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【韓国の会計・税務レポート】2019年税法改正案の発表

企画財政部は2019年税法改正案を去る7月25日に発表しました。今回の税法改正案は、“共に生きる革新的包容国家”の基盤構築のための税制改変と言うビジョンの下で、‘経済活力回復及び革新成長支援’、‘経済・社会の包容性・公正性強化’、‘租税制度合理化及び税入基盤拡充’に重点をおいて備えられており、19日間の立法予告期間を経て、9月3日に定期国会に提出される予定です。

 

今回は、税法改正案のうち、主な内容を紹介します。

 

1.経済活力回復及び革新成長支援


(1)  生産性向上施設への投資税額控除率の上向調整

現行

改正案

生産性向上施設への投資税額控除率

大企業

中堅企業

中小企業

1%

3%

7%

控除率の1年間(’20.1.1~12.31)上向調整

大企業

中堅企業

中小企業

2%

5%

10%

 

 

(2) 生産性向上施設への投資税額控除の対象拡大及び適用期限の延長

現行

改正案

生産性向上施設への投資税額控除

(対象)

–   工程改善及び自動化施設

–   半導体加工設備、新素材生産設備、航空機・衛星体製造設備等

–   供給網管理システム

 

<追加>

 

(適用期限) ’19.12.31

対象拡大及び適用期限の延長

(対象)

 

同左

 

 

 

-医薬品製造先端設備、物流産業先端設備

(適用期限) ’21.12.31

 

(3) 国内株式と海外株式間の損益通算

現行

改正案

○    国内株式・海外株式を区分して譲渡損益を計算

–   国内株式(上場法人の大株主が譲渡する上場株式、非上場株式)は、国内株式間でのみ損益通算を許容

–   海外株式は、海外株式間でのみ損益通算を許容

○    譲渡損益の基本控除金額

–   国内株式:250万ウォン

–   海外株式:250万ウォン

○    国内株式・海外株式のうち、損失が発生した場合、純所得に対する課税が行われるよう損益通算を許容

 

国内株式と海外株式間の損益通算を許容

 

 

○    国内・海外株式を合算して基本控除金額250万ウォンを適用

 

(4) 非上場株式等に対する証券取引税率の引下げ

現行

改正案

非上場株式、上場株式の場外取引に対する証券取引税率:0.5%

※    上場株式の場内取引に対しては、’19.6.3から引下げられた税率を適用している。

非上場株式、上場株式の場外取引に対する証券取引税率を引下:0.45%

 

(5)  内国人優秀人材の国内への復帰に対する所得税減免の新設

海外に居住している優秀人材の国内への復帰を支援するため、5年間勤労所得税を50%減免する規定を新設しました。対象者は、理工系博士学位を所持し、科学技術と関連して外国研究機関等で5年以上勤務した内国人で、国内企業の企業付設研究所、又は研究開発専門担当部署に就業した場合に適用されます。

 

 

2.経済・社会の包容性・公正性強化


(1)  正規職転換企業に対する税額控除適用期間の延長

現行

改正案

中小・中堅企業の非正規職勤労者の正規職転換時に税額控除

(要件) ’18.11.30現在における非正規職勤労者を、’19.1.1~12.31までに正規職に転換

(控除額)転換人員×1,000万ウォン(中堅企業は700万ウォン)

(適用期限) ’19.12.31

適用要件調整及び適用期限延長

 

(要件) ’19.6.30現在における非正規職勤労者を、’20.1.1~12.31までに正規職に転換

(控除額)同左

 

(適用期限) ’20.12.31

 

(2) 中小企業勤労者の住宅購入貸付金等に対する支援

会社が勤労者に資金を貸付ける場合は、同貸付金を業務と関連のない貸付金(業務と関係のない仮払金)とみなして、当該貸付金に対する利息を益金算入する等の不利益が発生します。改正案によると、中小企業の勤労者(役員、支配株主等は除く)に貸付ける住宅購入資金・保証金は、業務と関係のない仮払金から除外されます。

 

(3)  貸倒税額控除適用期限の拡大

現行

改正案

貸倒税額控除の範囲

(貸倒事由) 消滅時効が完成された売掛金及び未収金

(貸倒税額)貸倒金額×10/110を売上税額から控除

(適用期限) 供給日から5年以内

貸倒税額控除適用期限の拡大

(貸倒事由)同左

 

(貸倒税額)同左

 

(適用期限) 供給日から10年以内

 

 

3.租税制度合理化及び税入基盤拡充

 

(1)  期限後申告した者に対する更正請求及び修正申告の許容

現行

改正案

更正請求(減額申請)及び修正申告(増額申告)が可能な者

–      課税標準申告書を法定申告期限まで提出した者

<追加>

更正請求及び修正申告対象者を拡大して自己是正の機会を付与

–      同左

 

–      期限後申告した者

 

(2)  最大株主が保有する株式に対する割増評価の改善

現行

改正案

持分率

一般企業

中小企業

50%以下

20%

10%

50%超過

30%

15%

持分率及び企業規模による割増率の差等適用

 

※    中小企業は、2020年末まで割増適用を排除

企業規模によってのみ差等適用、持分率による差等適用は排除

区分

一般企業

中小企業

割増率

20%

0%

 

 

3)   国際租税制度の合理化

① 国際取引資料提出と関連した過料の強化

現行

改正案

国際取引資料提出と関連した過料

(賦課事由) 国際取引明細書、国際取引情報統合報告書等の国際取引資料の未提出、又は偽造資料の提出

(限度) 1億ウォン以下

(賦課回数) 1回

過料の上限及び回数を引上

(賦課事由) 同左

 

 

(限度) 3億ウォン以下

(賦課回数) 1回+資料提出・補完時まで30日ごとに反復賦課

 

② 移転価格推定課税の根拠を新設

個別・統合企業報告書及び課税当局が要求する資料を提出しない場合、同種事業を営む類似した法人等から入手する資料等を基に正常価格を推定して課税できる規定を新設しました。納税者に対する国際取引資料提出義務履行の実効性を高め、課税当局の立証責任を緩和するために新設されたものです。

 

(4)  勤労所得控除限度の新設

今までは勤労所得金額の一定率を必要経費として控除する勤労所得控除に対する限度がありませんでした。新設される勤労所得控除の限度額は2,000万ウォンで、総給与3億6,250万ウォンを超過する勤労者の税負担が増加するものと予想されます。

 

 

4.その他

 

(1)  租税条約の解釈・適用原則の新設

2018年税法改正で租税条約上の所得区分の優先適用が廃止され、租税条約は源泉地国の課税可否及び軽減税率の適用に限って適用できるようにしました。今回の税法改正では、租税条約で用語及び文句に対し定義していない場合は、国内税法上の定義、又は使用する意味によって租税条約を解釈・適用するとの規定を新設しました。

 

(2)  国際取引関連重複資料提出の整備

現在は、国外特殊関係者との取引金額が500億ウォンを超過し、売上高が1,000億ウォンを超過する会社は、個別・統合企業報告書と共に、国際取引明細書及び正常価格算出方法申告書も提出しなければなりません。改正案によると、個別・統合企業報告書を提出する会社に対しては、国際取引明細書及び正常価格算出方法申告書の提出が免除されます。

 

- 以上

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