- 2016年3月22日
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【韓国の会計・税務レポート】電子的サービスを供給する国外事業者の課税特例
韓国内に事業場のない国外事業者が海外オープンマーケットなどを通じて韓国内に電子的サービスを供給する場合、当該オープンマーケット事業者などは簡易事業者登録をして韓国付加価値税を申告・納付しなければなりません。これは、韓国内事業者が海外オープンマーケットなどを通じて韓国内に電子的サービスを供給する場合には付加価値税を申告・納付しているにも関わらず、国内事業場のない国外事業者が海外オープンマーケットなどを通じて韓国内に電子的サービスを供給する場合は付加価値税を課税していなかったことにより発生した、課税不平等の問題を解消するためのもので、2015年7月1日より施行されている制度です。
今回は、電子的サービスを供給する国外事業者の課税特例制度について説明します。
1. 電子的サービスを供給する国外事業者及び代理人(オープンマーケット事業者など)の納税義務
韓国内に事業場のない国外事業者が、韓国内に移動通信端末装置、又はコンピューターなどを通じて駆動する電子的サービスを供給した場合は、韓国内で当該電子的サービスを供給したものとみなされます。また、その国外事業者が以下に該当する第三者を通じて韓国内に電子的サービスを供給する場合は、その第三者が当該電子的サービスを韓国内で供給したものとみなされます。
① 情報通信網などを通じて電子的サービスの取引ができるよう、オープンマーケットやそれと類似したものを運営して関連サービスを提供する者
② 電子的サービスの取引で仲介などを行う者で、購買者から取引代金を受取って販売者に支払う者
③ それ以外に上記と類似して電子的サービスの取引にかかわる者
上記により韓国内で電子的サービスを供給する者は、その事業開始日から20日以内に国税通信網に接続し国税庁長に簡易事業者登録を行わなければならず、国税情報通信網に接続して付加価値税を申告・納付しなければなりません。
2. 電子的サービスの範囲
電子的サービスとは、情報通信網利用促進及び情報保護などに関する法律第2条第1項第1号による情報通信網を利用して役務を供給することで、移動通信端末装置及びコンピューターなどに保存されて駆動するか、或いは保存されずにリアルタイムで使用できる下記の何れか1つに該当するものを言います。
① ゲーム・音声・動画ファイル、電子文書、又はソフトウェアのような著作物などで、光、又は電子的方式により処理して符号・文字・音声・音響及び映像などの形態で制作、又は加工されたもの
② 上記による電子的なサービスを改善させるもの
3. 電子的サービスの供給時期
韓国内に供給される電子的サービスの供給時期は、以下のうち早い方になります。
① 購買者が供給者から電子的サービスの提供を受けた時
② 購買者が電子的サービスを購買するため、代金の決済を完了した時
4. 国外事業者の簡易事業者登録
韓国内に電子的サービスを供給する国外事業者は、その事業開始日から20日以内に国税情報通信網に接続し、以下の事項を入力して国税庁長に簡易事業者登録を行わなければなりません。
① 事業者及び代表者の氏名、電話番号、郵便番号、電子メールアドレス及びウェブサイトのアドレスなどの連絡先。
但し、法人名と異なる名称で取引する場合は、取引名称も含む。
② 登録国家・住所及び登録番号など役務を提供する事業場が所在する国外事業者登録関連情報
③ 提供する電子的サービスの種類、韓国内に電子的サービスを供給する事業開始日
④ その他簡易事業者登録のため必要な事項
納税管理人がいる場合、納税管理人の氏名、住民登録番号、又は事業者登録番号、住所、又は居所及び電話番号
付加価値税還付金を受けるための金融会社、又は郵便局に口座を開設した場合、その口座番号
国税庁長は簡易事業者登録を行った者に対して簡易事業者登録番号を付与し、事業者(納税管理人がいる場合は、納税管理人を含む)に通知しなければなりません。
5. 付加価値税の申告納付
簡易事業者登録を行った事業者は、国税情報通信網に接続して下記の事項を入力する方式により付加価値税予定申告及び確定申告を行わなければならず、当該申告による付加価値税納付は国税庁長が定めるところにより外国為替銀行の口座に納入します。
① 事業者名称及び簡易事業者登録番号
② 申告期間に韓国内に供給した電子的サービスの総供給価額、供給を受けた仕入税額及び納付する税額
③ その他必要事項
上記による申告・納付と関連して簡易事業者登録を行った者は、当該電子的サービスの供給と関連した控除される仕入税額以外は、売上税額又は納付税額から控除しません。
6 税金計算書などの発給義務免除
簡易事業者登録を行った事業者は、韓国内に事業場のない国外事業者で、主に消費者を相手に小額決済対象役務を提供することを考慮して、税金計算書及び領収証の発給義務が免除されます。
‐以上‐