- 2014年3月7日
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【韓国の会計・税務レポート】2014年 主要税法施行令改正
2014年1月1日に税法改正案が国会を通過し、その後続措置として税法施行令改正(案)が2014年1月24日に立法予告されました。税法施行令の改正内容は、改正税法から施行令に委任した事項及び運営過程上の制度改善事項等で、2014年2月21日に公布・施行される予定です。
今回は、2014年1月24日に立法予告された税法施行令改正(案)のうち、法人税法施行令、所得税法施行令及び付加価値税法施行令に重点を置いて主要改正事項について調べ、それ以外の税法の施行令改正については公布後に説明します。
1. 法人税法施行令
(1) 国際会計基準(IFRS)導入による減価償却費許容範囲調整(法令第26条の3)
現行 |
改正 |
□ IFRS導入企業が2014.1.1以降取得した資産の減価償却費 <新設>
✓ 損金算入限度 税法上基準耐用年数を適用した減価償却費 |
□ 対象資産及び償却範囲調整
✓ 対象資産 既存保有資産及び同種資産に限定 ✓ 損金算入限度 以下の①と②とのうち、いずれか大きい金額 ① 税法上基準耐用年数を適用した減価償却費* ② IFRSによる減価償却費+IFRS導入により減少された減価償却費の25% *IFRS導入前減価償却費が①より少ない場合は適用除外 |
(改正理由) 同種資産に限り減価償却特例が適用されたことを明確にし、IFRS導入による税負担増加緩和
(適用時期) 2014.1.1以降資産を取得する分から適用
(2) 減価償却耐用年数変更事由改善(法令第29条第1項)
現行 |
改正 |
□ 耐用年数の変更*事由 *基準耐用年数の50%を加減した範囲内で地方国税庁長の承認を受け変更 ✓ 事業場の位置する地理的環境的特性により、資産の腐食、磨耗及び毀損の程度が顕著な場合
✓ 生産設備の稼働率が直前3事業年度の平均稼働率より顕著に増加した場合等 |
□ 変更事由拡大
✓ 事業場の特性*により、資産の腐食、磨耗及び毀損の程度が顕著な場合 * 化学薬品使用による機械の早期腐食などを考慮 ✓ 同左 |
(改正理由) 減価償却耐用年数変更事由を合理的に調整
(適用時期) 施行日以降耐用年数変更を申請する分から適用
(3) 金銭貸借取引時に不当行為否認の利息率適用改善(法令第89条第3項)
現行 |
改正 |
□ 金銭貸借取引時に不当行為計算否認の基準となる時価 ✓ 原則:加重平均借入利息率 ✓ 例外:当座貸付利息率 – 加重平均借入利息率の適用が不可能な場合:当該事業年度の全ての貸付金に適用 – 5年以上の長期貸付金:当該貸付金・借入金に適用 |
□ 適用範囲調整
✓ 同左 ✓ 同左 – 加重平均借入利息率の適用が不可能な場合:当該貸付金に限り適用 – 同左
|
(改正理由) 不当行為計算否認が適用される貸付金・借入金の範囲を明確化
(適用時期) 2014.1.1以降開始する事業年度から適用
(4) 貨幣性外貨資産・負債の評価方法改善(法令第76条)
現行 |
改正 |
□ 外貨資産の評価方法 ✓ 銀行:外貨資産の評価方法を選択した場合、以後事業年度は継続適用 ✓ 非銀行:外貨資産の評価方法を選択した場合、以後事業年度は継続適用 |
□ 評価方法選択機会の拡大 ✓ 同左
✓ 評価方法選択後5年経過時に再び選択可能 |
(改正理由) 貨幣性外貨資産負債評価方法の流通性を高めるため
(適用時期) 2014.1.1以降開始する事業年度から適用
(5) 連結納税方式の適用申請時期変更(法令第120条の13)
現行 |
改正 |
□ 連結納税方式の適用申請 (申請)最初の連結事業年度開始日の前日までに提出 (承認)管轄地方国税庁長は、最初の連結事業年度開始日から3ヶ月となる日までに承認可否通知 |
□ 適用申請日程変更 (申請)開始日伝達 à 開始日から10日以内に提出 (承認)開始日から3月以内 à 開始日から2ヶ月以内 |
(改正理由) 納税者便宜を高めるため、申請時期などを調整
(適用時期) 施行日以降申請する分から適用
2. 所得税法施行令
