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【韓国の会計・税務レポート】2015年主要税法改正案

企画財政部は、今年の8月初旬に2015年税法改正案を発表しました。税法改正案のうち、外国人、非居住者及び外国人投資企業を中心に説明します。

 

I. 外国人及び非居住者関連情報

 

1. 非居住者などの定期外貨預金非課税適用の終了

現在、非居住者・外国法人が契約期間1年以上の定期外貨預金に加入し、その契約期間中に元金及び利息を引出していない場合は受取利息に対し所得税が免除されていましたが、その適用期限は2015年12月31日までとなり、2016年1月1日以降に加入する分に対しては非課税が適用されません。

 

2. 外国人観光客の美容整形医療役務に対する付加価値税の事後還付

外国人医療観光客を誘致するため、医療機関が2016年4月1日から2017年3月31日まで外国人観光客に美容整形医療役務を提供した場合に、当該外国人観光客が支払った付加価値税の還付を受けられるようにしました。
医療機関は、当該外国人観光客に医療役務供給確認書を発給し、外国人観光客は還付事業者を通じて出国の際に空港などで付加価値税の還付を受けることになります。


3. 非居住者などの不動産過多保有法人株式判定基準

不動産過多保有法人に該当する法人の株式を譲渡する場合、一般株式より高い税率が適用されます。現在、不動産過多保有法人の株式判定基準は、当該法人の資産総額のうち不動産比率が50%以上となる株式を言います。
税法改正案では、既に反映されている居住者との課税の均衡度を高めて租税回避を防止するため、2016年1月1日以降の譲渡分から当該法人が所有している他の不動産過多保有法人の株式価額(不動産保有比率相当額)も合算して不動産比率を計算することにしました。

 

II. 外国人投資企業関連情報

 

1. 多国籍企業の国際取引情報提出義務の追加

移転価格の正確な評価及び多国籍企業の租税回避防止のため、G20及びOECDは移転価格関連文書の提出義務の強化を勧告してきました。
OECD勧告案で提出が義務化される報告書は総3段階で、多国籍企業のグローバル事業運営及び移転価格政策など、経営活動全般に対する情報を含める『マスターファイル』、国外特殊関係企業との重要な取引情報(有形固定資産、無形固定資産、サービス及び資金取引など)及び移転価格決定根拠資料を含める『ローカルファイル』、そして、国家別現地法人の事業活動(売上高、収益、従業員数及び資産などの現況など)の情報を含める『国家別報告書』で構成されています。
これと関連し、税法改正案では移転価格の文書化を強化する一環として、一定取引及び資産規模以上の企業に対し、マスターファイル及びローカルファイルを包括する『国際取引情報統合報告書』の提出を義務化する内容が含まれました。また、国家別報告書は、今後海外立法事例及び現況を勘案して順次施行する予定です。

既存の国際取引明細書では、韓国に所在する法人と特定国外特殊関係者との国際取引金額を中心に課税当局に情報を提供するため、課税当局が納税者の誠実申告及び租税回避可否を判断するのに限界がありました。今回新規に導入する国際取引情報統合報告書は、多国籍企業である国内外法人の経営及び国際取引全般に対する内容が含まれています。

書式

主要内容

国際取引明細書

納税者と取引相手の商号、法人名、事業者登録番号、所在地(住所)代表者、業種事業年度及び課税期間及び国外特殊関係者との取引金額など

国際取引情報統合報告書

報告書I

(マスターファイル)

•多国籍企業の全体的な法的所有構造及び子会社・事務所の地理的位置

•グループ売上の5%に達する上位5種の財貨、またはサービスの詳細内訳

•重要な事業構造の再編取引、持分取得、企業売却などに関する説明など

報告書II

(ローカルファイル)

•現地法人の事業及び事業戦略に対する詳しい説明

•主要特殊関係に対する説明及びそのような取引が発生する情況

•特殊関係取引類型別に関連する関係企業のリスト及び各企業別関係表示など

 

<国際取引明細書と国際取引情報統合報告書の比較>

 

2. 国内派遣高所得勤労者から勤労の提供を受ける内国法人に対する源泉徴収義務の新設

現行税制上、派遣勤労者が海外の外国法人から勤労所得の支給を受ける場合、派遣勤労者が自ら、または納税組合を通じて勤労所得税を申告・納付しています。

<国内派遣高所得派遣勤労者に対する源泉徴収の概要>

今回の税法改正案では、国内に派遣された高所得勤労者の租税回避を防止するため、派遣勤労者を使用する内国法人が派遣外国法人に役務対価の支払をする際、役務対価に17%の税率を適用して源泉徴収する義務を制限的に付与しました。派遣外国法人は、年末調整時に年末調整を通して税額を追加納付するか、或いは還付申請を行います。

 

3. 外国人投資租税減免限度算定時に雇用部分の比重を拡大

現在、外国人投資租税減免対象となる場合、減免限度について金額基準と雇用基準を足して算出しています。金額基準は、7年型減免の場合は外国人投資金額×70%、5年型減免の場合は外国人投資金額×50%であり、雇用基準は全て外国人投資金額×20%で同一です。

今回の改正案で、金額基準は、7年型減免の場合は外国人投資金額×50%、5年型減免の場合は外国人投資金額×40%、雇用基準は、7年型減免の場合は外国人投資金額×40%、5年型減免の場合は外国人投資金額×30%とし、減免限度算定時に雇用部分の比重を高めました。

