トップページ > 会計税務ニュース > 韓国における外国人の勤労所得税年末調整

STARSIAがお届けする業界NEWS 会計税務ニュース

韓国における外国人の勤労所得税年末調整

勤労所得の場合、毎月分の給与額に対し簡易税額表により一定税額を源泉徴収して納付させる一方、翌年度2月分の勤労所得を支払う際に再び年間総所得、実際所得控除及び税額減免を適用して所得税額を計算し、既に納付した源泉徴収税額との差額を追加に源泉徴収するか、或いは還付する手続を踏むが、このような手続を年末調整と言います。

 

これに、年末調整時に所得から控除を受けることのできる項目について予め理解して準備しておけば、年末調整は所得税を節税できる機会となります。

 

今回は、年末調整計算の概要、総合所得控除項目などの概要、外国人勤労者の総合所得控除適用時の留意点及び外国人単一税率特例制度を利用した節税方案について説明します。

 

. 年末調整計算の概要

 

2. 総合所得控除及び税額控除項目の概要

 

控除項目

控除金額(控除限度)

控除要件

人的

控除

基本控除

1名当たり

150万ウォン

○ 本人、配偶者及び共に生活する扶養家族

– 所得金額の要件:年間所得金額が100万ウォン以下

– 年齢要件

配偶者

直系卑属

直系尊属

兄弟姉妹

受給者

委託児童

なし

満20歳以下

満60歳以上

満60歳以上

満20歳以下

なし

満18歳

未満

追加控除

○ 本人と本人の基本控除対象者のうち下記のいずれかに該当する場合追加控除を適用

区分

敬老優遇控除(満70歳以上)

障害者

控除

子女養育費

(満6歳以下)

婦女子控除(※)

出生・入養

控除

控除金額

1名当たり

100万ウォン

1名当たり200万ウォン

1名当たり

100万ウォン

50万ウォン

1名当たり100万ウォン

※ 女性勤労者に限る(未婚の場合扶養家族のある世帯主)

多子女

追加控除

○ 基本控除対象者のうち子女が2名以上である場合

子女数

2名

3名以上

控除金額

年100万ウォン

100万ウォン+ (子女数-2名)×200万ウォン

年金

保険料

控除

国民年金

全額

勤労者本人名義で納付した国民年金保険料

公務員年金等

全額

勤労者本人名義で納付した公務員年金等の職員年金保険料

退職年金

年400万ウォン限度

確定拠出型退職年金・個人型退職年金IRP)に加入した勤労者の追加納入金

保険料

控除

健康保険等

全額

勤労者本人名義で納付した健康保険・老人長期保険・雇用保険料

保障性保険

年100万ウォン限度

本人又は基本控除対象者を契約者及び被保険者として支出した保障性保険料

障害者専用

保障性保険

年100万ウォン限度

基本控除対象者のうち障害者を被保険者又は収益者として支出した障害者専用保険料

医療費控除

本人・障害者・満65歳以上

全額

本人、配偶者及び共に生活する扶養家族(年齢及び所得金額の制限なし)に支出した医療費として総給与額の3%を超過する医療費

医療費支出対象者

イ本人・障害者・満65歳以上の者

ロその他扶養家族

控除金額

イの医療費合計-Min【ロの医療費合計-総給与額×3%、年700万ウォン】

Min【ロの医療費合計-総給与額×3%、年700万ウォン】

その他

扶養家族

年700万ウォン限度

 

就学前児童

1名当たり300万ウォン限度

○ 本人及び共に生活する年間所得金額が100万ウォン以下である配偶者、直系卑属・養子、兄弟姉妹、委託児童(年齢制限なし)に支出した教育費

-保育費用、幼稚園教育費、就学前児童の塾・体育施設教育費

-授業料、登録金、育成会費、期成会費、学校運営支援費

-小・中・高校生のための教科書代、給食費、放課後学校受講料

-中・高校生のための制服・体育服購入費(1名当たり50万ウォン限度)

-大学院・時間制教育課程・職業能力開発訓練費(勤労者本人のみ)

