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2022会計年度上場企業の監査報告書分析結果及び示唆点

金融監督院は、上場企業2511社の2022会計年度監査報告書を分析し、分析結果及び示唆点を9月8日に発表しました。
以下では、金融監督院の発表内容について紹介します。

1.分析結果

(1) 監査意見無限定適正意見の比率は97.9%で、2019会計年度から施行されている新外部監査法以降、大きな変動なく97%台を維持しています。

無限定適正意見以外の監査意見を受けた上場企業は53社(限定付適正意見7社、意見不表明46社)で、前期(68社)に比べ15社減少しました。意見不表明に関しては、2020年の65社を最大値とし、以降は減少傾向(2021年58社、2022年46社)をみせています。

監査人の指定を受けた法人の無限定適正意見の比率(96.6%)は、自由受任(99.2%)より2.6%p低く、その差(2019年15.1%p、2020年6.2%p、2021年3.5%p、2022年2.6%p)は、毎年減少する傾向にあります。これは財務状況が優良で、監査リスクの高くない上場企業に対する周期的指定比重が引き続き高まったことに起因します。

無限定適正意見の比率は、企業規模に比例していることが表れており、資産規模1千億ウォン未満の上場企業の無限定適正意見比率が95.6%と最も低かったです。企業規模が小さいほど財務構造が脆弱であり、内部統制水準が不十分な場合が多く、無限定適正意見以外の監査意見が多いものと見られます。

 

(2) 強調事項等注意事項の記載現況

監査報告書に強調事項[1]を記載した上場企業は289社(11.5%)で、前期(572社、23.6%)に比べ大幅に減少しました。COVID-19の影響を強調事項に記載した法人が前期に比べ大幅に減少したことが原因です。

無限定適正意見法人(2,458社)のうち、継続企業の不確実性を監査報告書に記載した上場企業は85社で、前期(92社)に比べ7社減少しており、85社のうち資産規模5千億ウォン未満の法人が76社を占めました。

 

(3) 監査人の分布

4大会計法人(Big 4)の上場企業の監査比重は、2020会計年度以降31~32%水準を維持しており、Top10会計法人のうち下位6社の監査比重は32.3%で、前年に比べ小幅に(1.1%p)増加したことが分かりました。

資産2兆ウォン以上、5千億~2兆ウォン未満の上場企業の中で4大会計法人の比重はそれぞれ92.4%、57.4%で、監査対象法人の資産規模別では、4大会計法人の比重が引き続き高い水準を維持しています。資産5千億ウォン未満の中・小型上場企業のNon-Big4比重は78.4%です。

 

(4) 内部会計管理制度に対する監査意見

2022会計年度における内部会計管理制度の監査対象は、直前期末資産総額1千億ウォン以上の1,510社であり、無限定適正意見以外の監査意見の比率は2.5%(38社)で、前期(445社のうち 無限定適正意見以外4社、0.9%)に比べ2.8倍増加しました。内部会計管理制度による監査対象の増加(1,065社)及び認証レベルの強化(検討⇒監査)により、無限定適正意見以外の監査意見の比率が増加したためです。

無限定適正意見以外の監査意見を受けた38社のうち不適正意見は20社、意見不表明は18社であり、このうち財務諸表監査意見も無限定適正意見以外の監査意見を受けた法人は21社です。


2.示唆点

(1) 無限定適正意見以外の監査意見の比率は減少傾向

監査意見のうち無限定適正意見比率は、新外部監査法施行以降大きな変動なく一定水準(97%)を維持しており、無限定適正意見以外の監査意見を受けた上場企業は2020会計年度以降毎年減少する傾向(2020年71社、2021年68社、2022年53社)をみせています。厳格な監査環境を整えた新しい会計制度(周期的指定制など指定対象の拡大、内部会計管理制度の強化など)が漸進的に安定化しているためです。

 

(2) 財務諸表の修正内訳に対する定期的なモニタリングを実施予定

2022会計年度には強調事項の記載が大幅に減少(375件)しましたが、前期財務諸表の修正記載は48件と依然として多いです。金融監督院は上場企業の財務諸表修正現況に対し周期的にモニタリングを行い、必要に応じては監理などを通じて厳正な措置をとる予定です。

 

(3) 監査報告書上、継続企業の不確実性記載内容に留意する必要

監査意見が無限定適正意見であるにもかかわらず、継続企業の不確実性が記載された上場企業が翌年に監査意見の変形、上場廃止につながる場合が未記載法人に比べて高かったです。監査報告書利用者は、継続企業の不確実性記載内容について注意を払うべきであり、特に中・小規模の上場企業に継続企業の不確実性が記載されている場合は、今後の監査意見の変形、上場廃止の可能性がさらにあることに注意する必要があります。

 

(4) 上場企業の規模による外部監査人分布の二分化

資産2兆ウォン以上の上場企業に対するBig4会計法人の監査比重は92.4%であり、資産5千億ウォン未満中・小型上場企業のNon-Big4比重は78.4%で、資産規模による会計法人の分布が二分されています。金融監督院は会計法人の品質管理能力の向上、監査品質競争を促進するための監査人指定制度の補完を推進しています。会計法人は価格中心の受任競争を止揚し、監査品質の改善努力により外部監査の質を向上させる必要があります。

 

 

[1] 監査意見に影響はないが、財務諸表を理解するに重要で、利用者の注意を喚起させる必要があるとみて監査人が
監査報告書に記載した事項

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