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【韓国の会計・税務レポート】年末調整制度について

勤労者は毎月分の給与額に対し簡易税額表により一定税額を源泉徴収して納付する一方、翌年度2月分の勤労所得を支払う際には、当該課税期間に帰属する勤労所得金額に、実際の所得控除及び税額減免を適用して所得税額を計算し、既に納付した源泉徴収税額との差額を追加して納付するか、或いは還付を受けることになります。このように、勤労者が負担すべき所得税額を確定する制度を年末調整と言います。

 

今回は、年末調整計算の概要、総合所得控除項目等の項目の概要、外国人勤労者の総合所得控除適用時の留意点及び外国人単一税率特例制度を利用した節税方案について説明します。

 

. 年末調整計算の概要

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年間勤労所得金額

 

勤労を提供して支払を受ける全ての代価

 

 

(-)

非課税所得

 

自家運転補助金、食事代及び保育手当等

 

 

 

総給与額

 

 

 

 

(-)

勤労所得控除

 

総給与額の5%~80%

 

 

 

勤労所得金額

 

 

 

 

(-)

総合所得控除

 

 

 

 

 

課税標準

 

 

 

 

(×)

税率

 

課税標準の6%~38%

 

 

 

算出税額

 

 

 

 

(-)

税額控除及び税額減免

 

 

 

 

 

決定税額

 

 

 

 

(-)

既納付税額

 

毎月源泉納付税額の合計

 

 

 

減算徴収税額

 

年末調整時に追加納付するか、或いは還付を受ける税額

 

 

 

 

 

 

 

 

2. 総合所得控除及び税額減免・控除項目の概要

控除項目

控除金額
(控除限度)

控除要件

人的

控除

基本控除

1名当たり

150万ウォン

○ 本人、配偶者及び共に生活する扶養家族

– 所得金額要件:年間所得金額が100万ウォン以下

– 年齢要件

配偶者

直系卑属・
同居入養子

直系尊属

兄弟姉妹

基礎受給者

委託児童

なし

満20歳以下

満60歳以上

満60歳以上

満20歳以下

なし

満18歳未満

**   満20歳以下(1993.01.01以後生まれ)、満60歳以上(1952.12.31以前生まれ        れ)、満18歳未満(1996.01.01以後生まれ)

追加控除

○ 本人と本人の基本控除対象者とのうち、下記のいずれかに該当する場合は追加控除を適用

敬老優遇控除(満70歳以上)

障害者

控除

6歳以下
追加控除*1

婦女子
控除*2

出生・入養

控除

片父母
控除*3

1名当たり

100万ウォン

1名当たり
200万ウォン

1名当たり

100万ウォン

50万ウォン

1名当たり
200万ウォン

100万ウォン

*1  6歳以下直系卑属、養子、又は委託児童がいる場合
*2  女性勤労者に限る(未婚の場合、扶養家族のある世帯主であるべき)
*3  直系卑属、又は養子がいる場合に適用。但し、婦女子追加控除と重複   控除の適用が不可能であり、重複する場合は、片父母控除のみ適用
**  満70歳以上(1943.12.31以前生まれ)、満6歳以下(2007.01.01以後生まれ)

多子女

追加控除

○ 基本控除対象者のうち子女が2名以上の場合

子女数

2名

3名以上

控除金額

年100万ウォン

100万ウォン+ (子女数-2名)×200万ウォン

年金

保険料

控除

国民年金

全額

勤労者本人名義で納付した国民年金保険料

公務員年金等

全額

勤労者本人名義で納付した公務員年金等の職域年金保険料

年金口座
納入額

年400万ウォン
限度

確定拠出型退職年金・個人型退職年金(IRP)、年金貯蓄口座
(2001.01.01以後加入分)に勤労者が納入した金額

保険料

控除

健康保険等

全額

勤労者本人名義で納付した健康保険・老人長期保険・雇用保険料

保障性保険

年100万ウォン
限度

本人又は基本控除対象者を契約者及び被保険者として支出した保障性保険料

障害者専用

保障性保険

年100万ウォン
限度

基本控除対象者のうち障害者を被保険者又は収益者として支出した障害者専用保険料

医療費控除

本人・障害者
・満65歳以上

全額

本人、配偶者及び共に生活する扶養家族(年齢及び所得金額の制限なし)に支出した医療費として総給与額の3%を超過する医療費

医療費支出対象者

㋑本人・障害者・満65歳以上の者

㋺その他扶養家族

控除金額

㋑の医療費合計-Min【ロの医療費合計-総給与額×3%、年700万ウォン】

Min【㋺の医療費合計-総給与額×3%、年700万ウォン】

その他

扶養家族

年700万ウォン
限度

 

就学前児童

1名当たり
300万ウォン
限度

○ 本人及び共に生活する年間所得金額が100万ウォン以下である直系卑属、養子、兄弟姉妹、委託児童(年齢制限なし)のため支出した教育費

-保育園の保育費用、幼稚園費、就学前児童の塾・体育施設受講料及び給食費(牛乳給食を含む)