○ 障害者扶養家族(直系尊属等を含む)に支出した障害者特殊教育費

-社会福祉施設・発達リハビリサービス提供期間に支出したリハビリ教育費

小・中・高校生

大学生

1名当たり900万ウォン限度

勤労者本人

全額

障害者

特殊教育費

全額

住宅資金控除

住宅賃借

借入金

元利金償還額の40%(年300万ウォン限度)

○ 年末現在無住宅世帯の世帯主である勤労者が国民住宅規模の住宅を賃借するため金融機関又は個人から借り入れた借入金の元利金償還額の40%を控除

○ 年末現在無住宅世帯の世帯主である勤労者が国民住宅規模の住宅を賃借し支払う家賃の40%を控除

– 個人間の借入金及び家賃は総給与5千万ウォン以下の勤労者(単独世帯主を含む)のみ所得控除を適用する。

※ 住宅資金貯蓄・住宅賃借入金元利金・家賃の所得控除金額を合計して年300万ウォンを控除限度とする。

住宅家賃

住宅家賃の40%(年300万ウォン限度)

長期住宅

抵当借入金

利子償還額

(年500万ウォン~年1,500万ウォン限度)

○ 無住宅世帯主が国民住宅規模の住宅を取得し、同住宅に抵当権を設定し借り入れた借入期間が15年以上である長期住宅抵当借入金の利子償還額を控除(取得当時の基準時価が3億ウォン以下及び年末現在1住宅者であること)

借入時期

償還期間及び償還類型による控除限度

2012.01.01 以降借り入れた借入金

•固定金利又は非据置式分割償還:年1,500万ウォン

•その他貸出:年500万ウォン

2011.12.31 以前借り入れた借入金

•償還期間10年以上15年未満(2003.12.31以前借入金):年600万ウォン

•償還期間10年以上30年未満:年1,000万ウォン

•償還期間30年以上:年1,500万ウォン

政治資金

所得金額

○ 勤労者本人及び基本控除対象者である配偶者、直系卑属・養子、直系卑属、兄弟姉妹等が支払った寄付金

 

○ 政治資金寄付金は最初10万ウォン以内の金額は政治資金税額控除、以降10万ウォン超過金額に対して政治資金寄付金の所得控除を適用する。

 

○ 宗教団体外指定寄付金の控除限度は宗教団体寄付金(10%限度)を含めて30%を超過できない。

※ 特例寄付金は2011.06.30まで支払った寄付金の繰越分に限る。

法定寄付金

特例寄付金

所得金額の50%

自社株組合

所得金額の30%

指定

宗教

団体

以外

所得金額の30%

宗教

団体

所得金額の10%

年金貯蓄控除

個人年金貯蓄

年72万ウォン限度

勤労者本人名義で2000.12.31以前に加入した個人年金貯蓄に納入した金額の40%を控除

年金貯蓄

年400万ウォン限度

勤労者本人名義で2001.01.01以降加入した年金貯蓄納入額(退職年金控除と合算して年400万ウォン限度)

住宅資金貯蓄控除

年300万ウォン限度

○ 世帯主である勤労者本人の名義で住宅請約総合貯蓄、住宅請約貯蓄、長期住宅資金貯蓄に加入して納付した金額の40%を控除

○ 長期住宅資金貯蓄は2009.12.31以前加入者として年間総給与額が88百万ウォン以下である勤労者のみ控除対象( 2010.01.01以降の加入分は控除できない)

投資組合出資等

投資金額の10%(ベンチャー企業等は20%)

○ 中小企業創業投資組合などに出資又は投資した金額の10% (2012.01.01以降ベンチャー組合及びベンチャー企業に直接投資時20%)を控除

クレジットカード等

所得控除

年300万ウォン及び総給与額の20%のうちいずれか少ない金額を限度

○ 本人と共に生活する年間所得金額が100万ウォン以下である配偶者、直系卑属・養子、直系卑属(年齢制限なし)が使用したクレジットカード等の金額

– 兄弟姉妹が使用したクレジットカード等の金額は控除対象ではない

○ 総給与額の25%を超過するクレジットカード・現金領収証20%、デビットカード(チェックカード)・伝統市場使用額30%を所得控除

○ 伝統市場使用額追加控除(100万ウォン限度)

