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【韓国会計】韓国の代表的な間接税:付加価値税

最近日本の政治および経済界では、消費税増税に対する論議が激しくなっています。深刻化する財政赤字や東日本大地震の復興財源の確保と相まって、これらを解消するための方策として消費税を段階的に10%まで引き上げるという日本政府の案に対し、与党内でも反発が少なくないようです。消費税は、直接税である法人税や所得税と異なる逆進的な特性がある間接税であるものの、直接税より乗数効果が速くて大きいという長所により反対世論にも関わらず引き続き推進されているものとみられます。

日本の消費税と類似する制度で韓国には付加価値税という制度があります。付加価値税制度は、基本的には消費に対して賦課される税金であり、1988年以来10%の税率が維持されています。ただし、日本の消費税とは構造面で重要な差異があるため、韓国進出を計画している日本のクライアントから筆者が最も多く相談を受ける事項の1つが同制度です。この機会を通して同制度の核心である税金計算書および事業者登録制度について紹介します。

1. 税金計算書とは

韓国の付加価値税は、租税理論上「前段階税額控除法」という方法で税金を計算します。付加価値税は言葉通り事業者が創出した付加価値に対して賦課する税金であるため、事業者が生産過程または流通過程で創出した価値増加額をどのように計算するかによって税金を算出する方法が変わります。

「前段階税額控除法」とは、一定期間中の売上高に税率を乗じて算出した売上税額から、前段階の仕入れ高に税率を乗じて算出した仕入れ税額を控除する方法で納付税額を計算する方法です。

仕入れ高および仕入れ税額は仕入れ時に交付を受けた税金計算書により確認されるもののみを控除するため、税金計算書は付加価値税を計算する最も重要な媒介手段となります。また、相互取引を通して発生する税金計算書は売上業者および仕入れ事業者双方が税務署に申告するため、課税官庁の立場からは税金計算書で課税根拠を把握できるという長所があります。このため、韓国の付加価値税は税金計算書に基づき税額を計算し、申告および納付しています。

この様に、韓国における税金計算書は単なる領収証や請求書等の機能としてだけでなく、事業者が付加価値税法に基づき税金を徴収した事実を証明する重要な課税資料としての役割を担っています。よって、税金計算書を授受する場合は一般的にやり取りされる領収証とは別途に、必ず付加価値税法に基づき発行されたものであるかどうか、または授受時期などを確認しなければなりません。

2. 事業者登録制度について

付加価値税のもう1つの大きな特徴は、事業場単位で申告および納付することです。法人税または所得税は、法人または個人の所得に対する課税であるため、本店所在地または個人の住所地を納税地として税金を納付します。しかし、付加価値税は財貨または役務の取引によって発生する税金であるため、課税対象である財貨または役務の供給が行われる事業場を基準にして納税地を定めています。従って、1事業者が2カ所以上の事業場(支店)を有する場合は事業場ごとに事業者登録をし、別々に事業者登録番号の交付を受け、付加価値税を申告および納付することが原則です。

そのため、事業場を数カ所保有している事業者の場合、実態は1カ所であるにもかかわらず付加価値税の諸般義務は事業場ごとに履行しなければならないという不便な点もあります。この点について付加価値税法上「事業者単位課税」という制度があるため一度確認してみる必要があります。

事業者単位課税制度とは、課税官庁に事業者単位課税を申請した事業者については当該事業者の本店または主要事務所の名義および事業者登録番号で税金計算書を収受し、付加価値税を総括して申告・納付する制度です。従って、事業者単位課税制度を適用する場合、支店は支店名義で別途税金計算書を授受する必要がなく、本店で統合して付加価値税申告および納付を行うことになります。

過去には事業者単位課税制度を導入するためには法で定める一定電算システム設備(ERP)を備え、管轄税務署長の承認を必要とする複雑な条件がありました。しかし、法改正により2010年からは電算設備システムを備えなくても事業者単位課税制度を選択できるようにし納税者の便宜を図ったため、これを積極に活用すれば付加価値税に関する負担を相当解消できるものと思われます。

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