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【韓国の会計・税務レポート】投資・相生協力促進のための課税特例(企業の社内留保金に対する法人税)

企業の所得が投資、賃金、または配当等により家計の所得に流れていく好循環構造を誘導するため、企業の社内留保金に対し、10%の法人税を追加で課税する制度(以下、「企業所得還流税制」という)を、2015年から2017年まで一時的に導入しました。いわゆる、大企業が留保所得を投資、賃金増加、配当及び相生協力出捐金として支出しない場合は、一般的な法人税とは別に、社内留保金に対する法人税が追加されました。国税庁の統計資料によりますと、2016年に158企業が社内留保金に対する法人税として約533億ウォンを納付したこととなっていますが、これら企業の中に駐韓日系企業が含まれているかは表れていません。

 

その後、2017年には投資・相生協力促進のための課税特例(以下、「投資・相生協力促進税制」という)と名称を修正し、2018年から2020年まで一時的に適用される税法改定を行いました。改定内容で注目すべき内容は、①課税対象となる社内留保金の計算時に、従前は社内留保金で土地取得と配当は控除されたが、これからは控除されない、②中所得以下の勤労者の雇用と賃金増加を誘導するため、雇用増加による賃金増加分加重値を上向き調整(1.5~2 ⇒ 2~3)、③賃金増加分の計算対象となる勤労者の範囲(総給与1.2億ウォン未満 ⇒ 7千万ウォン未満)を調整したことです。

 

駐韓日系企業の場合、社内留保金が発生しないよう日本の親会社に巨額の配当を実施する事例が多くありました。韓国での事業展開のための新規・増設投資先を探すことが容易でなく、賃金増加による方式も制限的にならざるを得なかったため、配当は駐韓日系企業が選択することができる現実的な方案であったと考えられます。特に、2009年から日本の法人税法で導入している外国子会社の配当益金不算入制度を考慮しますと、日本の親会社が韓国子会社の社内留保金を配当方式で解消する方案は最も有効であったと考えられます。

 

しかし、改定された投資・相生協力促進税制では、これ以上配当方式を有効に使用することができなくなったため、社内留保金に対する法人税の追加課税を回避するための対策をより具体的に供える必要があります。更に、社内留保金に対する税率が、従前の10%から20%に上向き調整されたため、改定内容による対応方案を備えることがより必要です。

 

以下では、従前規定と改定規定を比較してみました。

 

 

企業所得還流税制と投資・相生協力促進税制の比較

 

 

区分

企業所得還流税制

(法人税法第56条)

投資・相生協力促進税制

(租税特例制限法第100条の32)

適用対象法人

①    事業年度終了日現在、自己資本が500億ウォンを超過する法人(中小企業は除く)、または

②    事業年度終了日現在、独占規制及び公正取引に関する法律による相互出資制限企業集団に属する法人

課税方式

 

①、②の中で選択

 

①[企業所得×80%-(投資+賃金増加+配当+相生)]×10%

②[企業所得×30%-(賃金増加+配当+相生)] ×10%

 

①、②の中で選択

 

①[企業所得×65%-(投資+賃金増加+相生)]×20%

②[企業所得×15%-(賃金増加+相生)]×20%

還流対象範囲
及び加重値

項目

加重値

投資

 

1

賃金増加

(常時勤労者増加時)

1.5

 

雇用増加による
賃金増加分

追加なし

 

青年常時勤労者の賃金増加分

追加0.5

配当

0.5

相生協力出捐金(*)

1

 

(*)相生協力基金への出捐金、協力中小企業の社内勤労福祉基金への出捐金、共同勤労福祉基金への出捐金

項目

加重値

投資

(土地は除く)

1

賃金増加

(常時勤労者増加時)

1.5

 

雇用増加による
賃金増加分

追加0.5

 

青年正規職賃金増加分

正規職転換賃金増加分

追加1

配当

0

相生協力出捐金 (*)

3

 

(*)同左

適用期限

2015年1月1日以降開始する事業年度~2017年12月31日が属する事業年度

2018年1月1日以降開始する事業年度~2020年12月31日が属する事業年度

 

 

- 以上 -

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