(1) 非営業代金利益の総収入金額計算の明確化(所得税法施行令第51条第7項)
現行 |
改正 |
□ 非営業代金の元金、又は利息を回収できない場合、非営業代金利益の総収入金額計算 ✓ 確定申告前に回収不能事由が発生した場合、受取利息として回収した金額から元金を先に減算 |
□ 計算明確化
✓ 回収不能事由が発生した課税期間中の受取利息に対してのみ適用することを明確化 |
(改正理由) 期間課税を原則にしている所得税法の趣旨に符合するよう、計算方法の明確化
(適用時期) 施行日以降確定申告する分から適用
(2) 資本準備金を減額して受けた配当の配当所得除外(所得税法施行令第26条の3)
現行 |
改正 |
(新設) |
□ 商法第461条の2*により、資本準備金を減額して配当する場合は、課税対象から除外 * 資本金の150%を超過する資本利益準備金に対し、株主総会決議により準備金を減額して配当、又は無償増資の財源として活用する場合 |
(改正理由) 資本準備金を財源にして配当を受けることは、株主が納入した出資金を返還することと同じことから、課税除外
(適用時期) 施行日以降支払を受ける配当分から適用
(3) 無額面株式取得価額の計算方法変更(所得税法施行令第27条第6項、法令第14条第4項)
現行 |
改正 |
□ 剰余金の資本繰入による無額面株式割り当て時の取得価額(擬制配当)計算方法 ✓ 資本金/発行株式総数 |
□ 計算方法変更
✓ 資本金繰入額/資本繰入時に発行された株式数 |
(改正理由) 発行株式数による総擬制配当金が異なる問題の解消
(適用時期) 施行日以降資本金に繰入れる分から適用
(4) 年金口座から医療目的で引出す場合、年金受領と認定(所得税法施行令第40条の2)
現行 |
改正 |
□ 年金受領限度を超過して引出す金額は、その他所得として課税(15%、12%) (新設) |
□ 医療目的で引出す金額は、受領限度を超えても年金所得として課税(3~5%) |
(改正理由) 年金で老後医療費支出が容易にできるようにして老人福祉強化
(適用時期) 施行日以降引出す分から適用
(5) 年金口座からやむを得ない事由により年金を受領する場合、12%分離課税(所得税法施行令第42条)
現行 |
改正 |
□ 年金所得は1,200万ウォン超過時に総合所得合算課税 (新設) |
□ やむを得ない事由*であることを立証できる場合、その他所得として12%分離課税 * 死亡、天災地変、海外移住、破産など |
(改正理由) やむを得ない事由により受領した年金に対し総合所得合算課税にして過度の税負担となることを防止
(適用時期) 施行日以降引出す分から適用
(6) 勤労所得簡易税額表改正(所得税法施行令別表2)
現行 |
改正 |
□ 毎月源泉徴収する所得税 ✓ (勤労所得控除、基本控除年金保険料控除、勤労所得税額控除及び税率)実際金額、税率反映 ✓ (特別控除) 算式*による金額控除 * 家族数、所得水準による算式適用 |
□ 源泉徴収税額調整 ✓ 同左 *勤労所得控除、勤労所得税額控除及び税率改正内容反映 ✓ 同左 *税額控除転換などを反映 |
(改正理由) 所得税最高税率(38%)適用課税標準区間調整(3億ウォン à 1.5億ウォン)、所得控除の税額控除転換等により増加される税金が年末調整時に集中しないよう調整
(適用時期) 施行日以降源泉徴収する分から適用
3. 付加価値税法施行令
(1) 付加価値税の販売目的の他事業場搬出の課税標準(部令第60条)
現行 |
改正 |
□ 販売目的の他事業場搬出の課税標準 ✓ 原則:仕入税額控除を受ける取得価額
✓ 取得価額に一定額を加算した場合:取得価額+一定額 |
□ 取得価額の変更 ✓ 原則:法人税法施行令、又は所得税法施行令による取得価額 ✓ 同左 |
(改正理由) 規定補完
(適用時期) 施行日以降供給分から適用
(2) 事業者登録時に資金出処明細書提出業種の拡大(部令第11条)
現行 |
改正 |
□ 事業者登録時に資金出処明細書提出業種 * 所要資金、資金出処内訳など ✓ 金地金卸売業 (追加) |
□ 提出業種拡大
✓ 石油類卸売業、リサイクル用材料収集及び販売業 |
(改正理由) 規定補完
(適用時期) 施行日以降事業者登録申請分から適用