– クレジットカード等の限度超過金額がある場合に限る

自社組合出捐金

年400万ウォン限度

○ 自社株組合員が自社株を取得するため自社株組合に出捐した金額

長期株式型貯蓄控除

年60万ウォン限度(納入3年目)

○ 2009.12.31まで勤労者本人名義で長期株式型貯蓄(積立式ファンド)に加入し納入した金額(四半期毎300万ウォン納入限度)

– 納入1年目:20%、納入2年目:10%、納入3年目:5%

※ 2012年帰属年末調整には納入3年目のみ

雇用維持中小企業

年1,000万ウォン限度

○ 雇用維持中小企業の常時勤労者の賃金削減額の50%を控除

税額減免及び税額控除

外国人技術者

税額減免

○ 技術導入契約及び技術集約的産業、特定研究機関等で勤労を提供する外国人技術者に対して2年間勤労所得税額の50%を減免

※ 2009.12.31以前最初に勤労を提供する外国人技術者は5年間100%を減免

中小企業就業

青年税額減免

○ 中小企業に就業する青年(勤労契約締結日現在満15歳~29歳) に対して就業後3年間勤労所得税額の100%を減免

※ 現在の年齢から軍服務期間を除いた年齢が29歳以下の者を含む

租税条約による教職者等の減免

○ 租税条約により招請され認可された教育機関(小・中・高等教育法による学校)で講義や研究を目的に入国した講師や教授が受ける所得を免除

納税組合控除

算出税額の10%

納税組合に加入した勤労者の勤労所得算出税額の10%を控除

住宅資金借入金

利子税額控除

利子償還額の30%

○ 1995.11.01~1997.12.31期間のうち未分譲住宅の取得に関して国民住宅基金等から借り入れた貸出金の利子償還額の30%を税額控除

外国納付税額

控除

外国納付税額

○ 勤労所得金額に合算されている国外源泉所得に対して外国で納付した税額を税額控除

 

 

3. 外国人の所得控除適用においての留意点

(1) 人的控除:非居住者の配偶者、又は扶養家族の控除可否

基本控除を適用するにおいて、韓国居住者ではない配偶者も所得要件(年間所得金額合計額が100万ウォン以下)を充足すれば基本控除者に該当し、同居していない直系尊卑属及びその他家族も年齢要件及び所得要件を充足し、勤労者の所得で生計を共にしているのであれば、控除を受けることができます。

 

(2) 人的控除以外の所得控除項目


人的控除以外の所得控除項目は、韓国の医療機関、教育機関などに支出するか、或いは金融機関、保険会社などに納入した金額を対象にします。従って、外国の医療機関で治療を受けた医療費、海外所在の保育施設及び学校に支出した教育費、国外慈善団体などの寄付した寄付金、海外で使用したクレジットカード使用額は所得控除対象から除外されます。

 

4. 外国人単一税率課税特例制度を利用した節税

 

外国人勤労者(韓国国籍者ではない者に限る)の場合は、単一税率という課税特例制度があるため、この制度を通しても節税ができます。単一税率制度とは、一般総合所得税率(6%~38%)に累進税率を適用せず、総給与額に16.5%(地方所得税を含む)を乗じた金額を勤労所得税額と確定して納付することです。但し、単一税率の適用を受ける場合は、税法で認定する非課税、各種所得控除及び税額減免の適用は受けることができません。

 

従って、外国人は一般的な年末調整を通した税金と単一税率を通した税金とを比較して、より有利な制度を選択すれば節税できます。

 

一般的には所得控除の適用可否により異なりますが、扶養家族がなく、その他控除事項がない場合は、年間総給与額が約1.2億ウォン以上の高所得勤労者には単一税率を適用した場合がより有利です。

 

ページトップへ

月別