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【韓国の会計・税務レポート】2015年主要改正税法事項(1)

2014年12月23日に改正税法が公布(改正税法施行令は2015年2月3日に公布)されたため、今回は改正税法のうち、法人に適用される税法に関連する事項に重点を置いて、主要改正事項について説明します。それ以外の改正税法につきましては、次号で説明します。

 

(1) 企業所得の還流税制新設(法人法第56条)

現行

改正

<新設>

 

O (対象法人)

① 各事業年度終了日現在、自己資本が500億ウォンを超過する法人(中小企業は除く)

② 各事業年度終了日現在、独占規制及び公正取引に関する法律による相互出資制限企業集団に属する法人

 

O (追加に納付すべき法人税)

未還流所得*の10%

 

(*) 法人が当期に稼いだ所得のうち、一定部分を投資、賃金増加及び配当財源等で活用しなければならないが、これに活用していない金額を言う。

(改正理由) 韓国経済の低成長固着化が懸念され、企業の所得と家計の所得間の格差が拡大し、企業の所得が投資、賃金、又は配当等を
通じて会計の所得に流れ込む好循環構造となるようにする必要性により新設

(適用時期) 2015年1月1日以降開始する事業年度より2017年12月31日の属する事業年度まで一時的に適用

 

(2) 勤労所得増大税制の新設(租特法第29条の4)

現行

改正

<新設>

 

□勤労所得増大税制

 

O (適用対象) 全ての企業(個人事業者を含む)

O (適用要件) ①、②全て充足

① 常時勤労者の当該年度平均賃金×増加率

> 直近3年間の平均賃金増加率の平均**

* 平均賃金計算時、役員及び高額年俸者等は除く。

** 平均計算時、賃金増加率がマイナス等の年度は除く。

② 当該年度の常時勤労者数 ≥ 直近年度常時勤労者数

 

O (税額控除率) 中小・中堅企業10%、大企業5%

O (税額控除額)

[当該年度の平均賃金–直近年度平均賃金×(1+直近3年間の平均賃金増加率の平均)]×直近年度勤労者数* ×税額控除率

* 雇用増加効果を除去するため。

 

O 適用期限:2017年12月31日が属される課税年度分まで適用

(改正理由) 勤労所得を増大させる企業に対するインセンティブの付与

(適用時期) 2015年1月1日以降開始する課税年度から適用

 

(3) 雇用創出投資税額控除率調整及び適用期限延長(租特法第26条)

現行

改正

□ 雇用創出投資税額控除

 

O (控除率) 企業規模、投資地域、雇用増加程度に応じて投資額の4~7%

– (基本控除) 雇用維持時* 1~4%

* 中小企業は雇用減少時にも適用するが、雇用減少人員1名当り1,000万ウォン減算

– (追加控除*) 雇用増加時 3%

* 限度:雇用増加人員(マイスター高校等の卒業生2千万ウォン、青年・障害者・60歳以上、1,500万ウォン、その他1千万ウォン)

 

区分

大企業

中堅企業

中小企業

首都
圏内

首都
圏外

首都
圏内

首都
圏外

首都
圏内

首都
圏外

基本控除

1%

2%

2%

3%

4%

4%

(雇用減少時)

(排除)

(縮小)

追加控除

3%

3%

3%

3%

3%

3%

合計

4%

5%

5%

6%

7%

7%

 

O 適用期限:2014年12月31日

 

 

O 控除率調整

:4~7% è 4~9%

 

– 基本控除率1%p引き下げ、

追加控除率1%p引き上げ

– 首都圏外投資時、追加控除率1%p引き上げ

– サービス業は追加控除率1%p引き上げ

 

 

 

 

 

 

 

 

O 適用期限:2017年12月31日

(改正理由) 雇用と連携された投資、地方投資及びサービス業の支援

(適用時期) 2015年1月1日以降投資する分から適用

 

(4) 中小企業減価償却耐用年数の特例(所得令第68条、法人令第28条)

現行

改正

□ 有形固定資産(試験研究用資産は除く)の減価償却耐用年数

 

 

 

 

 

 

O 基準耐用年数の25%を加減した範囲(耐用年数範囲)内で申告した耐用年数

□ 中小企業の設備資産減価償却耐用年数の特例

 

O (要件) 前年対比設備資産投資額が増加した中小企業

O (対象資産) 2014年10月から2015年12月まで取得した設備資産*

*車両及び船舶は、運輸業・賃貸業等で直接使用する場合に限る。

 

O (耐用年数) 基準耐用年数の50%を加減した範囲内で申告した耐用年数

(改正理由) 中小企業の設備投資を支援

(適用時期) 2015年2月3日が属する事業年度(課税年度)分から適用

 

(5) サービス業の減価償却耐用年数の特例(租特法第28条)

