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【韓国の会計・税務レポート】ストックオプションの行使と関連した税務上の特例

非上場法人が2017年12月31日以前に役職員に付与したストックオプションを、当該役職員が2018年1月1日以降に行使した場合、そのストックオプションの行使に関連した費用も損金算入可能であるとの、課税当局の有権解釈(事前‐法令解釈法人-519, 2019.2.28.)がでました。

従前は、損金算入対象となるストックオプションの範囲が、「上場法人が商法により付与するストックオプション等」でしたが、2018年2月13日付法人税法施行令の改正では、「商法により付与するストックオプション等」と、その範囲が拡大されました。2017年12月31日以前に非上場法人が付与したストックオプションを2018年1月1日以降に行使した場合に、損金算入の可否が不明確でしたが、これについて、課税当局が解釈を明確に下しました。

 

以下では、韓国のストックオプション制度に関連する税務上の特例について紹介します。

 

1.税務上の特例が適用されるストックオプションの範囲

以下の規定によるストックオプションの行使に関連した費用は損金算入可能です。但し、当該法人の発行株式総数の10%内で付与するか、或いは支給する場合に限ります。

(1)  商法第340条の2[1]

[1] 商法第340条の2(株式買収選択権)

①  会社は、定款で定めることにより、第434条の株式総会の決議により、会社の設立・経営及び技術革新等に寄与するか、或いは寄与できる会社の理事、執行役員、監査役、又は被用者に、予め定めた価額(以下、「株式買収選択権の行使価額」と言う)で新株を引受けるか、或いは自己株式を買収できる権利(以下、「株式買収選択権」と言う)を付与することができる。但し、株式買収選択権の行使価額が株式の実質価額より低い場合、会社はその差額を金銭で支給するか、或いはその差額に相当する自己株式を譲渡することができる。この場合、株式の実質価額は、株式買収選択権の行使日を基準に評価する。

②  以下の各号の何れか1つに該当する者には、第1項の株式買収選択権を付与することができない。

1.  議決権のない株式を除外した発行株式総数の100分の10以上の株式を持つ株主

2.  理事・執行役員・監査役の選任及び解任等会社の主要経営事項に対し事実上影響力を行使する者

3.  第1号と第2号に規定された者の配偶者と直系尊卑属

③  第1項により発行する新株、又は譲渡する自己株式は、会社の発行株式総数の100分の10を超過することができない。

④  第1項の株式買収選択権の行使価額は、以下の各号の価額以上でなければならない。

1.  新株を発行する場合は、株式買収選択権の付与日を基準にした株式の実質価額と、株式の額面価額のうち高い金額。
但し、無額面株式を発行した場合は、資本に計上される金額のうち、1株に該当する金額を額面価額とみなす。

2.  自己株式を譲渡する場合は、株式買収選択権の付与日を基準にした株式の実質価額

 

(2) ベンチャー企業育成に関する特別措置法第16条の3

(3) 素材・部品専門企業等の育成に関する特別措置法第15条

 

2.損金算入の対象金額

上記の規定により、ストックオプションが付与されたか、或いは支給された場合、以下の金額が損金として認められます。

(1)  ストックオプションの付与を受けた場合、約定した株式買収時期に約定した株式の買収価額と時価の差額を、金銭、又は当該法人の株式で支給する場合の当該金額

(2)  ストックオプションの付与を受けた場合、約定した株式買収時期にストックオプションの行使により株式を時価より低く発行した場合、その株式の実際買収価額と時価との差額

(3)  株式基準補償で金銭を支給する場合、当該金額

 

3.不当行為計算否認の適用可否

法人が、役職員に金銭その他資産、又は役務を無償、又は低い利率・料率や賃貸料として貸付けるか、或いは提供した場合は、租税の負担を不当に減少させたものと認められ、不当行為計算否認が適用されます。また、減資、合併(分割合併を含む)・分割、転換社債等による株式の転換・引受・交換等法人の資本(出資額を含む)を増加させるか、或いは減少させる取引を通じ、法人の利益を分与したと認められる場合でも、租税の負担を不当に減少させたものと認められ、不当行為計算否認が適用されます。

しかし、損金算入の対象となるストックオプションの行使により金銭を提供、或いは株式を発行した場合は、租税の負担を不当に減少させたものと認められるとはみなされず、不当行為計算否認は適用されません。

 

4.ストックオプションに関連する所得税

役職員が、当該法人より付与を受けたストックオプションを、当該法人に勤務する期間中に行使して得た利益は勤労所得、退職後に行使して得られた利益はその他所得とみなされ、所得税が課税されます。ここで、ストックオプションの行使日は、ストックオプションの付与を受けた役職員が法人にストックオプションの行使を請求した日を言います。

 

5.子会社が海外親会社にストックオプションの行使費用を補填する場合

なお、子会社の役職員に付与された海外親会社のストックオプションが行使された場合、子会社が海外親会社に支給する行使費用は損金算入されますが、その要件は以下の通りです。

(1)  海外親会社の要件

子会社が海外親会社に支給するストックオプションの行使費用が損金と認められるためには海外親会社は、以下の要件を全て備えなければなりません。

①  外国法人で、発行株式が資本市場と金融投資業に関する法律による証券市場、又はこ       れに類似した市場で、証券取引のため外国に開設された市場に上場された法人

②  外国法人で、法人税法施行令第19条第19号によるストックオプションの行使、又は支             給費用を補填する内国法人(資本市場と金融投資業に関する法律による上場法人は除く)   の議決権のある株式の90%以上を、直接又は間接に所有した法人

 

(2)  海外親会社が付与するストックオプションの要件

海外親会社が子会社の役職員に付与するストックオプションは、以下の要件を全て備えなければなりません。

①  商法によるストックオプションに類似したもので、海外親会社の株式を予め定めた価額(行使価額)で引受、又は買収(行使価額と株式の実質価額との差額を、現金、又は当該海         外親会社の株式で補償する場合を含む)できる権利であること

②  海外親会社が発行株式総数の10%内の範囲で付与したものであること

③  海外親会社と子会社間にストックオプションの行使費用の補填について事前に書面にて       約定していること

 

- 以上 -


 

 

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