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【韓国の会計・税務レポート】業務と関連のない資産等と関連する支払利息の損金不算入について

韓国の税法では、借入金に対する支払利息については原則的に損金と認定しますが、債権者が不明確な社債利息や無記名債権の証券利息、建設資金利息のうち、それが特定借入金利息である場合又は業務と関連のない資産を取得・保有している場合など、いくつかの場合は、それらと関連する利息が借入金に対する支払利息であるとしても、損金として認定されないようにする支払利息損金不算入制度が規定されています。

今回は、韓国の税法で規定している支払利息損金不算入制度のうち、一般的に法人で最も考えられている業務と関連のない資産の取得・保有などと関連する支払利息損金不算入制度について説明します。

 

1. 概要

韓国の法人税法では、法人が一定金額を借入れて業務と関連のない資産を取得・保有する際、それを使用する、或いは、それで特殊関係者に業務と関連のない仮払金などを支払う場合、それらに該当する借入金に対する支払利息はこれを損金に算入することを認定していません。これは法人の不動産投機を抑制し、資金を非生産的に活用することを規制して企業の競争力を強化することにその趣旨があります。

 

2. 規制対象資産の範囲

(1) 業務と関連のない資産

業務と関連のない資産とは、法人の業務と直接関連がないと認定される下記の資産を言います。

区 分

業務と関連のない資産の範囲

不動産

① 法人の業務に直接使用しない不動産。但し、猶予期間*が経過する前までの期間中にある不動産は除く。

② 猶予期間*中に当該法人の業務に直接使用せず譲渡する不動産(不動産売買業を主に営む法人の場合は除く)

* 猶予期間:一般的な不動産は取得日より2年、建築物新築用土地及び不動産売買業の売買用不動産は,取得日から5年

動 産

①   書画及び古美術品(装飾・環境美化などの目的で、事務室・廊下など人目につく空間に
常時備えられるものは除く)

②   業務に直接使用しない自動車・船舶及び航空機

③   その他上記の①・②と類似した資産で、当該法人の業務に直接使用しない資産

 

(2) 特殊関係者に業務と関連なく支払った仮払金など

名称とは関係なく、法人の業務と関連のない資金の貸付金(金融会社などの場合、主な収益事業としてみなせない資金の貸付金を含む)を言います。このような資金の貸付金は、特殊関係者に対する貸付金に限定し、利子を受領しているか否かは問いません。但し、以下については業務と関連のない資金の貸付金の範囲から除外します。

①    支払とみなされた配当所得と賞与金に対する所得税を法人が立替えた金額

②    国外に資本を投資した内国法人が当該国外投資法人に従事している、或いは、従事する者の旅費・給与・その他費用を代わりに負担した金額

③    自社株組合員に自社株組合が設立した会社の株式取得に所要される資金の貸付金

④    国民年金法により勤労者が支払を受けたとみなされる退職金転換金

⑤    益金算入額の帰属者が不明確であるか、推計で課税標準を決定・更正する際に代表者賞与と処分した金額に対する所得税を法人が代納した金額(特殊関係が消滅されるまでの期間に相当する金額に限定する。)

⑥    使用人に対する月額給与額の範囲内で一時的な給与の仮払金

⑦    使用人に対する慶弔費や学資金(使用人の子女を含む)の貸付金

⑧    韓国資産管理公社が出資総額の全額を出資して設立した法人に貸付けた金額

 

(3) 支払利息損金不算入額の計算

支払利息損金不算入額 =  支払利息(*1) × (業務と関連のない資産+ 仮払金(*2) )/借入金(*3)

(*1)  支払利息は、他人から借用した資金に対して支払われる金融費用を意味するが、現在価値割引差金、年支払収入による利息、運用リース料、商業手形の割引料などは支払利息の範囲に該当しません。

(*2)  業務と関連のない仮払金を計算するにおいて、同一人に対する仮払金と仮受金が共にある場合は、これを相殺した残高で支払利息損金不算入額を算定します。但し、仮払金や仮受金の発生時に、それぞれ償還期間・利息率などに関する約定がある場合は、これを相殺できない場合は相殺しません。

(*3)  支払利息を負担する全ての負債で帳簿上の借入金総額を言い、商業手形を割引した場合の割引手形、企業購買資金貸付により借入れた金額などは借入金の範囲から除外します。

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