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【韓国の会計・税務レポート】海外金融口座の申告について

韓国の税法では、海外金融会社に開設された海外金融口座を保有している居住者及び内国法人のうち、口座残高が一定金額以上の場合、韓国の課税官庁にその内訳を申告する海外金融口座の申告制度を規定しています。これは、域外脱税防止及び課税の衡平性を高めるため、域外金融情報の収集方案の一環として導入された制度です。

今回は、韓国の税法で規定している海外金融口座の申告制度について説明します。

1. 海外金融口座の申告

(1) 概要

海外金融会社に開設された海外金融口座を保有した居住者及び内国法人のうち、当該年度の毎月末日の何れかの日の保有口座残高(保有口座が複数の場合は、各口座残高を合算)が10億ウォンを超過する者は、翌年度6月1日から6月30日まで納税地管轄税務署長に海外金融口座申告書を提出しなければなりません。

(2) 海外金融会社の範囲

海外に所在する金融業、保険及び年金業、金融及び保険関連サービス業及びこれと類似した業種を行う金融会社で、金融実名取引及び秘密保障に関する法律による金融会社、又は外国金融関連法令により設立された金融会社等を言います。

(3) 海外金融口座関連者

海外金融口座関連者は、当該口座の残高全部をそれぞれ保有しているとみなされます。

海外金融口座のうち、実際の名義によらない口座等、その口座の名義者と実質的所有者が異なる場合は、名義者及び実質的所有者を、共同名義口座の場合は、共同名義者がそれぞれ海外金融口座の関連者とみなされます。従って、借名口座の場合は名義者と実際の所有者の両者が、共同名義口座の場合は各共同名義の当該者に申告義務があります。

海外金融口座関連者は、自身の持分率とは関係なく口座残高の全部をそれぞれ保有しているとみなし申告をしなければなりません。

 

2. 申告義務者

海外金融機関に開設された海外金融口座を保有した居住者及び内国法人の中で、当該年度の毎月末日のうち、何れか1日の保有口座残高(保有口座が複数の場合は、それぞれの口座残高を合算)が10億ウォンを超過する者が自己申告義務者となります。この場合、居住者及び内国法人の判断は、申告対象年度終了日を基準に判断します。

 

3. 保有口座残高の算定

申告義務者の毎月末日の保有口座残高は、申告義務者が保有した各海外金融口座の資産に対し下記事項により算定した金額を外国為替取引法による日別基準為替レート、又は財政為替レートでそれぞれ換算した後に合算して算出します

①    現金:該当する毎月の末日の終了時刻現在の残高

②    資本市場と金融投資業に関する法律による証券市場、又はこれと類似した海外証券市場に上場された株式とその株式を基礎にして発行した預託証書

:該当する毎月末日の終了時刻現在の数量×該当する毎月末日の最終価格

③    資本市場と金融投資業に関する法律による証券市場、又はこれと類似した海外証券市場に上場された債権

:該当する毎月末日の終了時刻現在の数量×該当する毎月末日の最終価格

④    資本市場と金融投資業に関する法律による集合投資証券、又はこれと類似した海外集合投資証券

:該当する毎月末日の終了時刻現在の数量×該当する毎月末日の基準価格

⑤    保険業法による保険商品及びこれと類似した海外保険商品:該当する毎月末日の終了時刻現在の納入金額

⑥    ①~⑥で規定した資産以外の資産:該当する毎月末日の終了時刻現在の数量×該当する毎月末日の時価(時価算定が難しい場合は取得価額)

 

4. 申告義務の免除

申告義務者のうち、下記に該当する場合、申告義務が免除されます。

①    申告対象課税年度終了日の10年前から韓国内に住所、又は居所をおいている期間の合計が5年以下の外国人居住者

②    韓国の国民として外国の永住権を取得した者のうち、申告対象課税年度終了日2年前から韓国内に居所をおいている期間の合計が1年以下の者

③    公共機関

④    金融会社

⑤    海外金融口座関連者のうち、本人の海外金融口座情報を、その他の事由として事前に管轄税務署長に提供し、納税地管轄税務署長が、本人が保有した全ての海外金融口座情報を確認できる者

 

5. 海外金融口座申告義務不履行による制裁

(1) 申告義務違反金額の出処に対する疎明要求

海外金融口座の申告義務者が海外金融口座情報の申告を行わない、または過少申告を行った場合は、当該納税地管轄税務署長はその申告義務者に申告義務違反金額の出処について疎明を要求することができます。

疎明要求を受けた申告義務者は、通知を受けた日から90日以内に海外金融口座申告義務違反金額出処確認書を納税地管轄税務署長に提出しなければなりません。この際、疎明要求を受けた金額の80%以上に対し出処を疎明した場合は、申告義務違反として疎明要求を受けた金額全額を疎明したものとみなします。

 

(2) 申告義務不履行に対する過料

申告義務者が申告期限内に海外金融口座情報の申告を行わない、または過少申告を行った場合は、下記事項により申告義務不履行金額の10%以下に相当する過料が賦課されます。

過料の賦課基準は以下の通りです。

 

未申告、又は過少申告金額

賦課基準

20億ウォン以下の場合

当該金額の4%

20億ウォン超過50億ウォン以下の場合

8千万ウォン+20億ウォン超過金額の7%

50億ウォンを超過した場合

2億9千万ウォン+50億ウォン超過金額の10%

 

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