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【韓国の会計・税務レポート】2017年税法改定案の発表

政府は、去る8月2日、雇用創出と共に福祉財源拡充のため税収を増大させる基本方針を盛り込んだ2017年税法改定案を発表しました。改定対象の法律は総13案で、国税基本法を始めとする内国税分野が10案、関税法を始めとする関税分野が3案です。今回の改定案には、雇用創出のための租税支援制度を改編し、所得再分配の改善を通して低中所得者層の税負担を縮小し、非課税及び減免等の縮小を通じた税収増大方案が反映されています。

 

以下では、今回の税法改定の基本方針別に主要な改定内容をいくつかご紹介致します。

 

1.雇用創出

 

(1) 雇用増大税制の新設

企業が機械装置等のような事業用資産に投資をしなくても、雇用増加時に1人当り一定金額を下表の通り支援します。支援期間は、大企業の場合は1年、中小・中堅企業の場合は2年です。

(単位:万ウォン)

区分

中小企業

中堅企業

大企業

常時勤労者

700

500

青年正規職、障害者等

1,000

700

300

 

(2) 外国人投資企業の雇用創出に対する税制支援の拡大

外国人投資企業に対する所得税・法人税の減免限度には、投資金額を基準とする限度(投資金額の50%、又は40%)と、雇用基準による追加限度(投資金額の40%、又は30%)がありますが、改定案によると、雇用基準による追加限度が投資金額の50%、又は40%で、10%ずつ増加します。

 

 

2.所得再分配

 

(1) 所得税の最高税率の調整

課税標準

現行

改定案

1,200万ウォン以下

6%

同左

1,200万ウォン~4,600万ウォン

15%

4,600万ウォン~8,800万ウォン

24%

8,800万ウォン~1.5億ウォン

35%

1.5億ウォン~3億ウォン

38%

同左

3億ウォン~5億ウォン

40%

5億ウォン超過

40%

42%

 

(2) 大株主の株式譲渡所得に対する課税の拡大

大株主の株式譲渡所得は、現在は課税標準と関係なく20%ですが、改定案によると、課税標準3億ウォン以下は20%、3億ウォン超過分に対しては25%を適用することになります。なお、大株主と分類される銘柄別限度金額も2021年4月からは3億ウォン超過となり、大株主の基準が拡大されます。

 

(3) 相続・贈与税の申告税額控除の縮小

税目間の衡平、課税インフラの拡充等を勘案し、相続・贈与税の申告税額控除を、現行の7%から2018年には5%、2019年以降は3%と段階的に縮小される予定です。

 

 

3.税収増大

 

(1) 法人税の最高課税標準区間の新設

課税標準

現行

改定案

2億ウォン以下

10%

同左

2億ウォン~200億ウォン

20%

200億ウォン~2,000億ウォン

22%

2,000億ウォン超過

25%

 

(2) 大企業R&D費用に対する税額控除の縮小

大企業のR&D費用に対する税額控除のうち、増加支出分に対する税額控除は現行通りに維持されますが(30%)、当期分支出額に対する税額控除は1~3%から0~2%に縮小されます。

 

(3) 大企業の繰越欠損金に対する控除限度の調整

課税衡平の向上、国際傾向等を勘案して、大企業に限って繰越欠損金の控除限度を段階的に調整する予定です。現行の控除限度は当該年度所得の80%ですが、2018年には60%、2019年には50%に縮小されます。

 

(4) 域外税源の管理

域外金融情報の収集のため、海外金融口座の申告基準金額を、現行10憶ウォン超過から5億ウォン超過に引下げます。なお、国際取引情報統合報告書(個別企業報告書、統合企業報告書及び国別報告書)の全部又は一部を提出しないか、或いは虚偽で提出する場合の過料を、現行の報告書別1千万ウォンから3千万ウォンに引上げます。

 

(5) 多国籍企業に対する税源管理の強化

多国籍企業の国外特殊関係者からの過多な借入による租税回避を防止するため、支払利息の控除制限制度を新設する予定です。即ち、金融保険業を除いた内国法人が、国外特殊関係者に支払った純支払利息が調整所得金額(純支払利息と減価償却費を減算する前の税務上利益)の30%を超過する場合、その超過支払利息は損金不算入されます。

 

(6) 非居住者・外国法人の国内源泉所得に対する課税の強化

非居住者・外国法人の上場株式の場内取引に対し、所得税・法人税の課税対象大株主の範囲を、現行の持分率25%以上から5%以上に拡大する予定です。これにより、租税条約上課税対象の制限がないか、或いは課税対象の株式比率が5%以上の場合(インド等10ヵ国)及び租税条約がない場合に課税されます。

 

- 以上 -

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