現行

改正

□ 有形固定資産(試験研究用資産は除く)の減価償却耐用年数

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

O 基準耐用年数の25%を加減した範囲(耐用年数範囲)内で申告した耐用年数

 

□ 固定資産に対する減価償却費は各事業年度に損金として計上した場合に損金算入(決算調整)

□ サービス業営為企業*の設備資産減価償却耐用年数の特例

 

O (要件) 2年連続設備資産投資額が増加したサービス業営為企業*

* 雇用創出投資税額控除適用事業のうち、サービス業

関連業種

O (対象資産) 企業が2015年1月から2015年12月まで取得した設備資産*

* 車両及び船舶は、運輸業・賃貸業等で直接使用する場合に限る。

 

O (耐用年数) 基準耐用年数の40%を加減した範囲内で申告した耐用年数

 

□ 各事業年度に損金として計上していなくても損金算入可能(申告調整)

(改正理由) サービス業設備投資の支援

(適用時期) 2015年1月1日から2015年12月31日までの期間中に取得する分に適用

 

(6) 経歴断絶女性再雇用の中小企業に対する税額控除新設(租特法第29条の3)

現行

改正

<新設>

□ 経歴断絶女性再雇用の中小企業に対する税額控除

 

O 支援対象:経歴断絶女性再雇用の中小企業

O 経歴断絶女性(①~③全て充足)

① 退職前1年以上勤労所得があること

② 出産・育児事由により退職

③ 退職後3~5年以内に従前中小企業に再就職

O 税制支援:雇用後2年間支払人件費の10%税額控除

O 適用期限:2017年12月31日

 

※ 雇用創出投資税額控除、R&D費用税額控除、雇用増加人員に対する社会保険料の税額控除と共に適用可能

(改正理由) 中小企業の設備投資の支援

(適用時期) 2015年2月3日が属する事業年度(課税年度)分から適用

 

(7) 中小企業非正規職の正規職転換時に税額控除期限延長(租特法第30条の2)

現行

改正

□ 2013年6月30日現在、非正規職を正規職に転換する場合、1人当り100万ウォンの税額控除

 

O 適用期限:2014年12月31日

□ 2014年6月30日現在、非正規職を正規職に転換する場合、1人当り100万ウォンの税額控除

 

O 適用期限:2015年12月31日

(改正理由) 中小企業が非正規職を正規職に転換できるよう持続的支援

 

(8) 中小企業の要件調整(租特令第2条)

現行

改正

□ 中小企業の要件

O 規模基準

– 常時従業員数、資本金、又は売上高が「中小企業基本法」上基準以内

 

 

O 卒業基準(基準超過時、中小企業卒業)

– 常時従業員数:1千名

– 自己資本:1千億ウォン

– 売上高:1千億ウォン

– 資産総額:5千億ウォン

□ 中小企業要件の簡素化

 

– 売上高が「中小企業基本法」上の基準*以内

(常時従業員数、資本金基準廃止)

* 業種別に400/600/800/1,000/1,500億ウォングループに細分化

 

O 卒業基準(基準超過時、中小企業卒業)

– (廃止)

– (廃止)

– 売上高:1千億ウォン

– 資産総額:5千億ウォン

(改正理由) 中小企業要件の簡素化

(適用時期) 2015年1月1日以降開始する課税年度分から適用

 

(9) 中小企業の交際費限度の引き上げ(法人法第25条、所得法第35条)

現行

改正

□ 交際費の損金算入限度(①+②)

① 基本限度

– 一般企業:1,200万ウォン

– 中小企業:1,800万ウォン

② 収入金額×適用率

 

収入金額

適用率

100億ウォン以下

0.2%

100~500億ウォン

0.1%

500億ウォン超過

0.03%

 

 

① 中小企業基本限度引上げ

– (同左)

– 中小企業:2,400万ウォン

② (同左)

 

 

 

 

 

 

 

O 適用期限:2016年12月31日

(改正理由) 中小企業の交際費支出による税負担軽減

(適用時期) 2015年1月1日以降支出する分から適用

 

(10) 文化交際費の損金算入特例適用期限の延長(租特法第136条)

現行

改正

□ 文化分野に支出する交際費*は、一般交際費とは別途に内国人交際費の10%に相当する金額範囲内で追加損金算入

 

* 文化芸術公演、展示会、博物館、体育活動観覧、文化観光祝祭、観光公演場、文化財観覧入場券購入費用等

 

O 適用期限:2014年12月31日

□ 適用期限延長

 

 

 

 

 

 

 

O 適用期限:2017年12月31日

(改正理由) 企業の文化・芸術費支出の支援により健全な文化交際を定着

 

(11) 第三者物流費用に対する税額控除拡大(租特法第104条の14)

現行

改正

□ 第三者物流費用の税額控除

O 控除対象:①、又は②

① 直前年度対比第三者物流費用増加分

② 当該年度の第三者物流比重が30%超過時にその30%超過分

 

O 控除率:3%

 

