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【韓国の会計・税務レポート】固定事業場について

非居住者、又は外国法人(以下、「外国法人等」という)は、韓国に固定事業場(Permanent Establishment、以下「PE」という)を有しているかどうかに応じて、韓国で受ける課税関連の適用が異なります。PEとは、外国法人等が韓国内に事業の全部、又は一部を遂行する固定した場所を言います。

今回は、韓国の税法で規定しているPEの種類及び成立要件、PEの有無による課税関連について説明します。

1. PEの種類及び成立要件


(1) 一般的な固定事業場

1) 成立要件

外国法人等が以下の要件を全て満たす場合は、PEを有しているとみなされます。

①    事業場が存在すること

:建物、設備、装置等、外国法人等が任意で使用できる一定の面積があることを言います。

②    事業場が固定されていること

:固定された事業場はもちろん、期間的継続性も含んでいることを意味します。即ち、場所を移動しながら事業活動を行っても、国内で一定期間継続した場合は固定されているとみなされます。

③    事業場所で実質的に事業が遂行されること

:固定された事業場を介してその企業の主な事業を遂行することを言います。事業活動は必ずしも人を介して遂行される必要はなく、機械(例:自動販売機)によるものも事業活動に該当します。

上記の要件を全て満たしているPEの例*1は以下の通りです。

  • 支店、事務所、又は営業所
  • 商店、その他の固定した販売所
  • 作業場・工場、又は倉庫
  • 6ヶ月を超えて存続する建築現場、建設・組立・設置工事の現場、又はこれに関連し監督活動を遂行する場所
  • 鉱山・油田・ガス井等の天然資源の探査及び採取場
  • 雇用人を介して役務を提供する場合で、以下の何れか1つに該当する場所

イ.役務の提供が継続する12ヶ月のうち、計6ヶ月を超える期間、役務が遂行される場所

ロ.役務の提供が継続する12ヶ月の中、計6ヶ月を超えない場合で、類似した種類の役務が2年以上継続的に遂行される場所

*1 租税条約により、PEの成立可否に多少の違いがあります。

2) PEが成立しない場合

固定された場所の活動が外国法人等の活動の本質的、かつ重要なものではなく、予備的、かつ補助的な性格を有している場合、その場所はPEに該当しません。

外国法人等が一般的に予備的・補助的な活動を行っているとみなされる場所は以下の通りです。

  • 企業所有の資産を貯蔵・展示、又は引渡のみを目的にした施設の保有
  • 貯蔵・展示、又は引渡のみを目的にした企業所有の資産の在庫保有
  • 他企業による加工のみを目的にした企業所有の資産の在庫保有
  • 企業のための商品の購入、又は情報の収集のみを目的とした固定された事業場の維持
  • 企業のためその他予備的、かつ補助的な性格の活動のみを遂行することを目的とした固定された事業場の維持

予備的、かつ補助的な活動は外国法人等のために行っている場合に限って認められるものです。

(2) みなしPE:従属代理人

外国法人等の支店、事務所等、固定された場所がない場合でも、韓国に当該外国法人等のため契約を締結する権限を有し、その権限を反復的に行使する者、又はこれに準ずる者(以下、従属代理人)をおいて事業を営む場合は、韓国内にPEがあるとみなされます。

従属代理人に該当する者*2は以下の通りです。

  • 外国法人のために、その事業に関する契約を締結する権限を有し、その権限を反復的に行使する者
  • 外国法人の資産を常時保管し、慣例的にこれを配送、又は引き渡す者
  • 独立的地位の代理人として、主に特定外国法人のみのために契約の締結等、事業に関する重要な部分の行為を行う者
  • 保険事業を営む外国法人のために保険料を徴収、又は国内に所在する被保険物に対する保険を引き受ける者

*2 租税条約により、従属代理人の種類は多少の違いがあります。

但し、従属代理人の要件に該当しても、例外として下記の場合はPEとして認められません。

  • その代理人が外国法人等から法的、又は経済的に独立した地位にある場合
  • その代理人が履行するその外国法人等のための行為が、その代理人自身の通常的な事業として遂行される場合。即ち、不特定多数のため契約締結等の役割を遂行している場合


3. PE
の有無による課税体系の違い

PEが成立するかどうかに応じて韓国での課税体系は異なります。課税体系の違いについては以下の通りです。

(1) 課税方法の決定

外国法人等がPEを有している場合、PEに関連した国内源泉所得に対し法人税(所得税)及び付加価値税等、韓国の税法で規定する各種税金を申告・納付しなければなりません。

PEがない場合は、原則として、外国法人等の国内源泉所得は源泉徴収のみで納税義務が終結します。

(2) 事業所得に対する課税可否の決定

租税条約で締結された締結国の外国法人等がPEを有している場合は、韓国で課税権が発生しますが、PEを有していない場合は韓国で課税権が発生しません。

(3) 利息・配当・使用料に対する制限税率の適用可否の決定

租税条約上、外国法人等の利息、配当、使用料に対しては制限税率が適用されますが、当該所得がPEに関連する場合は、国内源泉所得に合算して申告・納付しなければなりません。

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