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【韓国の会計・税務レポート】海外で行われる合併と関連する国内での税務問題

今回は、内国法人が発行した株式を保有している外国法人が、外国で合併されるか、或いは内国法人が株式を保有している海外子会社が合併される場合、即ち、海外で行われる合併と関連する国内での税務問題を紹介します。

 

外国法人間の合併により被合併法人が保有していた内国法人の株式の所有権が合併法人に移転される場合、国内源泉所得である株式譲渡所得が発生すると判断した最高裁判所の判決があります(2017.12.13.宣告2015ヅ1984;2013.11.28.宣告2009タ79736;2013.10.30.宣告2010ヅ7208;)。同判決での判断の理由及び海外子会社の構造調整を支援するために備えられた、法人税法上の合併代価の評価特例規定は、以下の通りです。

 

 

1.最高裁判所の判決

 

外国法人間の合併により、消滅する被合併法人が資産として保有していた内国法人の発行株式を合併法人に移転することは、法人税法第93条で規定している外国法人の国内源泉所得である「株式の譲渡」による所得に該当すると最高裁判所は判断し、その理由を以下の通りに提示しました。

 

 

①   内国法人間の合併の場合、合併による資産の移転も譲渡差益が実現される資産の譲渡に該当するとみて、その譲渡差益の算定方法を規定している。但し、例外的に法人税法で規定している適格合併の要件を備えた場合に限り、被合併法人が代価として受けた株式の額面価額を譲渡代価と擬制することにより、事実上譲渡差益が算出されないようにし、合併法人が内国法人の株式を処分する時点まで、それに対する課税を繰延べる政策的特例を提供しているのである。

 

②   外国法人間の合併の場合、法人税法第93条で内国法人が発行した株式等の譲渡により発生する所得を課税対象と規定しているのみで、外国法人間の合併による株式等の移転に対し、課税を繰延べる政策的特例規定を置いていない。

 

③ 外国法人間の合併による国内資産の移転を、内国法人間の合併による国内資産の移転とは異なり、譲渡差益が実現される資産の譲渡とみない合理的な理由がない。

 

④   証券取引税法の趣旨および法人税法上の適格合併の場合、証券取引税を免税するとの租税特例制限法の規定に照らしてみると、合併による株式の移転は、証券取引税の課税対象である「株券の譲渡」に該当する。

 

しかし、法人間の合併で消滅する被合併法人の権利義務は、存続する合併法人に包括的に承継されるため、合併の効果として発生する株式の承継は、売買や交換等を原因にして所有権が有償で移転される「株式の譲渡」とは区別されなければならないと考えられます。仮に、外国法人間の合併により、被合併法人が所有していた内国法人の株式が合併法人に移転されることが国内源泉所得である「株式の譲渡」に該当するとしても、一定要件を備えた場合は、課税繰延の特例を備えることが必要であると考えられます。例えば、下記で紹介する海外子会社の構造調整を支援するための特例要件を引用して、合併当社法人の所在地国が韓国と租税条約が締結されており、当該国の税法による適格合併の要件に該当し、当該国の法人税が課税されないか、或いは課税繰延ができる場合、国内源泉所得から除外することも考えられます。

 

 

2.合併代価の評価特例

 

(1)  立法趣旨及び沿革

 

内国法人Aが外国法人Bを完全(100%)支配し、外国法人Bが外国法人Cを完全(100%)支配している場合において、外国法人B(合併法人)とC(被合併法人)間に合併が行われる場合、外国法人BはC法人の株式を全部保有しているため、合併時に新株を発行しない無増資合併が可能であり、内国法人Aには擬制配当の課税問題が発生しません。

 

しかし、外国法人C(合併法人)が、親会社B(被合併法人)を合併する、いわゆる、逆合併の場合は、内国法人Aが被合併法人のBの株主であるため、合併代価を受取ることになります。法人税法上の適格合併は、内国法人間の合併にのみ適用され、外国法人間の合併は適格合併に該当しないため、内国法人Aは合併代価として受けた株式を時価で評価しなければなりません。従って、擬制配当(=合併により受けた新株の価額 – 旧株の取得価額)の課税問題が発生します。

 

このような擬制配当に対する課税は、海外子会社の構造調整に障害となるため、これを解決するため、完全支配関係にある外国法人間の逆合併での擬制配当に対する課税繰延規定を2016年2月12日付で新設しました(法人税法施行令第14条第1項第1号の2)。以降、2017年2月3日付の改正では、内国法人が別々の外国法人の株式を100%保有している場合で、その別々の外国法人間の合併にも適用されることとしており、2018年2月13日付の改正では、100%の支配可否を判定する際、間接保有の場合も含めて海外完全子会社の範囲を拡大しました。

 

 

(2)  課税特例の要件

 

以下の要件を全て充足する場合は、合併により取得する新株の価額を旧株の帳簿価額で評価することができるため、擬制配当に対する課税問題は発生しません。

 

① 合併当社法人が韓国と租税条約が締結された同一国の法人であること

② 当該外国法人の所在地国で被合併法人の株主である内国法人に、合併による法人税を課税しないか、或いは課税繰延すること

③ 合併代価の評価特例の要件を確認できる書類を納税地管轄税務署長に提出すること

 

 

- 以上

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