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韓国の支出証憑制度

法人は「取引証憑」を通して実質的に取引が発生したことを立証すべきであり、特に、資金の支出をもたらす「支出証憑」は資金支出に対する明確な根拠及び内容がなければなりません。

韓国の税法では正規証憑制度をとり、一定取引に対しては必ず正規証憑(税金計算書など)を受取ることにしています。正規証憑を受取っていない場合には加算税が賦課されたり、税務上損金として認められません。

 

今回の号では韓国の税法上正規証憑の種類、正規証憑の受取対象、正規証憑を受け取っていない場合の税務上規制などについて説明します。

 

 

1. 主要取引別取引証憑の種類

 

1) 資産(財貨)を取得する場合

:税金計算書、計算書、クレジットカード売上伝票、現金領収証、領収証、入金票、契約書及び取引明細書など

2) 負債(債務)を償還する場合

:入金票、無通帳入金証、引落確認書及び契約書など

3) 人件費、事業所得及びその他所得などを支払う場合

:源泉徴収領収証(支払明細書)、給与台帳、定款及び取締役会議事録及び賞与金支払規定

4) その他経費を支出する場合

:税金計算書、計算書、クレジットカード売上伝票、現金領収証、領収証、入金票、契約書及び取引明細書など

 

 

2. 税法上支出証憑の区分

 

(1) 正規支出証憑

 

正規支出証憑とは、税金計算書、計算書、クレジットカード売上伝票(現金領収証を含む)などを言います。

① 税金計算書:付加価値税課税事業者のうち、一般課税者が財貨役務を供給して発給する証憑

② 計算書:付加価値税免税事業者が発給する取引証憑

③ クレジットカード売上伝票:クレジットカード加盟事業者が発給する取引証憑で、役職員名義のカードで事業と関連した費用を支出した場合にも正規支出証憑として認められる(但し、交際費の場合には必ず法人カードでなければならない)。

④ 現金領収証:現金領収証加盟事業者が発給する取引証憑

 

(2) 領収証など

 

税法上正規支出証憑に属さない証憑で、簡易領収証、入金票、無通帳入金証、引落確認書、金銭登録機領収証、支出通帳の写し、契約書、取引明細書、取引事実確認書などの代金支払事実と取引事実を客観的に立証できるものがあります。

 

 

3. 正規支出証憑の受取義務

 

(1) 一般経費の場合

 

法人が事業者より1件当り取引金額が3万ウォンを超過する財貨又は役務の供給を受け、その代価を支払った場合には、正規支出証憑を受取るべきであり、正規証憑を受取っていない場合には該当取引金額の2%の証憑不備加算税が賦課されます。

 

尚、正規証憑を受取らなくても加算税が賦課されない場合は以下の通りです。

 

1)当然免除される場合

① 農・漁民より財貨又は役務の供給を直接受けた場合

② 源泉徴収対象事業所得者より役務の供給を受けて源泉徴収した場合

③ 国外で財貨又は役務の供給を受けた場合

④ タクシー運送役務の提供を受けた場合

⑤ 金融・保険役務の提供を受けた場合

⑥ 電算発売統合管理システムに加入した事業者より入場券・乗車券・乗船券などを購入して役務の提供を受けた場合

⑦ 航空機の航行役務の提供を受けた場合

⑧ 韓国鉄道公社より鉄道の旅客運送役務の供給を受けた場合

⑨ 有料道路を利用して通行料を支払う場合

⑩ その他法で定める場合

 

2) 金融機関を通して支払い、法人税課税標準申告書に送金事実を記載した“経費などの送金明細書”を添付して納税地管轄税務署長に提出すると加算税が免除される場合

① 商業書類送達役務の提供を受ける場合

② 不動産仲介業者に手数料を支払う場合

③ インターネット、PC通信及びテレビ通販を通して財貨又は役務の供給を受ける場合

④ 航空機の外国航行役務の提供を受ける場合

⑤ その他法で定める場合

 

 

(2) 交際費の場合

 

法人が1回の交際に支出した交際費のうち、1万ウォン(慶弔金は20万ウォン)を超過する交際費は法人名義クレジットカード売上伝票(現金領収証を含む)、税金計算書及び計算書を受取らなければなりません。また、当該証憑を受取っていない金額は損金として認められません。

 

4. 支出証憑不備時の税務上規制

 

(1) 法人税法上規制

 

1) 証憑不備時の取引内容否認

 

取引に関する証憑書類がない場合にはその取引自体が否認されるため、該当支出額は法人の税務上損金として認められません。

 

2) 加算税賦課

 

一定取引に対しては正規証憑を受取ることとしており、仮に証憑書類を備えた場合でも正規証憑を受取っていない場合には2%の加算税が賦課されます。

 

3) 交際費の損金不算入

 

法人が1回の交際に支出した交際費のうち、1万ウォン(慶弔金は20万ウォン)を超過する交際費のうち正規証憑を受取っていない金額は税務上損金不算入となります。

 

 

(2) 付加価値税法上規制

 

事業と関連した財貨役務の供給を受け、税金計算書(又はクレジットカード売上伝票及び現金領収証など)を受取っていない場合には、付加価値税の仕入税額の控除を受けることができません。

 

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