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【韓国の会計・税務レポート】勤労所得増大税制

政府は、勤労所得を増大させる企業にインセンティブを付与するため、2015年1月1日以降開始する課税年度分から適用される勤労所得増大税制を新設しました。
今回は、同税制について説明します。

1. 適用対象:全ての企業(大企業、中堅企業、中小企業)

2. 適用要件:下記1)と2)の要件を全て充足

1) 賃金要件:常時勤労者の当該年度平均賃金増加率>直近3年間の平均賃金増加率の平均

平均賃金計算には、役員や勤労所得金額が1.2億ウォン以上の高額年俸者、最大株主との特殊関係者などは除外され、直近3年間の平均賃金増加率の平均計算の際は、直近2年間の課税年度平均賃金増加率又は直近3年間の課税年度平均賃金増加率がマイナスの場合は‘0’とみなして計算します。

2) 勤労者数要件:当該年度常時勤労者数≥直前年度常時勤労者数

3. 税額控除額

[当該年度平均賃金 – 直前年度平均賃金 × (1 + 直近3年間の平均賃金増加率の平均)] × 直前年度勤労者数 × 税額控除率

税額控除率は、中小・中堅企業の10%、大企業は5%が適用されます。

4. 適用期限:2017年12月31日

上記の規定は、勤労所得増大により家計仮処分所得が増加するよう、勤労者の賃金が増加した企業に対し、その増加分10%(大企業は5%)の税額を控除することです。税額控除要件として、賃金要件と勤労者数要件の両方が全て充足されなければならないが、これを判断するにおいて、常時勤労者という概念について租税特例制限法ではこれを雇用創出投資税額控除関連施行令(租税特例制限法施行令第23条第10項から第13項まで)で定義していたが、新設された勤労所得増大税制では別途規定しています。これを既存の雇用創出投資税額控除規定関連施行令で定義した常時勤労者数と比較してみました。

区分

雇用創出投資税額控除

勤労所得増大税制

外国人が含まれるかどうかの可否

除外

含まれる

契約期間1年未満 勤労者

常時勤労者数から除外

(勤労契約更新で1年以上であれば含まれる)

常時勤労者数から除外

(勤労契約更新で1年以上であれば含まれる)(*1)

短時間勤労者

例外条項あり

(0.5名、又は0.75名で計算)

例外条項なく除外

所得金額条件

規定なし

勤労所得が1億2千万ウォン以上の勤労者は除外(*2)

5年以内入/退社者

規定なし

(*3)

役員(*4)

除外

除外

(*1) 平均賃金を計算する際、当該課税年度の勤労提供期間が1年未満の常時勤労者がいる場合は、当該常時勤労者の勤労所得金額又は賃金を、当該課税年度の勤務提供月数で割った金額に12を乗じて算出した金額を、当該常時勤労者の勤労所得金額又は賃金とみなす。

(*2) 所得税法第20条第1項第1号及び第2号による勤労所得の金額を言うもので、勤労所得のうち、勤労所得控除前の下記の総給与のみ該当する。

1. 勤労を提供することにより受ける俸給・給料・報酬・税費・賃金・賞与・手当と、これらと類似した性質の給与

2. 法人の株主総会・社員総会、又はこれに準ずる議決機関の決議により賞与として受ける所得

(*3) 税額控除を受けようとする課税年度の終了日前5年以内の期間中に退社したか、或いは新たに租税特例制限法施行令第26条の4第2項の各号による常時勤労者除外事由に該当することになった勤労者がいる場合は、同法第3項による常時勤労者の数及び第5項による平均賃金を計算する際、当該勤労者を除いて計算する。また、税額控除を受けようとする課税年度の終了日前5年以内の期間中に入社した勤労者がいる場合は、第6項により当該勤労者が入社した課税年度の平均賃金増加率を計算する際、当該勤労者を除外して計算する。

(*4) 法人税方施行令第20条第1項第4号の各目の何れか1つに該当する役員として実質的に判断すべきであり、当該事業年度中に役員だったことがあった場合は、常時勤労者数から除外しなければならないと判断される。

租税特例制限法施行令第26条の4(勤労所得を増大させた企業に対する税額控除)

① 法第29条の4第1項各号外の部分で、『大統領令で定める中堅企業』とは、第10条第1項による中堅企業を言う。

② 法第29条の4第1項第1号で、『大統領令で定める常時勤労者』とは、「勤労基準法」に従って勤労契約を締結した勤労者(以下の各号の何れかの1つに該当する者は除外し、以下この条では「常時勤労者」という)を言う。

1.   「法人税法施行令」第20条第1項第4号各目の何れかの1つに該当する役員

2.   「所得税法」第20条第1項第1号及び第2号による勤労所得の金額が1億2千万ウォン以上の勤労者

3.   企画財政部令で定める当該企業の最大株主、又は最大出資者(個人事業者の場合は、代表者を言う)及びそれと「国税基本法施行令」第1条の2第1項による親族関係の勤労者

4.   「所得税法施行令」第196条による勤労所得源泉徴収部により勤労所得税を源泉徴収した事実が確認できない勤労者

5.   勤労契約期間が満1年未満の勤労者(但し、勤労契約の連続更新により、その勤労契約の総期間が1年以上の勤労者は除外する。)

6.   「勤労基準法」第2条第1項第8号による短時間勤労者

③ 法第29条の4第1項及び第2項を適用する際、常時勤労者数は次の計算式により計算する。この場合、100分の1未満の部分はないものとする。

(当該課税年度の毎月末現在常時勤労者数の合計) / (当該課税年度の月数)

