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所得のある所には税金あり: 2011年の韓国税制改編案発表(法人税)

いつか、アメリカ国民を対象に世論調査した結果、最も恐ろしい政府機関の第1位はIRS(米国の内国歳入庁=国税庁)だったとの記事がイシューになったことがあります。それほど税金は、自分の所得と密接な関連があり、誰にとっても敏感な問題だと言えるでしょう。さらに、国家の立場では、国を賄うための最大かつ基本的な収入であるだけでなく、所得分配や福祉などの様々な政策を運用するための手段であるため、大切に管理されています。

毎年9月頃になると、韓国の企画財政部はその時点の経済状況および今後政府が推進する政策目標などに基づいた税法改訂案を発表します。こうして発表される税法改訂案は、その翌年から直ちに適用される場合が多いです。これは、政府が今後どのように租税制度を運用するかを見計らう尺度にもなるため、注意深くみる必要があるでしょう。特に、企業で経理や財務業務を担当する方にとっては、税務業務に直接的な影響があるだけでなく、今後の予算策定やキャッシュ・フローを予測するための多くの情報となるので、より一層関心を注ぐ必要がありそうです。

今回の税法改訂案は、◇職場創出支援および成長基盤の拡充◇庶民・中産層の生活支援◇租税体系の合理化◇公正社会実現および財務健全性を高める――という、4つの政策目的に焦点を合わせています。発表された内容は今年度の定期国会に提出され、国会の審議や承認などの立法過程をたどり、来年度初旬には詳細な法律施行令および規則が発表されると見込まれます。また、この過程で、既存内容のうち一部が修正される場合もあります。特に、税率などの一部政治的に敏感な試案に関しては、実際に法案が通過するまでに多くの論議過程があると思われます。

まず、最も重要な項目として、法人税について見てみましょう。2012年より引き下げる予定となっている法人税の最高税率は従来通りに維持され、中小・中堅企業を支援するために中間税率区間を新設することになりました。これにより、課税標準が500億ウォンを超過する部分に対し適用される税率(20%)は、既存の22%が維持されますが、2億ウォン超過分から500億ウォン以下分に新設された区間では、20%に引き下げられた税率が適用されることになりました。これは、今までの減税政策はほとんど社会的強者である大手企業に恩恵を与え、政府は財務健全性を悪化させているという批判を反映しています。有望な中小・中堅企業に対しては、減税の恩恵を通して持続的な雇用や投資が行われるようにという、政府の配慮が組み込まれているようです。

次に、社会的にも大きな問題となっている青年失業について見てみます。青年失業を税的に支援するため、既存の臨時投資税額控除制度を廃止し、雇用創出投資税額控除制度の控除率を上方修正することにしました。臨時投資税額控除は、政府が企業の投資を活性化するために1982年に導入した制度で、企業の設備投資金額の一部を法人税から控除することによって、実際には企業の投資額の一部を政府が補助したことと同じ効果があるとされていました。しかし、この制度が30年以上運営される中で、景気調節のための一時的な制度という趣旨が忘れられ、常態化し、大規模投資を進行する大手企業にのみ集中されるという指摘が続いていました。従って、政府はこのような臨時投資税額控除制度の問題を解決すると同時に、雇用と連携する投資へと誘導するため、2011年の税法改訂に伴って雇用創出投資税額控除制度を新設したというわけです。今回の改訂では、臨時投資税額控除を完全に廃止し、雇用創出投資税額控除の控除率を上げ、企業の雇用創出を積極的に誘導するというのが政府の立場でしょう。今後雇用を維持する、または増加する企業は、5~6%の税額控除の恩恵を受けることができると思われます。

このほかにも、国際会計基準(IFRS)を導入した企業のための特例規定を新設しており、中小企業を持続的に支援するための関連各種税額控除および減免制度を維持、新設しました。税金は企業の現金流出につながるため、その重要性は言うまでもないでしょう。企業の経営者や財務責任者は、このような税法改編案を綿密に検討し、今後の経営政策に反映して節税効果を十分に享受する知恵が必要なのではないでしょうか。

 

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