-授業料、育成会費、期成会費、学校運営支援費

-小・中・高校生のための教科書代、給食費、放課後学校受講料

-中・高校生のための制服・体育服購入費(1名当たり50万ウォン限度)

-大学院・時間制教育課程・職業能力開発訓練費(勤労者本人のみ)

○ 障害者扶養家族(直系尊属等を含む)に支出した障害者特殊教育費

-社会福祉施設・発達リハビリサービス提供期間に支出したリハビリ
教育費

小・中・
高校生

大学生

1名当たり
900万ウォン
限度

勤労者本人

全額

障害者

特殊教育費

全額

住宅
資金
控除

住宅賃借

借入金

元利金償還額の40%
(年300万ウォン限度)

○ 年末現在無住宅世帯の世帯主である勤労者が国民住宅規模の住宅を賃借するため金融機関又は個人から借入れた借入金の元利金償還額の40%を控除

○ 年末現在無住宅世帯の世帯主である勤労者が国民住宅規模の住宅を賃借し支払う家賃の50%を控除

– 当該課税期間の総給与額が5千万ウォン以下の勤労者(単独世帯主を含む)のみ適用する。

※ 住宅資金貯蓄・住宅賃借入金元利金・家賃の所得控除金額を合計して

年300万ウォンを控除限度とする。

住宅家賃

住宅家賃の
50%
(年300万ウォン限度)

長期住宅

抵当借入金

利子償還額

(年500万ウォン

年1,500万ウォン
限度)

○ 無住宅世帯主が国民住宅規模の住宅を取得し、同住宅に抵当権を設定し借入れた借入期間が15年以上である長期住宅抵当借入金の利子償還額を控除(取得当時の基準時価が3億ウォン以下及び年末現在1住宅者であること)

借入時期

償還期間及び償還類型による控除限度

2012.01.01以後
借入れた借入金

•固定金利又は非据置式分割償還:年1,500万ウォン

•その他貸出:年500万ウォン

2011.12.31以前借入れた借入金

• 償還期間10年以上15年未満
(2003.12.31以前借入):年600万ウォン

• 償還期間15年以上30年未満:年1,000万ウォン

• 償還期間30年以上:年1,500万ウォン

**  控除限度は、住宅資金控除と住宅資金貯蓄とを合わせて計算する。

政治資金

所得金額

○ 勤労者本人及び本人の基本控除対象者が支出した寄付金。
但し、政治資金寄付金及び自社株組合寄付金は、本人が支払った寄付金に限り控除

 

○ 政治資金寄付金は、10万ウォンまでは政治資金税額控除、10万ウォン
超過金額に対しては政治資金寄付金の所得控除を適用

 

○ 宗教団体以外の指定寄付金の控除限度は宗教団体寄付金(10%

限度)を含め30%を超過することができない。

法定寄付金

自社株組合

所得金額の30%

指定

宗教

団体外

所得金額の30%

宗教

団体

所得金額の10%

年金
貯蓄
控除

個人
年金貯蓄

年72万ウォン
限度

勤労者本人名義で2000.12.31以前に加入した個人年金貯蓄に納入した金額の40%を控除

年金貯蓄

年400万ウォン
限度

勤労者本人名義で2001.01.01以降加入した年金貯蓄納入額(退職年金控除と合算して年400万ウォン限度)

小企業・小商工人控除

年300万ウォン
限度

小企業・小商工人に該当する者が黄色傘控除に加入して納入した金額

個人年金貯蓄所得控除

年72万ウォン
限度

本人名義で個人年金貯蓄(2000.12.31以前加入分)に加入して納入した金額の40%を控除

小企業・小商工人
共済賦金所得控除

年300万ウォン
限度

本人名義で小企業・小商工人共済に加入して納入する共済賦金

住宅資金貯蓄控除

年300万ウォン
限度

○ 世帯主である勤労者本人の名義で住宅請約総合貯蓄、住宅請約貯蓄に加入して納付した金額の40%を控除

**   控除限度は住宅資金工場と住宅資金貯蓄を合わせて計算

投資組合出資等

総合所得
金額の40%

○ 中小企業創業投資組合などに出資又は投資した金額の10%
(ベンチャー組合及びベンチャー企業に直接投資時30%)を控除

クレジットカード等

所得控除

Min(300万ウォン、総給与額の20%)+Min(限度超過額、伝統市場×30%、100万ウォン)+Min(限度超過額、大衆交通×30%、100万ウォン)

○ 本人と共に生活する年間所得金額が100万ウォン以下である配偶者、直系卑属・養子、直系卑属(年齢制限なし)が使用したクレジットカード等の金額

– 兄弟姉妹が使用したクレジットカード等の金額は控除対象ではない。

○ 控除金額:(①+②+③-④)に該当する金額

①伝統市場使用分、大衆交通利用分×30%

②現金領収証、直払・前払カード使用分(伝統市場使用分、大衆交通利用分は除く)×30%

③残りクレジットカード使用分×15%

④以下に該当する金額

* 総給与額の25%≤クレジットカード使用分:総給与額×25%×15%

* 総給与額の25%>クレジットカード使用分:クレジットカード使用分×15%+(総給与額×25%-クレジットカード使用分)×30%

自社組合出捐金

年400万ウォン

限度

○ 自社株組合員が自社株を取得するため自社株組合に出捐した金額

雇用維持中小企業

年1,000万ウォン限度

○ 雇用維持中小企業の常時勤労者の賃金削減額の50%控除

大金がかからない
貸切利子償還額控除

年300万ウォン
限度

○ 無住宅世代主でありながら、直前年度年間総所得の合計額(配偶者を含む)が6千万ウォン以下である賃借人が賃貸人を債務者にして金融会社より貸切保証金を借入れて支払った利子償還額の40%を賃貸人の総合所得金額から控除

