- 2015年5月18日
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【韓国の会計・税務レポート】源泉徴収時期に対する特例について
韓国の税法では、源泉徴収義務者が実際に所得金額又は収入金額を所得者に支給しなくても、一定時期になるとこれを支給したとみなして源泉徴収する「源泉徴収時期に対する特例規定」をおいています。今回は、韓国の税法で規定している源泉徴収時期に対する特例規定について説明します。
1. 概要
源泉徴収は、原則的には所得金額又は収入金額を支給する際に行うべきですが、一定時期が到来すると、それを支給しなかったとしても支給したものとみなされます。この場合、源泉徴収義務者は、一旦その翌月の10日までに源泉徴収税額を納付し、その後実際に支給する際にその金額を源泉徴収します。源泉徴収時期に対する特例は所得税法で規定しており、法人税法では所得税法による特例規定を準用して適用することと規定しています。
源泉徴収時期に対する特例規定が適用される所得金額又は収入金額には、利子所得、配当所得、勤労所得、退職所得及び認定配当・認定賞与・認定その他所得などがあります。
2. 源泉徴収時期に対する特例
源泉徴収時期に対する特例規定が適用される所得金額又は収入金額の所得別支払時期について、具体的な内容は以下の通りです。
(1) 利子所得
区分 |
支払時期 |
① 金融会社などが定期預金の利子を実際には支払わず、納入する賦金に代替する定期預金連結定期積金に加入した場合、その定期預金の利子 |
その定期預金又は積金が解約されるか、定期積金の貯蓄期間が満了した際 |
② 金融会社などが振出又は仲介する手形と、銀行が振出した表紙手形の利子及び割引額 |
手形割引した日 |
③ 同業企業課税特例*により配分される所得で、当該同業企業の課税期間終了後3ヶ月になる日まで支給していない所得 |
当該同業企業の課税期間終了後3ヶ月になる日 |
④ 職場共済会返還金を分割して支給する場合の、納入金超過利益 |
納入金超過利益を元本に繰入れる特約により元本に繰入れた日 |
⑤ その他の利子所得 |
総収入金額の収入時期 |
* 同業企業に対する課税特例とは、一定要件を備えた同業企業に対し、一般的な課税方法の代わりに、同業企業の所得に対しては課税せず、その所得を損益分配割合により各同業者に分配して所得税(又は法人税)のみを課税する制度を言います。
(2) 配当所得
区分 |
支払時期 |
① 剰余金の処分による配当所得をその処分決議日から3ヶ月になる日まで支給していない場合 |
その3ヶ月になる日 (但し、11月1日から12月31日までの間に決定された処分により翌年度2月末日まで配当所得を支給していない場合には、その処分を決定した日の属する課税期間の翌年度2月末日) |
② 擬制配当 |
その総収入金額の収入時期 |
② 出資共同事業者の配当所得で、課税期間終了後3ヶ 月になる日まで支給していない所得 |
課税期間終了後3ヶ月になる日 |
① 同業者課税特例により分配される所得で、当該同業企業の課税期間終了後3ヶ月になる日まで支給していない所得 |
当該同業企業の課税期間終了後3ヶ月になる日 |
⑤ その他の配当所得 |
その総収入金額の収入時期 |
(3) 勤労所得
区分 |
支払時期 |
① 1月から11月までの勤労所得を当該課税期間の12月31日まで支給していない場合 |
12月31日 |
② 12月分の勤労所得を翌年度2月末まで支給していない場合 |
2月末日 |
③ 法人が利益又は剰余金の処分により支払うべき賞与を、その処分を決定した日から3ヶ月になる日まで支給していない場合 |
その3ヶ月になる日 (但し、その処分が11月1日から12月31日までの間に決定された場合は、翌年度2月末日までその賞与を支給していない場合は、翌年度2月末日) |
(4) 退職所得
区分 |
支払時期 |
① 1月から11月までの間に退職した者の退職所得を、当該課税期間の12月31日まで支給していない場合 |
12月31日 |
② 12月に退職した者の退職所得を翌年度2月末日まで支給していない場合 |
翌年度2月末日 |
(5) 年末調整される事業所得
区分 |
支払時期 |
① 1月から11月までの事業所得を、当該課税期間の12月31日まで支給していない場合 |
12月31日 |
② 12月の事業所得を翌年度2月末日まで支給していない場合 |
2月末日 |
(6) 認定配当認定賞与認定その他所得
区分 |
支払時期 |
① 法人税課税標準を決定又は更正する場合 |
所得金額変動通知書*を受けた日 |
② 法人税課税標準を申告する場合 |
その申告日又は修正申告日 |
* 法人所得金額を決定・更正する税務署長又は地方国税庁長は、その決定・更正において処分される配当・賞与及びその他所得をその決定・更正日より15日以内に所得金額変動通知書により、当該法人に通知しなければなりません。
‐ 以上 ‐