 

O 適用期限:2015年12月31日

 

O (同左)

 

 

 

 

O 控除率差等調整

– 中小企業:3% à 5%

– 一般企業:3%

(改正理由) 物流専門企業の育成及び中小企業支援

(適用時期) 2015年1月1日以降支出する分から適用

 

(12) 支払明細書の不誠実提出加算税率引き下げ等(法人法第76条)

現行

改正

□ 利息・配当所得等、支払明細書の不誠実提出加算税

O (賦課事由)支払明細書を提出が無い場合、又は提出された支払明細書が不明確な場合

<追加>

 

O (加算税率) 2%

– 但し、提出期限経過後1ヶ月以内提出時1%

 

 

 

 

– 支払明細書を事実と異なって記載して提出した場合

 

 

– 但し、提出期限経過後3ヶ月以内提出時1%

(改正理由) 支払明細書提出による加算税の負担緩和等

(適用時期) 2015年1月1日以降提出する分から適用

 

(13) 法人工場・本社の地方移転に対する税額減免制度の改善(租特法第63条の2、租特令第60条の2)

現行

改正

□ 法人工場・本社の地方移転に対する税制支援

O 対象:地方移転法人

* 首都圏過密抑制圏域→首都圏外

O 支援内容

– 所得税及び法人税を7年間100%、3年間50%減免

* 地方広域市、首都圏引接地域等に移転の場合、7年間減免

O 減免起算年度

– 移転日が属する課税年度

O 減免除外業種

– 不動産業・消費性サービス業・建設業

 

O 減免対象所得:①×Min(②、③)

① 課税標準 – 土地・建物の譲渡差益等

② 移転本社勤務人員の給与比率

③ 移転本社勤務人員の人員比率

 

O 減免税額追徴

– 地方移転日以降に首都圏勤務人員が50%以上の場合

 

 

O 適用期限:2014年12月31日

□ 起算日変更等の制度改善

 

O (同左)

 

O (同左)

 

 

 

 

O 減免起算年度変更

– 最初の所得発生日が属する課税年度

O 減免除外業種追加

– (同左)

– 無店舗販売業、海運仲介業

O 減免対象所得:①×Min(②、③)×④

(同左)

④ 委託加工貿易外売上比率

 

 

O 減免税額の追徴緩和

– 地方移転日から3年後に首都圏勤務人員が50%以上の場合

 

O 適用期限:2017年12月31日

(改正理由) 地域経済活性化支援及び制度の合理化

(適用時期) 2015年1月1日以降移転する分から適用

 

(14) 遺族に対する慰労金の損金算入の許容(法人令第19条、所得令第55条)

現行

改正

<新設>

 

 

※ 現在、役員・使用人死亡時、勤労者と認められないため、遺族に支払われる学資金等に対しては損金不認定

□ 損金算入の許容

O 使用人・役員の死亡後、社内規定により遺家族に支払う学資金等の慰労金

(改正理由) 遺族に対する生活保護支援

(適用時期) 2015年2月3日以降支払う分から適用

 

(15) 免税事業者の電子計算書発給及び転送義務者(所得法第第163条、第81条③、法人法第76条⑨、第121条)

現行

改正

<新設>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<新設>

 

 

 

 

□ 計算書未発給加算税

O 供給価額×2%

 

 

<新設>

□ 電子計算書発給及び転送義務化

O 適用対象

– 法人事業者

– 個人事業者のうち以下の者

· 電子税金計算書の義務発給対象*事業者として  免税事業兼業者

* 年間供給価額3億ウォン以上の者

· 直前年度収入金額が一定金額(例:10億ウォン)
以上の者

 

□ 電子計算書発給・転送に対する税額控除

O 個人事業者に限り適用

O 発給件当り200ウォン(限度:年間100万ウォン)

O 適用期限:2018年12月31日

 

□ 電子計算書の未発給加算税

O 供給価額×2%

O 但し、(紙)計算書を発給した場合は、
供給価額×1%

□ 遅延(未)転送加算税

O 供給価額×加算税率(0.1%~1%)

(改正理由) 税源の透明性の向上

(適用時期)

 

□ 法人事業者、個人事業者のうち、課・免税兼業者

O (発給義務) 2015年7月1日以降取引する分から適用

O (加算税)

– (未発給加算税) 2016年1月1日以降取引する分から適用

– (遅延転送、未転送加算税) 2016年取引分は低い加算税、2017年以降取引分は正常加算税を適用

□ 自己事業者のうち、一定収入金額以上の者

O (発給義務) 2016年1月1日以降取引する分から義務化

O (加算税)

– (未発給加算税) 2017年1月1日以降取引する分から適用

– (遅延転送、未転送加算税) 2017年~2018年(2年)取引分は低い加算税、2019年以降取引分は正常加算税適用

□ (税額控除) 2015年1月1日~2018年12月31日取引する分に対し適用

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