トップページ > 会計税務ニュース > 【韓国会計】国家財政収入の根幹となる税制の改正案

STARSIAがお届けする業界NEWS 会計税務ニュース

【韓国会計】国家財政収入の根幹となる税制の改正案

最近世界経済で最も大きな話題となっているのが一国の財政問題であると言っても過言ではない。ギリシャから始まった国家財政危機はスペイン、イタリアなどのヨーロッパ全域に拡大し、世界経済の全般的な停滞に至っています。経済全体で輸出が占める割合の高い韓国では、このような世界経済の停滞がより早く進んでいるように感じられます。

ヨーロッパから始まった財政危機は他国にとって自国の国家財政をもう一度ふり返るきっかけとなっています。韓国の場合、国家債務は国内総生産(GDP)対比30%超で、経済協力開発機構(OECD)加盟国でも良好な方ですが、地方自治団体および公企業の負債が急激に増加している状況であるため、いつでもヨーロッパのような危機がくると分析されています。このような状況の下で韓国の企画財政部は、去る8月8日に国家財政収入の根幹となる税制の改正案を発表しました。

2012年税法改正案は、対外的にはヨーロッパ財政危機および世界経済の同時不振に対応し、対内的には人口高齢化や経済先進化に合わせた税制を改正して、最終的には課税基盤を広めることに焦点が合わせられています。特に、改正内容を詳細にみると「金持ち増税」により財政を拡充し、「庶民減税」により社会的弱者を保護するという最近の政治の動きが強く反映されているものとみられます。

■職場創出および成長動力の拡充

租税制度の雇用創出機能および将来の成長エンジン開発のための研究開発投資、また中小・ベンチャー企業の創業支援を強化する方向に改正されました。これにより、昨年の臨時投資税額控除に代替した雇用創出税額控除の控除率を拡大し、研究開発関連の設備投資、出損金および技術取得に対する税制支援を延長しました。中堅企業に対しては、研究開発費用の税額控除率を約2倍程度引上げ、中堅企業の投資促進および職場創出を支援することにしました。

■内需活性化および庶民生活の安定

健全な消費促進や住宅取引の正常化を支援し、経済危機に脆弱な庶民・中産層に対する配慮を強化しました。最近急激に低迷している住宅など不動産取引の正常化のため、不動産市場が過熱した時期に導入されていた多住宅者および非事業用土地に対する譲渡所得税重課制度をなくし、短期譲渡に対する重課税制度も緩和しました。また、低所得層の財産形成を支援するため、利息、配当所得に非課税が適用される財形貯蓄制度を新設しました。

■財政健全性の向上

先進国より低い税源の透明性を高め、非課税および減免を整備して課税基盤拡充のための税法を整備しました。このため、海外金融口座申告対象を拡大し、脱税情報申告の活性化のため、褒賞金限度を5億ウォン(約3,480万円)まで上方調整するなど、税源透明性を高めるための制度が強化されました。また、今年で期限が満了する非課税・減免制度のうち政策効果の低い制度については延長せず、大企業については租税減免を受ける場合でも、納付すべき最低限税率を少なくとも14%から15%に上方調整しました。

■租税制度の先進化

高齢化時代に備えた年金および退職所得税制を改正し、金融税制先進化のための制度を新設しました。将来の所得を準備する過程で、退職金より年金を選択するよう年金所得の所得税負担を有利に調整し、不足する年金財源拡充のため、年金の納入要件を緩和(10年以上→5年以上)し、受領要件を強化(5年以上→15年以上)しました。金融所得については他所得と合算して課税される基準である総合課税基準金額を下向調整し、株式譲渡差益課税対象となる大株主の基準を緩和しました。

今回の税法改正案は企画財政部の立法予告および国会での法案審査過程を経て、最終的に国会の表決で確定します。ただし、今年12月には大統領選挙が予定されており、有権者に最も敏感な事案の一つである税法改正案が最終的にどうなるかは予測できない状況です。一部、政治権ではもはや2012年税法改正案は先行きが不透明と言われるほど、今回の税法改正案が法に如何に反映されるのかは最後まで見守らなければならないと思われます。

ページトップへ

月別