減免区分

現行

改正

7年型

投資金額基準70%+雇用基準20%

投資金額基準50%+雇用基準40%

5年型

投資金額基準50%+雇用基準20%

投資金額基準40%+雇用基準30%

<外国人投資租税減免限度>

同制度は、外国人投資企業の雇用創出を強化するためのもので、2016年1月1日以降の初出資分から適用されます。

 

III. その他主要改正案

 

1. 青年雇用増大税制の新設

消費性サービス業など一部業種を除き、最終課税年度に対比して青年正規職勤労者数が増加した場合、その増加した人員に500万ウォン(大企業は250万ウォン)を乗じた金額を税額控除適用します。但し、青年正規職勤労者増加人員は総常時勤労者を限度とし、今回新設された同税額控除規定は、現行中小企業の雇用増加人員に対する社会保険料の税額控除と同時に適用される項目です。

同制度は、青年が働ける良質の職場を創出することにより青年雇用を増加させるためのもので、支援の緊急性を考慮して2015年12月31日が属する課税年度から適用され、適用期限は2017年12月31日が属する課税年度までとなります。

 

2. 業務用乗用車関連費用の課税合理化

法人、個人事業者の業務に使用しない車両に対する減価償却費、賃借料などは費用と認定しないことが原則であるが、業務用として使用しているかどうかの可否について執行上確認が難しく、一部のみ使用した場合の課税基準がないため、現実的には全額費用として認定せざるを得ないという問題点がありました。

そこで、業務用乗用車の私的使用を制限するため、関連費用に対し費用認定基準を充足する場合に限って損金として認定を受けることができるようになりました。

1) 適用対象車両及び関連費用

付加価値税法第39条による付加価値税買入控除が適用されない乗用自動車に限定されます。関連費用としては減価償却費、リース費用、ガソリン代、保険料、修理費、自動車税、通行料等の車両に関連する費用です。

☞軽量車、バン、貨物車、タクシー等営業用、二輪車等は適用対象車両から除く

2) 業務用乗用車の関連費用の認定基準

(1) 役職員専用自動車保険等の一定要件(*)を満たす場合

(*)例) • 役職員のみ運転が可能な業務用保険加入(2016年度中に保険更新時加入必要)

• 税務署に該当車両を業務用に申告等

① 乗用車関連費用の一定比率(例:50%)認めたうえ、追加で業務用使用比率(*)を立証する場合該当比率だけ認定

(*)総使用距離のうち業務用使用距離が占める比率

(*)立証方法(例示): 運行日誌、簡便車両利用明細等

☞追って業務に使わなかったことが確認される場合、未使用部分は否認

② 企業、事業者ロゴ(*)を付着した乗用車は100%費用認定

(*)着脱式方式は認められないで具体的な基準は国税庁が決める方式による。

☞リース、レンタカーの場合も、役職員専用保険加入、業務使用立証など直接所有と同様の要件を充足しなければ費用として認定を受けることができない。

(2) 上記の一定要件を満たさない乗用車の場合

① (法人)乗用車の関連費用全てを損金不算入

② (個人事業者)業務使用比率を立証する場合一定の金額を限度とし、使用比率だけ費用認定

3) 適用対象及び時期

(法人)全ての法人が2016年1月1日より開始する課税年度

(個人事業者)所得税法第160条3項による複式簿記義務者に限って適用することにし、2016年は制度施行初年であることを勘案し、所得税第70条の2第1項によって直前年度(2015年)誠実申告確認対象事業者に限って適用

☞誠実申告確認対象者: 2016年1月1日より開始する課税期間

複式簿記作成対象者: 2017年1月1日より開始する課税期間

 

3. 中小企業就業者に対する所得税減免の拡大

青年、高齢者及び障害者が中小企業で就業する場合、現在は最初就業日より3年間所得税の50%減免が適用されます。今回の改正案で限度金額を150万ウォンにして減免率を既存50%から70%に上向調整しました。また、適用期限を既存2015年12月31日から2018年12月31日までに延長しました。

同制度は、2016年1月1日以降就業して支給を受ける所得分から適用されます。

 

4. 創業初期中小企業のR&D税額控除額の繰越控除期間の拡大

現行の研究開発費の税額控除期間は5年です。今回の改正案で創業初期中小企業のR&D投資を支援するため、創業初期中小企業の研究人力開発費の税額控除額の繰越控除が10年間できるようにしました。

創業初期の中小企業とは、設立日より5年以内の中小企業を言い、同制度は2016年1月1日以降開始する課税年度分から適用されます。

 

5. 繰越欠損金の控除限度の新設

繰越欠損金の年間控除限度を新設し、一般企業の場合は当該年度所得の80%を限度として控除可能です。但し、中小企業は適用対象から除外され、現行通り限度なく繰越欠損金の控除が可能です。

また、裁判所の決定による更生計画を履行中の企業、構造調整促進法上経営正常化計画を履行中の企業及び債権金融会社との協約による経営正常化計画を履行中の企業は、限度適用から除外され、従来通り繰越欠損金控除が可能です。

 

6. 研究、人力開発費の税額控除対照から管理職員の人件費除外

現在、税額控除対象である研究開発費人件費項目に管理職員の人件費が含まれています。しかし、2016年1月1日以降課税年度分からはR&D支援の効率性を高めるため、控除対象人件費から除外しました。

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