- 2014年5月14日
- > 会計・税務
【韓国の会計・税務レポート】中小企業の要件
韓国の税法では中小企業を積極的に育成し、国民経済をバランス良く発展させるため、中小企業に対する各種租税支援制度を設けています。中小企業に該当する法人は一般企業に比べ、法人税税務調整時に様々な項目で優遇され、中小企業特別税額減免、創業中小企業特別税額減免等の多様な租税の減免も適用されます。
今回は韓国の税法で規定している中小企業の要件について説明します。
1. 税法上中小企業の範囲
韓国の租税特例制限法施行令(以下、「租特令」という。)第2条によると、中小企業とは、業種基準、規模基準及び独立性基準要件を満たしつつ、卒業基準に該当していない企業であると規定しています。
租特令で規定している中小企業の各要件に関する詳細は以下の通りです。
(1) 業種基準
中小企業となるための第1の要件は、租特令第2条第1項で列挙している業種を主な事業として営む企業であることです。この場合、業種の分類は税法で特別に規定しているものを除き、統計庁長が告示する韓国標準産業分類表を基準に判定します。
作物栽培業、畜産業、漁業 |
鉱業 |
製造業、受託生産業 |
下水廃棄物処理業 |
建設業(不動産供給業は非該当) |
原料リサイクル及び環境復元業 |
卸売及び小売業 |
運輸業及び旅客運送業 |
飲食店業 |
出版業、広告業 |
映像オーディオ記録物制作及び配給業 |
放送業 |
電気通信業 |
コンピュータープログラミングシステム 統合及び管理業 |
その他の科学技術サービス業 |
包装及び充填業 |
専門デザイン業 |
展示及びイベント代行業 |
人材供給及び雇用斡旋業 |
建物及び産業設備掃除業 |
研究開発業 |
警護及び警護サービス業 |
エンジニアリング事業 |
物流産業 |
市長調査及び世論調査業 |
社会福祉サービス業及びその他業種 |
(2) 規模基準
中小企業になるための第2の要件は、中小企業該当業種別に従業員数、資本金、又は売上高が中小企業基本法施行令別表1の規模内であることです。この場合、常時勤労者数、資本金、又は売上高のうち何れか1つを満たせば中小企業に該当します。
[中小企業基本法施行令別表1]
該当業種 |
規模基準 |
製造業 |
常時勤労者数300名未満 又は、資本金80億ウォン以下 |
鉱業 |
常時勤労者数300名未満 又は、資本金30億ウォン以下 |
建設業 |
|
運輸業 |
|
出版、映像、放送通信及び情報サービス業 |
常時勤労者数300名未満 又は、資本金300億ウォン以下 |
専門、科学及び技術サービス業 |
|
社会福祉サービス業 |
常時勤労者数200名未満 又は、資本金200億ウォン以下 |
卸売及び小売業 |
|
飲食店業 |
|
漁業 |
|
創作及び芸術関連サービス業 |
|
下水廃棄物処理 |
常時勤労者数100名未満 又は、資本金100億ウォン以下 |
原料リサイクル及び環境復元業 |
(3) 独立性基準
中小企業になるための第3の要件は、所有及び経営の実質的な独立性が以下の要件に全て該当する企業であることです。
- 独占規制及び公正取引に関する法律第14条第1項による相互出資制限企業集団に属さない会社であること。
- 直前事業年度終了日現在、資産総額が5千億ウォン以上の法人が株式等の30%以上を直接的、又は間接的 に所有した最大出資者である企業ではないこと。
- 関係企業*に属する企業の場合には、常時勤労者数、資本金、売上高、自己資本、又は資産総額が卒業基準 を超過する企業ではないこと。
*関係企業とは、外部監査の対象となる企業が他の国内企業を支配することにより、支配、又は従属の関係にある企業の集団
(4) 卒業基準
中小企業になるための第4の要件として、上記の(1)業種基準、(2)規模基準及び(3)独立性基準を全て満たしたとしても、以下の何れか1つ(卒業基準)に該当してはいけません。
区 分 |
要 件 |
従業員数 |
1千名以上 |
自己資本 |
1千億ウォン以上 |
売上高 |
1千億ウォン以上 |
資産総額 |
5千億ウォン以上(当該事業年度) |
2. 中小企業適用の猶予期間
(1) 中小企業猶予期間
中小企業が以下の事由に該当し、中小企業の要件を満たせなくなった場合でも、一定猶予期間内は中小企業とみなされます。
① 該当事由
- 従業員数、資本金、又は売上高が中小企業基準を超過した場合
- 従業員数1千名以上、自己資本1千億ウォン以上、売上高1千億ウォン以上、又は資産総額が5千億ウォン以上の場合
② 猶予期間
- 事由が発生した日が属される事業年度と、その後3事業年度まで中小企業とみなされます。
- 猶予期間は法人ごとに最初の1回に限り適用され、猶予期間経過後は事業年度ごとに中小企業当該可否を改めて判断します。
(2) 中小企業猶予の排除
以下の事由に該当する場合は中小企業猶予期間を適用せず、当該事由が発生した事業年度から中小企業とみなしません。
- 中小企業以外の企業と合併する場合
- 猶予期間中にある企業と合併する場合
- 独立性基準を満たさない企業の場合
- 創業日が属する事業年度終了日から2年以内の事業年度終了日現在、中小企業基準を超える場合