- 2021年7月16日
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【韓国の会計・税務レポート】事業報告書の開示書式の改正
金融監督院[1]は7月12日付で投資家が企業の事業報告書[2](四半期・半期報告書を含む。以下同様)を、
便利かつ容易に活用できるよう開示書式の体系を改正すると発表しました。
今回の改正は2021年7月16日より施行されるため、12月決算法人は2021年度半期報告書から
変更書式で作成・提出しなければなりません。
以下では、金融監督院の発表内容を紹介します。
Ⅰ. 背景
国内株式市場に対する投資家の関心が高まるなか、事業報告書の利用が毎年増加しています。
このような事業報告書の開示項目は、投資家保護のため毎年増加されましたが、全体的に統一感が低く、
過度な分量[3]により投資家が活用するには多少負担になるとの批判がありました。
特に、「事業の内容[4]」の場合、導入部に記述された相当分量の産業分析及び
数ページにかけて複雑な表が含まれていて、投資家が事業報告書を理解し難く構成されていました。
Ⅱ. 主要改正内容
1.相互関連した開示項目を単一項目に統合
(現行)事業報告書に類似した作成項目が分散記載されており、
投資家が内容を総合的に把握することが難しかった。
(改正)証券の発行による資金調達及び株主総会関連事項を新設し、関連情報を集中させ、
投資家が総合的に理解できるように改善しました。
現行 |
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改正 |
類似した項目の分散記載 |
⇒ |
類似した項目の統合記載 |
(Ⅰ.会社の概要) 新株発行・消却 (Ⅲ.財務に関する事項) 債務証券発行実績 (Ⅺ.その他投資家保護事項) 資本と認められる債務証券の発行、直接金融資金の使用 |
⇒ |
(Ⅲ.財務に関する事項) 7. 証券の発行を通した資金調達 |
(Ⅰ.会社の概要) 議決権現況 (Ⅵ.会社の機関に関する事項) 投票制度、少数株主権、経営権競争 (Ⅶ.株主に関する事項) 株式事務 (Ⅺ.その他投資家保護事項) 株主総会議事録 |
⇒ |
(Ⅵ.会社の機関に関する事項) 3. 株主総会及び議決権に関する事項 |
(Ⅰ.会社の概要) 配当に関する事項 |
⇒ |
(Ⅲ.財務に関する事項) 6. 配当に関する事項 |
2.効果的な情報取得のため細分化された項目の新設
(現行)一部開示項目の場合、記載事項が複雑でありながら事業報告書の目次に単一項目のみ提供しているため、
投資家に必要な詳細項目を探すことが不便でした。
(改正)事業報告書の項目に細分化された目次項目を新設して
投資家に必要な情報をわかりやすく確認できるようにしました。
現行 |
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改正 |
単一項目 |
⇒ |
細分化された項目 |
(Ⅱ.事業の内容) |
⇒ |
(Ⅱ.事業の内容) |
<製造、サービス業> 1. 事業の概要 2. 主要製品/サービス 3. 原材料/生産設備 4. 売上/受注状況 5. リスク管理/デリバティブ取引 6. 主要契約/研究開発活動 7. その他参考事項 |
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<金融業> 1. 事業の概要 2. 営業の現況 3. デリバティブ取引現況 4. 営業設備 5. 財務健全性等その他参考事項 |
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(Ⅴ.監査人の監査意見等) |
⇒ |
(Ⅴ.会計監査人の監査意見等) 1. 外部監査に関する事項 2. 内部統制に関する事項 |
(Ⅺ.その他投資家保護事項) |
⇒ |
(Ⅺ.その他投資家保護事項) 1. 開示内容進行及び変更事項 2. 偶発債務等に関する事項 3. 制裁等と関連した事項 4. 作成基準日以降発生した主要事項等 |
3.「事業の内容」の作成方式を変更
(現行)既存の「事業の内容」は、会社が属している産業を先に説明し、詳細事項を後述する、
いわゆるTop-down方式で記載されていたため、会社の「事業の内容」を把握するのに
相当な時間が所要されました。
(改正)導入部に「事業の内容」に対する要約情報を提供して投資家が
「事業の内容」を迅速に把握できるように補完しており、産業分析は最後の部分(その他参考事項)に
配置(Bottom-up方式)して、深く理解する必要のある投資家に参考となるようにしました。
現行 |
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改正 |
Top-down記述方式 |
⇒ |
Bottom-up記述方式 |
(Ⅱ.事業の内容) 1. 事業の概要 – 産業の特性 – 国内外市場与件 – 会社の競争力等 |
⇒ |
(Ⅱ.事業の内容) 1. 事業の概要 – 事業の内容要約(新設)
7. その他参考事項 – 産業の特性 – 国内外市場与件等 |