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韓国の税金計算書制度

税金計算書とは、事業者が財貨又は役務を供給する際に、付加価値税を徴収したことを証明するため、その財貨又は役務の供給を受けた者に対して発行する付加価値税徴収領収書を意味します。

 

商取引において事業者が物品を納品したり、代金を請求したりする場合、送り状や請求書などを発行して取引を確認するのが一般的な商慣行ですが、韓国ではこれに加え、税法で定められた様式及び内容を記載し、法で定められた方法により税金計算書を発行することを強制化しています。即ち、税金計算書とは、商取引の証憑である請求書、領収証などを課税資料として法制化したものであるとも言えます。また税金計算書制度は、財貨等の供給を受ける課税事業者が仕入税額控除を受けることを円滑化し、付加価値税の重複課税なく最終消費者に転嫁するための制度的装置です。

 

韓国の税法では税金計算書の授受を厳格に統制しています。これは、取引の正常化及び透明化を担保することで脱税を根本的に予防し、誠実な納税風土の組成及び根拠課税を具現化することにその目的があります。

 

1. 税金計算書の概要

 

(1) 発行義務者

税金計算書の発行義務者は、納税義務者として登録した事業者です。納税義務者であっても事業者登録をしていないと税金計算書を発行することができません。また、免除事業者は付加価値税納税義務がないため、税金計算書を発行することができず、所得税法又は法人税法の規定により「計算書」又は「領収書」を発行しなければなりません。

 

なお、財貨を輸入する者に対しては税関長が輸入税金計算書を輸入者に交付します。

 

(2) 税金計算書の記載事項

税金計算書の記載事項は以下の通りに必須的記載事項と任意的記載事項とに区分されます。必須的記載事項は、必ず記載されなければならない事項であり、記載が漏れたり事実と異なる場合は、税金計算書としての効力が認められず、更に加算税(供給価額の1~2%)の適用を受けます。

 

必須的記載事項

任意的記載事項

供給する事業者の事業者登録番号、
及び氏名又は名称

供給する者と供給を受ける者の業種と銘柄

供給を受ける者の事業者登録番号

供給する者の住所

供給価額と付加価値税税額

供給を受ける者の商号(氏名)、住所

作成年月日

供給品目

 

単価及び数量

 

供給年月日など

 

(3) 交付時期

税金計算書は、原則的として財貨又は役務の供給時に交付しなければなりません。但し、供給時が到来する前に代価の全部又は一部を受け、これに対する税金計算書を発行した場合には、その発行した時期を供給時とみなします。また、以下に該当する場合には財貨又は役務の供給日が属する月の翌月10日までに税金計算書を交付することができます。

 

① 取引先ごとに1暦月(毎月1日から当月の末日までを言う)の供給価額を合計して当該月の末日を発行日付として税金計算書を発行する場合

② 取引先別に1暦月(毎月1日から当月の末日までを言う)以内で事業者が任意に定めた期間の供給価額を合計して、その期間の終了日を発行日付として税金計算書を発行する場合

③ 証憑書類などにより実際に取引事実が確認できる場合で、当該取引日を発行日付として税金計算書を発行する場合

 

2. 税金計算書の修正

 

税金計算書を発行した後、その記載事項に錯誤又は訂正事由が発生した場合には、政府の更正通知がある前までであれば修正税金計算書を交付することができます。また、当初の供給価額に追加金額又は減算金額が発生した場合には、その発生した時に税金計算書を修正交付することができます。

 

3. 税金計算書合計表の提出

 

事業者が税金計算書を発行したか、あるいは発行を受けた場合は、付加価値税予定申告又は確定申告時に売上・仕入先別税金計算書合計表を提出しなければなりません。

売上先別税金計算書合計表を提出しない、もしくは記載事項に不実記載又は事実と異なる記載がある場合、加算税(供給価額の0.5~1%)の適用を受けます。

 

4. 電子税金計算書制度

 

(1) 意義

電子税金計算書制度とは、事業者が電子的方法により税金計算書を発行し、国税庁に転送する制度です。同制度は紙税金計算書の利用による事業者の納税協力費用を節減させ、事業者間取引の透明性を高めるため、2010年1月1日から施行されています。

 

(2) 電子税金計算書を交付すべき事業者

法人及び売上高が10億ウォン(直前事業年度基準)である個人事業者は、事業者電子税金計算書の発行が義務づけられています。一方、その他の個人事業者は紙の税金計算書と電子税金計算書のうち、いずれかを選択して利用することができます。

 

(3) 電子税金計算書の国税庁への転送

電子税金計算書を発行した事業者は、電子税金計算書発行日の翌日までに国税庁長に税金計算書発行明細を転送しなければなりません。

 

(4) 電子税金計算書のメリット

事業者が電子税金計算書を発行して国税庁に転送する場合、一件当り200ウォン(年間100万ウォン限度)の税額控除を受けることができます(ただし、2013年12月31日まで)。また、付加価値税申告時に税金計算書合計表には合計額のみ記載し、取引先別の個別明細書を作成する必要がありません。

 

(5) 電子税金計算書関連加算税

① 電子税金計算書を発行しないか、あるいは紙の税金計算書を発行する場合:供給価額の2%

② 遅延発行加算税:供給価額の1%

③ 未転送加算税:供給価額の0.3%

④ 遅延転送加算税:供給価額の0.1%

 

(6) 電子税金計算書の発行方法

電子税金計算書の発行方法は、国税庁の「e-sero」サイトを通した発行、電子税金計算書専用サイトを通した発行、ARSを通した発行、VANを通した発行があります。実務上最も多く利用される発行方法は国税庁の「e-sero」」サイトを利用する方法です。

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