④ 法第29条の4第1項及び第2項を適用する際、賃金は「所得税法」第20条第1項第1号及び第2号による所得合計額を言う。

⑤ 法第29条の4第1項及び第2項を適用する際、平均賃金は次の計算式により計算した金額とする。この場合、1千ウォン以下の部分はないものとする。

(当該課税年度の常時勤労者数の賃金の合計) / (第3項による当該課税年度の常時勤労者数)

⑥ 法第29条の4第1項及び第2項を適用する際、平均賃金増加率は次の計算式により計算し、1万分の1未満の部分はないものとする。

(当該課税年度の平均賃金 - 直前課税年度の平均賃金) / 直前課税年度の平均賃金

⑦ 法第29条の4第1項及び第2項を適用する際、直近3年間の課税年度の平均賃金増加率の平均(以下、この条で「直近3年間の平均賃金増加率の平均」という)は、次の計算式により計算し、1万分の1未満の部分はないものとする。この場合、直近2年間の課税年度の平均賃金増加率、又は直近3年間の課税年度の平均賃金増加率がマイナスの場合は、‘0’とみなして計算する。

(直前課税年度の平均賃金増加率 + 直近2年間の課税年度の平均賃金増加率 + 直近3年間の課税年度の平均賃金増加率) / 3

⑧ 第5項より第7項までの規定にもかかわらず、直前課税年度の平均賃金増加率が、マイナス又は直近3年間の平均賃金増加率の平均(プラスの場合に限定)の100分の30未満の場合は、企画財政部令で定めることにより、各々平均賃金及び平均賃金増加率、直近3年間の平均賃金増加率の平均及び法29条の4第2項による直近3年間の平均超過賃金増加分を計算する。

⑨ 第2項第2号による勤労所得の金額及び第5項による平均賃金を計算する際、当該課税年度の勤労提供期間が1年未満の常時勤労者がいる場合は、当該常時勤労者の勤労所得の金額又は賃金を当該課税年度の勤務提供月数で割り算した金額に、12を乗じて算出した金額を、当該常時勤労者の勤労所得金額又は賃金とみなす。

⑩ 法第29条の4により、税額控除を受けることを希望する課税年度の終了日前5年以内の期間中に退社したか、或いは新たに第2項各号の何れか1つに該当することになった勤労者がいる場合は、第3項による常時勤労者数及び第5項による平均賃金を計算する際、当該勤労者を除外して計算し、税額控除を受けることを希望する課税年度の終了日前5年以内の期間中に入社した勤労者がいる場合は、第6項により当該勤労者が入社した課税年度の平均賃金増加率を計算する際に当該勤労者を除外して計算する。

⑪ 合併、分割、現物出資、又は事業の譲受などにより従前の事業部門で従事していた常時勤労者を合併法人、分割新設法人、被出資法人など(以下、この条で「合併法人など」という)が承継する場合は、当該常時勤労者は従前から合併法人などに勤務したこととみなす。

⑫ 創業及び休業などの事由により、第7項及び第8項により直近3年間の平均賃金増加率の平均を計算できない場合は、法29条の4を適用しない。

⑬ 法第29条の4により税額控除を受けることを希望する者は、課税標準申告と共に企画財政部令で定める税額控除申請書を納税地管轄税務署長に提出しなければならない。

租税特例制限法施行規則第14条の 2 【勤労所得を増大させた企業に対する税額控除

① 令第26条の4第2項第3号で、『企画財政部令で定める当該企業の最大株主、又は最大出資者』とは、以下の各号の何れか1つに該当する者を言う。

1.   当該法人に対する直接保有比率[保有している法人の株式、又は出資持分(以下、この条で「株式など」という)を、その法人の発行株式総数、又は出資総額(自己株式と自己出資持分は除外する)で割り算した比率を言う。以下、同様]が最も高い者が個人の場合は、その個人

2.   当該法人に対する直接保有比率が最も高い者が法人の場合は、当該法人に対する直接保有比率と「国際租税調整に関する法律施行令」第2条第2項を準用して計算した間接所有比率を合わせて計算した比率が最も高い個人

② 令第26条の4第8項により直前課税年度の平均賃金増加率がマイナス、又は直近3年間の平均賃金増加率の平均(プラスの場合に限定)の100分の30未満の場合は、以下の各号の計算式により、それぞれ平均賃金、平均賃金増加率、直近3年間の課税年度の平均賃金増加率の平均(以下、この条で「直近3年間の平均賃金増加率の平均」という)及び法第29条の4第2項による直近3年間の平均超過賃金増加分(以下、この条で「直近3年間の平均超過賃金増加分」という)を計算する。

1.   平均賃金

(当該課税年度の平均賃金 + 直前課税年度の平均賃金) / 2

2.   平均賃金増加率

(第1号による平均賃金 – 直近2年間の課税年度の平均賃金) / 直近2年間の課税年度の平均賃金

3.   直近3年間の平均賃金増加率の平均[直近2年間の課税年度の平均賃金増加率、又は直近3年間の課税年度の平均賃金増借りがマイナスの場合は、それぞれ‘0’とみなして計算する。]

(直近2年間の課税年度の平均賃金増加率 + 直近3年間の課税年度の平均賃金増加率) / 2

4.   直近3年間の平均超過賃金増加分

[第1号による平均賃金 – 直近2年間の課税年度の常時勤労者の平均賃金 × (1 + 直近3年間の平均賃金増加率の平均)] × 直前課税年度の常時勤労者数

 

 

 

 

‐以上‐

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