- 2016年9月15日
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【韓国の会計・税務レポート】寡占株主みなし取得税について
韓国の税法は、法人の寡占株主になった場合、その持分比率分の取得物件をその寡占株主が新たに取得したこととみなして取得税を課税する寡占株主みなし取得税制度を置いています。
今回は、寡占株主みなし取得税と関連する韓国の税法上の規定についてご説明します。
1.寡占株主みなし取得税の概念
法人(株式を有価証券市場に上場している法人は除く)の株式又は持分(以下、「株式等」という)を取得することで当該法人の寡占株主となった場合に、その寡占株主が当該法人の取得税課税対象資産を取得したこととみなして取得税を課税する制度です。但し、法人設立時に発行する株式等を取得することによって寡占株主となった場合は、当該法人の課税対象資産を取得したこととみなされないため、取得税が課税されません。
本来、法人の株式等を追加取得することにより寡占株主となることは、当該法人の不動産等課税対象資産を直接的に取得することではありません。
それにも関わらずこれを取得とみなして取得税を課税する理由は、寡占株主となった場合、実質的にその法人に対する支配権を掌握することになるため、その支配権を行使できる範囲(持分率)で当該法人の取得物件を取得したことと同様であると言えるためです。
ここで、寡占株主とは、株主1名とその特殊関係者の所有株式数の合計が、当該法人の発行株式総数の50%を超過しており、それに対する権利を実質的に行使する者を言います。
2.みなし取得税の課税対象資産
みなし取得税の課税対象資産は、一般的な取得税の課税対象資産と同様です。
区分 |
課税対象資産 |
不動産 |
土地、建築物 |
不動産に準ずるもの |
車両、機械装備*、立木、航空機、船舶 |
各種権利 |
鉱業権、漁業権、ゴルフ会員権、乗馬会員権、コンドミニアム会員権、総合体育施設利用会員権及びヨット会員権 |
* 機械装置は、建設工事用、貨物荷役用及び鉱業用で使用される機械装置のみ該当する。
3.みなし取得税の計算方法
みなし取得税 |
= |
課税対象資産の総価額*1 |
× |
寡占株主が取得した株式数 |
× |
取得税率*2 |
その法人の株式総数 |
*1 寡占株主当時の帳簿価額とする。
*2 取得税率(農漁村特別税込み)2.2%。但し、車両運搬具の場合は2%(農業村特別税は免除)
4.みなし取得税計算時の持分率の適用例
(1) 法人の寡占株主が株式等の追加取得及び法人の増資等により初めて法人の寡占株主となった場合
:寡占株主となった日現在において当該寡占株主が所有している法人の株式等を全て取得したこととみなす。
区分 |
取得比率 |
持分比率 |
取得とみなされる持分比率 |
① 設立時 |
– |
45% |
– |
② 増資及び取得 |
15% |
60% |
60% |
(2) 既に寡占株主である株主が、当該法人の株式等を追加取得して持分率が増加した場合
:増加された分のみ取得されたこととみなす。
区分 |
取得比率 |
持分比率 |
取得とみなされる持分比率 |
① 設立時 |
– |
60% |
– |
② 増資及び取得 |
10% |
70% |
10% |
(3) 株式等の譲渡、増資等により寡占株主に該当しなくなった株主が、当該法人の株式等を再取得して寡占株主となった場合
:再び寡占株主となった当時の持分率が、それ以前に寡占株主となった当時の持分率より増加した場合に、その増加分のみ取得したこととみなされる。
区分 |
取得比率 |
持分比率 |
取得とみなされる持分比率 |
① 設立時 |
– |
– |
– |
② 増資及び取得 |
60% |
60% |
60% |
③ 譲渡 |
△40% |
20% |
– |
④ 再取得 |
50% |
70% |
10% |
5.みなし取得税の申告納付
みなし取得税の納税義務がある寡占株主は、取得税課税対象物件を取得した日から60日(その納税者が外国に住所をおいている場合は9か月)以内に取得税を申告・納付しなければならない。
以上