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韓国の過小資本税制

過小資本税制とは、資本金に比べ過度な借入を行う場合に、借入金に係る支払利息のうち一定基準を超過する支払利息を配当とみなし、配当とみなされた支払利息の損金算入を認めない制度です。

 

今回は韓国の過小資本税制について説明します。

 

1. 概要

 

韓国内子会社が外国法人から受ける資金援助の形態は、大きく分けると持分出資と資金借入がありますが、これらは配当と支払利息を発生させます。出資に対する配当は課税所得計算時に損金算入が認められませんが、借入に対する支払利息は損金算入が認められます。このような課税計算上の差異により、子会社は外国法人から資金を調達する際に、出資ではなく借入を好む場合があります。

過小資本とは、このような資金調達形態よる租税負担を減らす目的で意図的に子会社に対する出資を減らして貸付を増やす行為で、過小資本税制とは、過小資本を利用して子会社の課税所得を減少させる行為を規制する制度です。

 

韓国の国際租税調整に関する法律第14条では、内国法人の借入金のうち国外支配株主より借入た金額及び国外支配株主の支払保証により第三者から借入れた金額の合計額が当該支配株主が出資した金額の3倍(金融業は6倍)を超過する場合、その超過する借入金に対する支払利息は損金不算入とし、配当又はその他社外流出と処分すると規定しています。

 

2. 国外支配株主の範囲

 

過小資本税制は国外支配株主より過度の借入を行う場合に適用されます。ここで国外支配株主とは、下記の何れかに該当する者です。

 

(1) 内国法人の議決権株式の50%以上を直間接的に保有する外国株主

(2) 国内事業場のある外国法人の本店又は支店

(3) 上記(1)又は(2)の規定による外国株主が議決権株式の50%以上を直間接的に保有する外国法人

(4) 資本の出資関係、財貨役務の取引関係、資金の貸付などについて所得を調整できる共通の利害関係があって、下記の何れかの方法により事業方針の全て又は重要な部分を実質的に決定できる場合

① 他方の法人の代表役員や役員総数の半数以上に該当する役員が、一方の法人の役員又は従業員の地位にあるか、或いは事業年度終了日より遡及して3年以内に一方法人の役員又は従業員の地位にあったこと

② 一方が組合や信託を通して他方の議決権株式の50%以上を保有すること

③ 他方が事業活動の50%以上を一方との取引に依存すること

④ 他方が事業活動に必要な資金の50%以上を一方より借入れるか、或いは一方による支払保証付で調達すること

⑤ 他方が一方より提供される無体財産権に50%以上を依存して事業活動を営むこと

 

3. 損金不算入額計算方法及び所得処分

 

損金不算入額の計算は以下の通りに計算します。

 

損金不算入額

=

国外支配株主に対する支払利息

×

国外支配株主に対する借入金積数 – 国外支配株主の出資金額積数 × 3(金融業の場合は6)

国外支配株主に対する借入金積数

 

なお、国外支配株主より借入た金額に対する支払利息のうち損金不算入となった金額は配当で処分されたものとみなし、国外支配株主の支払保証付で第三者より借入た金額に対する支払利息のうち損金不算入となった金額はその他社外流出処分されたものとみなされます。

 

4. 源泉徴収税額の調整方法

 

過小資本税制の適用を受ける内国法人が各事業年度中に支払った利息について国外支配株主に対する法人税を源泉徴収した場合は、配当に対する法人税計算時に既に源泉徴収した税額と相殺して調整します。

源泉徴収税額に対する相殺調整を行った結果、納付する税額がある場合は法人税確定申告期限が属する月の翌月10日までにこれを管轄税務署長に納付しなければなりません。なお、還付を受ける税額がある場合は還付を申請することができます。

 

5. 第三者介入借入取引

 

内国法人が国外支配者ではない者から借入た金額が以下の要件を全て満たす場合は、これを国外支配株主より直接借入た金額とみなして過小資本税制の規定を適用します。但し、内国法人が国外支配株主ではない国外特殊関係者より借入た場合は、②の要件にのみに該当しても過小資本税制の規定を適用します。

 

① 当該内国法人と国外支配株主間に事前契約があること

② 借入条件が当該内国法人と国外支配株主により実質的に決定されること

 

6. 過小資本税制の適用が除外される場合

 

内国法人が国外支配株主より調達した借入金の規模及び借入条件が特殊関係のない者間の通常的な借入規模及び条件と同一、又は類似したものであることを立証する下記の資料を法人税申告時に提出する場合は、過小資本税制の規定が適用されません。

 

① 利息率、満期日、支払方法、資本転換可能性及び他債権との優先順位などを考慮する場合、当該借入金が事実上出資に該当しないことを立証する書類

② 当該内国法人と同種の事業を営む比較可能な法人の自己資本に対する借入金の倍数に関する資料(この場合、比較可能な法人とは、当該内国法人と事業規模及び経営与件などが類似した内国法人のうち、借入金の倍数において代表性のある法人言う)

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