を課税 |
改定 |
マイレージで決済を受けた金額に対しては付加価値税課税から除外 |
現行同一 |
*1 当初に財貨、役務の供給後にマイレージを付与した事業者からの購入時のみ使用可能なマイレージ
*2 事業者がマイレージで決済を受けた部分に対しクレジットカード会社等から補填を受ける金額
□ 適用時期:2017年4月1日以降供給するか、或は供給を受ける分から適用
(3) 非上場株式の評価方法改善(相贈税法施行令第54条第1項)
□ 純損益価値と純資産価値を3:2で加重平均する方法でMax(現行の加重平均値、純資産価値の80%)に改善
□ 改定理由:現行の加重平均方式は、純利益が低い法人の株式が過小評価されることを勘案して改定
□ 適用時期:施行令施行日以降相続が開始されるか、或は贈与を受ける分から適用
(4) 非上場株式評価時に純資産価値のみで評価する方法を改善
(相贈税法施行令第54条第4項)
□ 非上場株式評価時に純資産価値のみで評価する場合、株式が資産の80%以上の法人及び設立時から存続期限が確定している法人で、残余存続期限が3年以内の法人も追加される。
□ 改定理由:配当額等純損益価値調整を通じて株式評価額を調整することを防止するためである。継続企業ではないため、純損益価値を除外した純資産価値のみで評価することが妥当である。
□ 適用時期:施行令施行日以降相続が開始されるか、或は贈与を受ける分から適用