税額減免及び税額控除

外国人技術者

税額減免

○ 技術導入契約及び技術集約的産業、特定研究機関等で勤労を提供する外国人技術者に対して2年間勤労所得税額の50%を減免

※ 2009.12.31以前最初に勤労を提供する外国人技術者は5年間100%を減免

中小企業就業

青年税額減免

○ 中小企業に就業する青年(勤労契約締結日現在満15歳~29歳) に対して就業後3年間勤労所得税額の100%を減免

※ 現在の年齢から軍服務期間を除いた年齢が29歳以下の者を含む

租税条約に
よる教職者等の減免

○ 租税条約により招請され認可された教育機関(小・中・高等教育法による学校)で講義や研究を目的に入国した講師や教授が受ける所得を免除

勤労所得
税額控除

年50万ウォン
限度

○ 算出税額の55%(算出税額が50万ウォンを超過する場合、超過分に対しては30%)

政治資金
寄付金

税額控除

○ 政治資金寄付金は10万ウォンまではその寄付金額の110分の100に相当する金額を控除

納税組合控除

算出税額の
10%

納税組合に加入した勤労者の勤労所得算出税額の10%を控除

住宅資金
借入金

利子税額控除

利子償還額の
30%

○ 1995.11.01~1997.12.31期間のうち未分譲住宅の取得に関して国民住宅基金等から借り入れた貸出金の利子償還額の30%を税額控除

外国納付税額

控除

外国納付税額

○ 勤労所得金額に合算されている国外源泉所得に対して外国で納付した税額を税額控除

 

 

3. 外国人勤労者の年末調整時においての留意点

(1) 人的控除

 

基本控除を適用するに当たって、韓国居住者ではない配偶者も所得要件(年間所得金額合計額が100万ウォン以下)を充足すれば基本控除者に該当し、同居していない直系尊卑属及びその他家族も年齢要件及び所得要件を充足し、勤労者の所得で生計を共にしているのであれば基本控除対象者となり、所得控除を受けることができます。

 

(2) 人的控除以外の所得控除項目

 

人的控除以外の所得控除項目は、韓国の医療機関、教育機関等に支出するか、或いは金融機関、保険会社などに納入した金額、法人税法で規定した海外指定寄付団体に寄付した金額、国内で使用したクレジットカード使用額を対象にします。従って、外国の医療機関で治療を受けた医療費、海外所在の保育施設及び学校に支出した教育費、海外指定寄付団体以外に寄付した寄付金、海外で使用したクレジットカード使用額は所得控除対象から除外されます。

 

ご参考までに、外国人勤労者が居住者である場合と、非居住者である場合の年末調整の差異は以下の通りです。

 

区分

居住者

非居住者

年間勤労所得

国外源泉所得を含*1

国内源泉所得

勤労所得控除

O

O

人的控除

基本控除、追加控除

O

本人のみ控除

多子女追加控除

O

X

年金保険料控除*2

O

O

特別控除

保険料、医療費、教育費、寄付金標準控除

O

X

住宅資金控除

X

X

その他の所得控除

個人年金貯蓄、
クレジットカード等

O

X

住宅資金貯蓄

X

X

自社株組合出捐金

O

O

税額控除

勤労所得税額控除

O

O

政治資金寄付金税額控除

O

X

納税組合税額控除

O

O

外国納付税額控除

O

X

*1 短期居住外国人は、国外源泉所得のうち国内で支払われたか、或は国内に送金された所得に対してのみ課税される。

*2 本人が納付する国民年金保険料に限る。

 

 

4. 外国人単一税率特例制度

 

外国人勤労者(韓国国籍者ではない者に限る)は、上記の一般的な年末調整方法と外国人勤労者に対する課税特例制度である単一税率適用方法のうち、有利な方法を選択することができます。単一税率適用方法とは、一般総合所得税率(6%~38%)に累進税率を適用せず、総給与額に17%を乗じた金額を勤労所得税額と確定して納付することを言います。単一税率の適用を受ける外国人勤労者は、税法で認定する非課税、各種所得控除及び税額減免の適用を受けることができません。

 

外国人単一税率特例制度の適用を受けることを希望する外国人勤労者は、勤労所得税額の年末調整の際に勤労所得者所得控除申告書に〔外国人勤労者単一税率適用申請書〕を添付し、源泉徴収義務者、納税組合、又は納税地管轄税務署長に提出すれば、外国人単一税率特例制度の適用を受けることができます。

 

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