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2012年下半期より変更される税制及び人事労務制度

今年の下半期より非居住者・外国法人が租税条約上制限税率の適用を受けるためには、事前に源泉徴収義務者に制限税率適用申請書を提出しなければなりません。また、今まで年俸制及び慣例的に実施されていた退職金中間精算制度が住宅購入等、法律で定める事由がない限り原則的に禁止されました。

 

今回は、2012年下半期より変更される主要税制及び人事労務制度について説明します。

 

1. 税制

 

(1) 非居住者・外国法人に対する租税条約上の制限税率適用のための手続特例

 

2012年7月1日以降最初に源泉徴収分より、非居住者・外国法人の国内源泉所得に対する租税条約上制限税率適用の手続規定が施行されます。

 

制限税率とは、租税条約上の利子所得、配当所得、使用料所得に対し源泉地国で一定税率を超過して課税できないようにする規定での税率を言い、軽減税率とも言います。

 

従来は別途の申請手続なく所得の実質帰属者の居住地国との租税条約により制限税率が適用されましたが、租税条約上制限税率の適用手続を明確にし、制限税率適用手続が新設されました。

 

本制度の施行により、国内源泉所得の実質帰属者が国内源泉所得の支払いを受けるまで制限税率適用申請書を源泉徴収義務者(所得の支払者)に提出した場合に限って租税条約上制限税率が適用されました。

 

但し、国内源泉所得が国外投資機構を通して支払われる場合、その国外投資機構は実質帰属者より制限税率適用申請書を受け、国外投資機構申告書に実質帰属者明細を添付して源泉徴収義務者に提出しなければなりません。

 

源泉徴収義務者が実質帰属者を把握することができない場合は、国内税法上源泉徴収税率を適用し、実質帰属者は3年以内に更正請求をすることができます。

 

参考までに、韓国と締結した租税条約上の主要条約締約国別制限税率は以下の通りです。

 

所得区分

国内税法上

源泉徴収税率

締約相対国

日本

アメリカ

イギリス

中国

フランス

利息

22%

(債権15.4%)

10%

12%

10%

10%

10%

配当

22%

5%,15%

10%,15%

5%,15%

5%,15%

10%,15%

使用料

22%

10%

10%,15%

2%,10%

10%

10%

 

(2) 国税-関税間課税価格調整制度新設

 

特殊関係者間の物品輸入取引について、国税の正常価格及び関税の課税価格を調整するための国税-関税間課税価格調整制度が2012年7月1日から施行されました。

 

本制度は従来、国外特殊関係者から輸入する財貨の課税価格を関税庁と国税庁がそれぞれ算定することにより課税価格が異なっていた問題を改善するために施行された制度で、企画財政部は課税価格調整審議委員会を設置し、納税者が申請すれば課税価格を合理的に調整して輸入業者に不合理な租税負担を軽減できるようになりました。

 

(3) 一部免税役務の付加価値税の課税転換

 

付加価値税課税基準を国際的基準に合わせ課税衡平性を高めるため、従来は付加価値税が免除されていた一部教育役務及び無償供給役務に対し2012年7月1日より付加価値税が課税されます。

 

免税から課税に転換される項目は以下の通りです。

 

①   教育役務のうち、道路交通法上自動車運転学院の教育役務

②   特殊関係者間事業用不動産の無償賃貸役務

 

2. 人事·労務

 

(1) 退職金中間精算制限

 

2012年7月26日から退職金の老後所得保障機能を強化するため、中間精算が制限され、住宅購入などの事由がある場合にのみ退職金を中間精算してい支払えるようなります。

 

これまでは勤労者が退職金を生活資金として使用するか、或いは使用者が退職債務負担を緩和する目的で中間精算を実施していましたが、高齢化に伴う退職給与の消尽を予防するため、勤労者からの要求があっても住宅購入等、法律で定める事由に該当しない場合には退職金中間精算が禁止されます。

従って、既存の年俸制及び慣例的に実施していた1年単位の中間精算は2012年7月26日以降は不可能になりました。

法律で定める退職金中間精算事由は以下の通りです。

 

①     無住宅者である勤労者が本人の名義で住宅を購入する場合

②     無住宅者である勤労者が住居を目的に、保証金又は賃貸保証金を負担する場合。但し、この場合は勤労者が

1箇所の事業場に勤労する期間に1回限り

③     勤労者、勤労者の配偶者、又は生計を共にする扶養家族が疾病又は負傷で6ヶ月以上療養する場合

④     退職金中間精算を申請する日より逆算して5年以内に勤労者が破産宣告を受けた場合

⑤     退職金中間精算を申請する日より逆算して5年以内に勤労者が個人回生手続により個人回生手続開始の決定を

受けた場合

⑥     雇用保険法による賃金ピーク制を実施して賃金が減る場合

⑦     その他天災地変などにより被害を受けるなど、雇用労働部長官が定める事由及び要件に該当する場合

 

(2) 小規模事業場低賃金勤労者に対する社会保険料支援

 

2012年7月1日より10人未満の小規模事業場に所属する低賃金勤労者(月報酬額125万ウォン)に対し、勤労者と事業主の保険料のうち雇用保険料及び国民年金負担分について、以下の金額を国家が支援する制度が制定されました。

 

–     月平均報酬35万ウォン以上105万ウォン未満:勤労者及び事業主負担分の各1/2支援

–     月平均報酬105万ウォン以上125万ウォン未満:勤労者及び事業主負担分の各1/3支援

 

参考までに、韓国の社会保険の種類及び保険料率は以下の通りです。

種類

事業主負担分

勤労者負担分

備考

国民健康保険(老人
長期療養保険を含む)

3.0885%

3.0885%

 

国民年金

4.5%

4.5%

小規模事業場の低賃金勤労者に対し、一部支援

雇用保険

0.8%

0.55%

産業災害報償保険

業種別0.6%~35.4%

なし

 

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