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【韓国の会計・税務レポート】韓国-香港租税条約の発効について

大韓民国政府(以下、「韓国」という)と、中華人民共和国の香港特別行政区(以下、「香港政府」という)の所得に対する租税の二重課税防止及び脱税予防のための協定(以下、「租税条約」という)が、2016年9月22日に大韓民国国会を通過し、2016年9月27日付で発効されました。

同租税条約は、韓国の租税の内、源泉徴収される租税に対しては2017年4月1日以降に支払われる金額から、それ以外の租税に対しては2017年1月1日以降開始する事業年度から適用されます。

海外に系列会社を多く持つ日本法人の中には、アジア地域を総括する法人を香港におくことが多いですが、香港は韓国と租税条約が締結されていないため、国内源泉所得の範囲及び税率適用などにおいて国内税法が適用されていました。

ご参考までに、韓国は中国とは租税条約が締結されているものの、韓中租税条約には適用地域の拡大に関する条文がなく、韓中租税条約上の中国は中国税法が適用される中華人民共和国の領域を意味します。従って、香港の場合、中華人民共和国の特別行政区ではありますが、別途の課税権を持っているため、韓中租税条約が適用されません。

以下では、韓国‐香港の租税条約の主要内容を日韓租税条約と比較して説明します。

 

1. 韓国-香港租税条約の主要内容

(1) 租税条約の主要内容

①    情報交換:国際基準により、香港側から国内脱税容疑者の課税資料確保が可能となり、香港を迂回した租税回避を防止することができる。

特に、租税回避防止に必要な情報のうち、金融機関保有情報も交換可能となり、今後脱税容疑者に対する課税と関連し、香港側が保有している過去の租税情報を要請することができる。

②   制限税率:配当10%(25%未満の持分保有時15%)

利子 10%、使用料 10%

(2) 租税条約の適用時期

香港の租税に対しては、2017年4月1日又はその後開始される課税年度から適用され、韓国の租税のうち、源泉徴収される租税に対しては2017年4月1日以降に支払われる金額から、それ以外の租税に対しては2017年1月1日以降開始する事業年度から適用します。

 

2. 租税条約の詳細内容 (韓国-日本租税条約との比較)

区分

韓国-香港租税条約

韓国-日本租税条約

建設恒久的施設判定基準

建築、建設、設備工事及び監理役務の場合、12ヶ月超過

建築、建設、設備工事及び監理役務の場合、6ヶ月超過

従属代理人の範囲

契約締結代理人

契約締結代理人

不動産所得

不動産所在地国課税

不動産所在地国課税

事業所得

帰属主義(国内支店に帰属される所得に対してのみ課税)

帰属主義(国内支店に帰属される所得に対してのみ課税)

制限税率

 

 

配当

25%以上持分を所有した法人:10%

その他:15%

25%以上持分を所有した法人:5%

その他:15%

利子

10%

10%

使用料

10%

10%

譲渡所得

 

 

不動産、不動産が50%を超過する法人の株式

源泉地国(不動産所在地国)課税

 

源泉地国(不動産所在地国)課税

 

その他株式

 

 

 

 

 

源泉地国(株式発行法人所在地 国)課税

 

 

 

 

 

–   寡占株主株式(譲渡が発生した課税年度のうち、25%以上の持分保有)を課税年度のうち5%以上譲渡する場合のみ源泉地国(株式発行法人所在地国)課税

–   その他株式は居住地国課税

上記以外の財産

源泉地国課税

居住地国課税

独立的人的役務

別途規定なし

固定施設保有時、又は183日以上滞留時課税

従属的人的役務

原則的には、役務遂行地国課税

*免税要件(1、2、3を全て充足)

①   12ヶ月の期間中、総183日以下国内滞在

②   源泉地国居住者ではない者により報酬が支払われること

③   雇用主が源泉地国に持っている恒久的施設から報酬が支払われないこと

原則的に役務遂行地国課税

*免税要件(1、2、3を全て充足)

④   当該暦年のうち、総183日以下国内滞在

⑤   源泉地国居住者ではない者により報酬が支払われること

⑥   雇用主が源泉地国に持っている恒久的施設、又は固定施設から報酬が支払われないこと

その他所得

居住地国課税

居住地国課税

 

‐ 以上 ‐

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