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【韓国の会計・税務レポート】2017年税法改定案の国会通過

去る12月5日に政府が発表した税法改定案が一部修正を経て国会を通過しました。当初の改定案に、企業負担の緩和、企画財政委員会の合意事項等を反映し、一部修正後通過されました。今回の税法改定案は、雇用創出、所得再分配、非課税及び減免等の縮小による税収増大、租税支援を目的として、来年(2018年)から施行される予定です。

 

下記では、今回の税法改定の基本方針別に主要改定内容を紹介します。

 

1. 雇用創出

 

(1)雇用増大税制の新設

企業が機械装置等のような事業用資産を投資しなくても、雇用増加時に1人当り一定金額の支援を受けることができます。支援期間は、大企業の場合は1年、中小・中堅企業の場合は2年です。

区分(単位:万ウォン)

中小企業

中堅企業

大企業

首都圏

地方

常時勤労者

700

770

500

青年定期職、障害者等

1,000

1,100

700

300

 

(2)外国人投資企業の雇用創出に対する税制支援の拡大

外国人投資企業に対する所得税・法人税の減免限度には、投資金額を基準にする限度(投資金額の50%、又は40%)と、雇用基準による追加限度(投資金額の40%、又は30%)がありますが、改定案によりますと、雇用基準による追加限度は投資金額の50%、または40%であり、10%ずつ増加します。

 

(3)株式買収選択権の行使利益に対する非課税

ベンチャー中小企業の核心人材の流入を促進させるため、2018年1月1日以降に付与された株式買収選択権に対し、年間2千万ウォンまでの行使利益を非課税とします。

 

2. 所得再分配

(1)所得税の最高税率の調整

課税標準

現行

改定案

1,200万ウォン以下

6%

同左

1,200~4,600万ウォン

15%

4,600~8,800万ウォン

24%

8,800~1.5億ウォン

35%

1.5~3億ウォン

38%

3~5億ウォン

40%

5億ウォン超過

40%

42%

 

(2)大株主の株式譲渡所得に対する課税拡大

大株主の株式譲渡所得に対する税率が、現在は課税標準に関係なく20%となっておりますが、改定案によりますと、中小企業以外の大株主の場合、課税標準3億ウォン以下は20%、3億ウォン超過分に対しては25%を適用することとなります(中小企業大株主の場合、2019年1月1日以降譲渡分から適用)。なお、大株主と分類される銘柄別限度額も2021年4月からは3億ウォン超過と、大株主の基準が拡大されます。

 

(3)協会場外市場(K-OTC)を通じた少額株主の株式譲渡所得に対する非課税

少額株主が場外で譲渡する株式は譲渡所得税課税対象ですが、K-OTCを通じて非上場法人の株式を譲渡する場合は、株式譲渡所得を非課税とします。ここで、K-OTC(Korea  Over –The-Counter)とは、韓国場外市場で非上場株式を売買取引するため、韓国金融投資協会が『資本市場と金融投資業に関する法律』により開設・運営する制度化・組織化された場外市場を言います。

 

(4)相続・贈与税の申告税額控除の縮小

税目間衡平、課税インフラの拡充等を勘案し、相続・贈与税の申告税額控除が現行7%から2018年には5%、2019年以降には3%まで段階的に縮小されます。

 

3. 税収増大

(1)法人税の最高課税標準区間の新設

課税標準

現行

改定案

2億ウォン以下

10%

同左

2億ウォン~200億ウォン

20%

200億ウォン~3,000億ウォン

22%

3,000億ウォン超過

25%

 

(2)大企業R&D費用に対する税額控除の縮小

大企業のR&D費用に対する税額控除のうち、支出増加分に対する税額控除は25%と縮小し、当期分支出額に対する税額控除は1~3%から0~2%に縮小されます。

 

(3)大企業繰越欠損金に対する控除限度の調整

課税衡平を高め、国際傾向等を勘案し、大企業に限って繰越欠損金の控除限度が漸進的に調整されます。現行の控除限度は当該年度所得の80%ですが、当初立法案に比べ控除限度の縮小幅が緩和され、2018年には70%、2019年には60%に縮小されます。

 

(4)域外税源の管理

域外金融情報の収集のため、海外金融口座の申告基準金額を、現行10億ウォン超過から5億ウォン超過に引下げます。なお、国際取引情報統合報告書(個別企業報告書、統合企業報告書、国別報告書)の全部又は一部を提出しないか、虚偽により提出した場合の過料が、現行報告書別に1千万ウォンから3千万ウォンに引上げられます。

 

(5)多国籍企業に対する税源管理の強化

国外特殊関係者からの過多借入を通じた多国籍企業の租税可否を防止するため、支払利息の控除制限制度を新設しました。即ち、金融保険業を除いた内国法人が国外特殊関係者に支払った純支払利息が、調整所得金額(純支払利息と減価償却費を減算する前の税務上利益)の30%を超過する場合、その超過支払利息は損金不算入とされます。

 

(6)非居住者・外国法人の国内源泉所得に対する課税の強化

非居住者・外国法人の上場株式の場内取引に対し、所得税・法人税の課税対象大株主の範囲が現行持分率25%以上から5%以上に拡大されます。これにより、租税条約上課税対象に制限がないか、或いは課税対象株式比率が5%以上の場合(インド等10ヶ国)及び租税条約がない場合に課税されます。

 

4. 納税者権利保護の強化

(1)税務調査定期選定時の考慮項目に対する明示

税務調査対象者の定期選定方式には、申告内容に対する誠実度分析の結果、不誠実の疑いがあると認められる場合、直近4課税期間以上同一税目の税務調査を受けていない場合で検証が必要な場合、無作為抽出方式で一部調査(サンプリング調査)を行う場合があります。この際、申告誠実度の評価基準として、課税資料、税務情報、監査意見と外部監査実施内容等の会計誠実度資料等も考慮することとなりました。

 

(2)修正輸入税金計算書の発給事由の拡大

輸入税金計算書の修正発給と関連し、税関長が決定・更正を行うか、決定・更正することを予め知って修正する場合は、輸入者の単純錯誤に該当するか、或いは輸入者に帰責事由がない場合のみ修正発給が可能でしたが、改定案によりますと、納税者の権利保護のため、輸入者の軽微な過失とされた場合も修正発給が可能となりました。

 

 

- 以上 -

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