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【韓国の会計・税務レポート】上場株式の大株主基準に対する議論

今年の株式市場関連の税務上の議論事項についてご紹介します。

 

今年3月に新型コロナウィルスの影響により株式市場が大暴落しましたが、4月以降は個人の大規模買収の勢いが流入され、現在は株価指数の高値が継続して更新されている状況です。政府は、2016年の税法改正により上場株式の課税対象である大株主基準金額を段階的に引下げ、譲渡所得税の賦課対象を拡大するとの方針でしたが、個人投資家から大反発があったことから、基準金額を下げずに猶予するとの方針を発表しました。

 

株式を譲渡しますと、原則的には譲渡所得税が課税されますが、税法では少額株主の上場株式場内取引は譲渡所得税の課税対象から除外しています。即ち、上場株式の場合は、税法上の大株主が売渡すか、或いは少額株主でも場外で売渡す場合は譲渡所得税が課税されます。

 

以下では、上場株式の大株主基準、譲渡所得税の税率、大株主基準に対する議論について説明します。

 

 

1.上場株式の大株主基準

 

以下の通り、2021年4月からは大株主基準金額を3億ウォンに引下げる予定でしたが、3億ウォンの大株主基準金額の廃止又は猶予の反対を固守している関連部署長官の解任を要請する国民請願[1]が20万名を超える等、個人投資家の強い抵抗により現行10億ウォンを維持することにしました。

 

(単位:億ウォン)

区分

KOSPI[2]

KOSDAQ[3]

KONEX[4]

持分率*

時価総額**

持分率

時価総額

持分率

時価総額

2013.06.30以前

3%

100

5%

50

2013.07.01以降

2%

50

4%

40

4%

10

2016.04.01以降

1%

25

2%

20

4%

10

2018.04.01以降

1%

15

2%

15

4%

10

2020.04.01以降

1%

10

2%

10

4%

10

2021.04.01以降

1%

3

2%

3

4%

3

*      持分率:株式の譲渡日が属する事業年度の直前事業年度終了日基準

**    時価総額:株式の譲渡日が属する事業年度の直前事業年度終了日現在における最終時価で計算

 

 

2.譲渡所得税の税率

 

区分

税率(地方所得税込み)

中小企業

大株主以外の株主

11%

大株主

22%

中小企業外

大株主以外の株主

22%

1年以上保有大株主

22%

1年未満保有大株主

33%

 

 

3.大株主基準に関する議論

 

現在は、保有している株式の持分率が1%以上であるか、或いは銘柄別保有額が10億ウォン以上の場合は大株主に該当しますが、2021年4月からは大株主基準金額を3億ウォン以上に引下げて施行される予定でした。

 

しかし、個人投資家は、以下の内容で大株主基準金額を廃止するか、或いは猶予することを主張しました。

 

①   大株主基準金額を回避するため年末に大規模売渡が発生した場合、株価下落の被害が発生する。

②   2023年の株式譲渡所得税の全面導入に合わせ、速度調節をしなければならない。

③   不動産に集まった資金を株式市場に流入させるには、大株主基準金額の拡大を猶予しなければならない。

④   株式売渡により大株主基準金額の回避が可能であるため、税収及び所得再分配の効果は不透明である。

 

これに対し、関連部署である企画財政部では、以下の理由により予定通りに施行するとの立場でした。

 

①   所得があるところに課税があるべきであり、大株主基準金額を拡大してもパニックが起こる可能性が低く、大株主の譲渡所得税非課税により高所得層が恩恵を受けることは不公平である。

②   2016年税法改正時に2021年までの段階的拡大が既に提示された。

③   不動産に対する課税や勤労所六税と比較して、株式非課税の恩恵は既に相当なものである。

④   高所得層に対する株式譲渡所得税の課税強化により所得再分配の効果もある。

 

個人的には、2021年から大株主基準金額を3億ウォンに調整することにした内容は、既に2016年税法改正時に発表されたものであるため、予定通りに施行することが法的安定性や予測可能性を考慮した際に妥当であると考えます。しかし、今年度は未だ進行中にあるコロナと言う前代未聞の事象が発生したため、当議論が発生する前に、政府側から先に大株主基準金額の引下げ調整を猶予するとの方針を提示する必要があるのではないかと考えます。

 

- 以上 -


[1] 青瓦台ホームページに請願を登録して30日間20万名以上の推薦を受けると、政府や青瓦台関係者請願に対する回答を提供するムン・ジェイン政権の疎通政策です。

[2] Korea Composite Stock Price Indexの略語で、主に大企業の株式が取引される市場です。

[3] Korea Securities Dealers Automated Quotationの略語で、アメリカのナスダックと同じように、ベンチャーと中小技術株が取引されています。コスピー市場に比べて進入要件が緩和された市場です。

[4] Korea New Exchangeの略語で、初期中小/ベンチャー企業の成長をサポートしたり、或いは冒険資本の先循環体系構築のために開設された中小企業専用市場です。

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