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固定事業場(Permanent Establishment)

固定事業場(Permanent Establishment、以下「PE」という)とは、非居住者又は外国法人(以下、「外国法人など」という)が事業の全部又は一部を遂行するための国内の固定した事業場所を言い、外国法人などが国内にPEを有しているかどうかによって韓国での課税関係が異なります。今回はPE判定の重要性、PEの類型及び成立条件について説明します。

 

1. PE判定の重要性

 

外国法人などが韓国内にPEを有しているかどうかによって以下の差異が発生します。

 

(1) 事業所得に対する課税権

租税条約締結国の外国法人などが韓国で事業所得が発生した場合、当該外国法人などが韓国内にPEを有している場合に限って韓国で課税権が発生し、PEがない場合は事業所得に対し韓国で納税義務が発生しません。

 

(2) 制限税率適用

利息、配当、使用料などの投資所得(Capital gain)に対しては租税条約上制限税率を超過して課税することができませんが、当該投資所得がPEと関連する場合は事業所得とみなされ課税されます。

 

(3) 国内源泉所得に対する課税方法の決定

韓国内にPEを有する場合、当該PEは韓国内で所得税法、法人税法及び付加価値税法などで規定する各種税法上の義務が課されます。なお、PEと関連しない所得とPEのない外国法人などの国内源泉所得は、所得の支払者が源泉徴収することで、韓国での課税義務が終結します。

 

2. PEの類型及び成立要件

 

(1) 一般固定事業場

 

外国法人などが韓国内で事業の全部又は一部を遂行する固定した場所を言います。外国企業などの国内支店、連絡事務所などはその名称を問わず、下記の3つの要件を充足すれば PEに該当します。

 

1) 事業場所が存在すること(場所的概念)

事業活動を遂行するために使用される建物、施設、装置又は場所が存在しなければなりません。

 

2) 事業場所が固定していること(期間的概念)

事業場所が一定期間継続的に特定位置に存在しなければなりません。

なお、下記の場合は、PEが成立する期間を明示しています。

① 建築工事、建設・設置工事、又はこれと関連した監督活動の場合:そのような場所・工事、又は活動が6ヶ月を超過し     て存続する場合

② 雇用人を通して役務を提供する場合で、下記のいずれかに該当する場所

・継続する12ヶ月中合計6ヶ月を超過する期間の役務が遂行される場所

・上記に該当しない場合で、類似した種類の役務が2年以上継続的、反復的に遂行される場所

 

3) 固定した事業場所を通して事業を遂行すること(機能的概念)

固定した事業場所で事業の全部又は一部を遂行しなければなりません。事業活動が必ず生産的性格を持つ必要はありませんが、その事業活動がその企業の事業の予備的、補助的な活動ではいけません。

外国法人などの国内事務所が遂行する活動が事業の予備的、補助的活動であるかどうかの判断は、その国内事務所が遂行する活動が当該外国法人などの全体事業活動の中で本質的かつ重要な部分を構成しているかで判断するべきですが、外国法人などの国内事務所の一般的な活動目的が当該外国法人などの全般的な事業目的と同一である場合、当該活動は事業の予備的、補助的活動に該当しません。例えば、外国法人が国内顧客に販売した資産と関連し、外国法人の国内事務所が部品を供給するか、或いは維持・保守などのAS活動を遂行する場合、当該活動は補助的活動であるとみなせないため、当該AS活動を遂行する事務所はそのASに対する代価の受領有無とは関係なく、その外国法人のPEに該当すると、韓国の課税官庁は解釈しています。

 

4) PEに該当しない場所の例示

 

上述した通り、事業の予備的、補助的活動に該当する場合、その固定した場所はPEに該当しません。予備的、補助的活動を遂行する事業場所の例示は下記の通りです。

–      資産の単なる購入のみのために使用する場所

–      販売を目的としない資産の貯蔵又は保管のためにのみ使用する場所

–      広告宣伝、情報の収集・提供、市場調査及びその他事業遂行上の予備的かつ補助的性格を持つ事業活動のみを行うために使用する場所

–      非居住者、外国法人が自らの資産を他人に加工させるために使用する場所

 

(2) みなし固定事業場

 

外国法人などが韓国内で自らのための契約を締結する権限を持つ者及びこれに準ずる者を通して韓国内で事業を経営する場合は、その外国法人などは韓国内にPEを保有しているとみなされます。これは韓国内で正常的に支店を開設して事業を営み源泉地国で税金を申告する場合とは異なり、支店の代わりに従属代理人を置き、事実上支店を置くのと同様の経済的効果を得ながら、源泉地国での納税義務を回避する場合との課税衡平を維持するための制度です。

 

1) 従属代理人の類型

① 非居住者、外国法人などの資産を常時保管し、慣例的にこれを配達・引渡す者

② 特定外国法人などのみのために契約を締結するなど、事業に関する重要な部分の行為を行う者

③ 保険事業を営む外国法人などのために保険料を徴収するか、或いは国内所在の被保険物に対する保険を引受ける者

 

2) 従属代理人の要件

① 代理人が外国法人などのために事業に関する契約を締結する権限を持っていること

ここで契約とは、固有事業と関連して締結する契約を言い、内部的経営、管理活動と関連して締結する契約は含まれません。また、契約を締結できる権限とは、外国法人などを拘束できる契約の重要かつ詳細事項について相談・協議できる権限を言い、当該代理人が契約書に捺印しない場合も契約を締結できる権限があるとみなします。

 

② 代理人がその権限を反復的に行使すること

反復的行使とは、長期の代理契約により契約締結権を継続的かつ反復的に行使する場合だけでなく、2つ以上の短期代理契約により契約締結権を継続的かつ反復的に行使する場合も含まれます。

 

③ 独立代理人ではないこと

代理人が仲介人、委託売買人、その他独立的地位の代理人であり、その代理人が自己事業の通常的な過程でそのような活動を行う場合、当該代理人は独立代理人に該当します。独立代理人を通して事業活動を行う場合はPEを保有していないとみなされます。
但し、下記の場合は独立代理人に該当しないとみなされます。.

–     代理人が外国法人などのための活動を行うことにおいて、当該外国法人などより詳細な指示や統制を受ける場合

–     当該事業活動により発生する事業場のリスクを当該外国法人などが負担する場合

–     代理人がその収入を全面的に当該外国法人に依存している場合

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