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【韓国会計】租税条約上制限税率を適用する源泉徴収特例制度の施行

古今東西を問わず、税金問題は国と納税者間の力比べの連続でした。国は税金を少しでも徴収するため税制を整備し、納税者は法の枠内で(たまには違法を利用しても)最大限税金を払わないため相変わらず努力してきました。特に、国際取引が日常化された現代社会で、国と国とで発生する税務問題は複雑な問題が絡み、課税当局と納税者間の争いが頻繁に発生します。

一国内で発生する税金問題は単に当該国の税法を適用すれば良いものの、多国間に関わる税務は何より両国間で締結された租税条約がもっとも重要な基準です。租税条約とは、国際間の取引において同一の税金を複数国で重複して課税する国際的課税を防止するため、国家間で締結する協定です。従って、国際取引と関連した税金問題は各国の内国税法より優先適用されるのが原則であり、韓国の場合、今年4月末現在に80カ国余りの国と租税条約を締結しています。

租税条約は二重課税を防止するため、非居住者の所得に対して所得が発生した源泉地国の課税権を認定しないか、あるいは一定範囲に制限することによって、非居住者の実際居住地国と所得の源泉地国間で課税権を調整する内容を含んでいます。これにより、租税条約では内国税法の税率とは別途に各所得(利息、配当、使用料など)別に制限税率をおいて、一種の税制上の恩恵を付与しています。制限税率とは、一国の源泉所得に対し租税条約上の相手居住者または法人に課税できる最高税率を意味します。

国際取引が活発になるにつれ、二重課税を防止するために締結された租税条約を利用して巧妙に税金を回避する事例が頻繁になりました。外国系列ファンドなどは租税条約上の低税率国家にペーパーカンパニーを設立し、ばくだいな投資利益を得ながらも税金を払わなかったため、一時期社会的イシューとなったこともありました。これに対応するため、韓国の課税当局は昨年末税法を改正し「租税条約上制限税率適用源泉徴収特例制度」を新設しました。この制度により、今年7月1日以降韓国で利息、配当、使用料などの所得が発生する非居住者または外国法人が租税条約上制限税率の適用を受けるためには、所得支払いを受ける前の制限税率適用申請書を源泉徴収義務者に提出しなければなりません。

特に問題となった国外集合投資機構が租税条約上制限税率の適用を受けるためには、所得の実質帰属者すなわち投資家の身の上情報を源泉徴収義務者に提出しなければなりません。源泉徴収義務者が制限税率適用申請書を受けることができないか、あるいは提出された書類で実質帰属者を把握できない場合には、韓国の税法による源泉徴収税率を適用することにしました。

例えば、韓国に100%子会社を保有する日本の居住者または法人は、従来は申請書作成あるいは申告をしなくても配当所得について5%の税率の適用を受けることができました。しかし、7月1日からは源泉徴収義務者(韓国子会社)に制限税率適用申請書を提出しなければ5%の制限税率の適用を受けることができず、22%の韓国税法の税率が適用されます。

この制度の本来の趣旨は、外国系列私募ファンドなどの国外投資機構が有利な租税条約を利用して税金を回避する行為を防止するため導入されました。しかし、韓国内源泉所得のある全ての外国法人や非居住者が適用対象となるため、実際に制限税率の適用を受けるためには一般的な外国法人や非居住者も含めた全ての外国法人や非居住者が申請書を準備しなければなりません。特に、制度の中心にある国外集合投資機構(ファンド)は、実質帰属者に対する明細及び総投資金額内訳など、各種の書類を提出する義務があるためよりいっそう留意しなければなりません。

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