- 2022年2月22日
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【韓国の会計・税務レポート】便法贈与に対する税務調査
国税庁では、1月26日に2022年度全国税務官署長会議を開催し、国民経済の均等な回復や
公平な税負担の実現を阻害する不公正脱税行為に対して厳正に対処することを明らかにしました。
特に、資金余力の足りない年少者等の住宅取得、
所得対比高額資産取得といった不動産取引に関する変則的な脱税の疑いを綿密に検証することにしました。
また、国税庁は、正当な税金の申告納付義務を履行しない脱税容疑者に対する税務調査に着手したことを
2月3日付報道資料で公開しました。
今回は同報道資料の内容についてご紹介します。
1.調査対象者
今回の調査対象者は、本人の能力でローンを返済したり、財産を取得したものと偽装しているが、
実際は親の財力を利用したり、所得申告漏れをした者で、合計227名です。
2.調査対象者の選定現況及び事例
(1) 親の援助で富を蓄積、或いは親名義のクレジットカードで贅沢な生活をしていた場合:41名
[事例1]
専門職高所得者の父親から高価なマンションの取得資金及びオフィステルの賃借保証金の贈与を受けた。
贈与を受けた不動産に担保されていた金融債務の元金や利息まで父親が代わりに返済。
父親の会社に勤めたことがないにもかかわらず架空の給与を受け、
父親名義のクレジットカードを使用して贅沢な生活をした。
[事例 2]
子女が不動産賃貸業者の父親名義のクレジットカードで贅沢な生活をし、本人と配偶者の所得は全て貯蓄。
その後、貯蓄や貸付金で株式や不動産等を取得したが、不動産取得時に設定した根抵当債務を父親が代わりに返済。
(2)両親が不動産取得資金・貸付利息・クレジットカード決済代金まで代納した場合:52名
[事例3]
所得の少ない者が高価な不動産を多数取得したが、取得及び利息支払時点で当該資金を支払う能力がなく、
ブランドショッピング及び頻繁な海外旅行等贅沢な生活に高額のクレジットカードを使用。
不動産取得資金、利息、クレジットカード決済代金を全て母親が代納
(3) 負担付贈与で受けた不動産の担保貸付を親が代わりに償還し、根抵当権設定を維持する方法で贈与を隠匿、
或いは子女の金融債務を親が引受けたにもかかわらず、
これを親子間の資金借用等の行為に見せかけて脱税した場合:87名
[事例4]
父親から不動産取得資金の贈与を受け、不動産を担保に金融機関から資金を借入れ。
その後、父親が子女の貸付利息及び貸付元金の一部を残して大部分を返済し、
根抵当価格は変更なく登記を続け、債務返済の事実を隠匿。
[事例5]
父親所有の不動産を周辺相場より低い価格で売買取引し、売買契約書上賃借保証金の債務を
実際より過度に高く記載して売買代金を過少に支払う。
その後取得した不動産に設定された根抵当債務の名義を変更せず、引続き父親が貸付利息を償還。
[事例6]
子女が不動産を取得する際に金融機関から資金を借入れて取得した不動産に対し根抵当権を設定。
その後、母親が当該債務を引受け、子女に同金額を貸したように金銭貸借契約を締結したが、
子女は母親に利息及び元金を支払わない。
(4) 新種好況業種を運営しながら関連所得申告を漏らし、株式及び不動産を直接取得、
或いは未成年子女に変則的に贈与した場合:47名
[事例7]
有名講師が架空の経費を計上する方法で事業所得を脱税し、
脱税した所得で配偶者及び未成年子女の名義で不動産を取得。
また、本人が代表として務めている法人は、実際に勤務事実の不明な家族に給与を支払う等、
架空の経費計上を通じて法人税及び所得税を脱税する。
[事例8]
アプリ開発事業を運営しながら、海外のプラットフォーム企業から支給された所得申告を漏らして
本人の株式取得資金として使用し、子女の不動産取得資金を代納。