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【韓国の会計・税務レポート】株式会社等の外部監査に関する法律(以下、「外監法」という)の確定

去る9月28日に開催された国会本会議で『株式会社の外部監査に関する法律』の改訂案が通過されました。今回の外監法改訂は、大宇造船海洋の粉飾会計事件が発生してから2年ぶりに行われたもので、粉飾会計と不実監査に対する体制強化のための法規も強化する内容が含まれています。具体的な適用基準などは、今後の施行令で確認する必要があります。

 

以下では、今回確定した外監法の主な内容を紹介致します。

 

1. 法律名変更及び体系の整備

外監法の規律対象の拡大等を反映して、法律名を『株式会社の外部監査に関する法律』から『株式会社等の外部監査に関する法律』に変更し、法律体系を全般的に整備しました。

2. 有限会社に対する外部監査の導入

会計監督規制の衡平を図り、会計情報利用者の正しい判断を誘導するため、株式会社と経済的実質が類似している有限会社も、監査人による外部監査を受なければならないとしました。これにより、外国系会社、会計法人、法務法人も外部監査を受け、監査報告書を開示することとなりました。

3. 外部監査対象選定基準に、売上高基準を導入

外部監査対象となる会社の範囲を定めることにおいて、資産・負債・従業員数以外に、会社の規模、利害関係者、財務状況等と関連性の高い売上高を選定基準に追加しました。

4. 会計監査前財務諸表提出義務の強化

会社が、監査人と証券先物委員会に財務諸表を事前に提出しない場合は、その事由を開示すべきであり、証券先物委員会は、当該違反事実を開示することとしました。

5. 会社の財務諸表代理作成要求などの禁止

監査人の独立性を強化するため、現監査人にのみ会社の財務諸表代理作成、会計処理諮問行為禁止義務を賦課していましたが、会社に対してもこのような行為を監査人に要求することができないようにしました。

6. 大手非上場株式会社及び金融会社に対する会計規律の強化

利害関係者を保護する必要性の高い大手非上場株式会社及び金融会社に対しても、監査人の資格及び選任等と関連し、上場会社に準ずる会計規律が適用されます。

7. 上場法人に対する監査人登録制度の導入及び標準監査時間の導入

上場法人の外部監査は、監査品質の管理のため、一定要件を備えて金融委員会に登録した会計法人のみができることとしました。また、韓国公認会計士会で標準監査時間を定めることができるようにするものの、施行令の定めるところにより、金融監督院等の施行令で定める利害関係者の意見を聴取・反映することとし、3年毎に妥当性を再検討することとしました。これにより、会計の透明性は高くなりますが、企業に対する監査時間が相当部分増加する可能性があり、企業負担の増加が予想されます。

8. 上場法人等に対する周期的監査人指定制度の導入

監査人の独立性を確保し、監査品質を改善するため、上場法人及び所有・経営が分離されていない会社に対しては、連続する6事業年度の監査人を会社が選任した以後は、証券先物委員会が指定する監査人を選任する周期的監査人指定制度が導入されます。いわゆる、6+3方式で政府が推進してきた選択指定制度よりも遥かに強化された制度です。但し、直近6年以内に監理を受けた結果、会計不正が発見されなかった場合や施行令が定めるところにより会計処理の信頼性が良好な場合は、周期的監査人指定制度から除外されます。

9. 会社と監査人に対する課徴金制度の導入及び消滅時効の延長

粉飾会社に対しては粉飾会計金額の20%、会社の会計業務を担当する者等に対しては会社に対する課徴金の10%、不実監査をした監査人に対しては監査報酬の5倍を超過しない範囲内で課徴金を賦課することとしました。課徴金の消滅時効も5年延長され8年になります。

10. 会計法人の代表理事等に対する制裁の新設

金融委員会が定めて告示した会社に対する重大な監査不実が発生した場合は、品質管理基準による業務設計・運営を疎かにした代表理事(品質管理業務の担当理事を含む)に対し、制裁措置を取ることのできる根拠を備えました。

11. 適用時期

改訂された外監法は、公布日より1年後に施行されます。

 

- 以上 -

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