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【韓国の会計・税務レポート】付加価値税法上財貨及び役務の供給時期

付加価値税法上財貨及び役務の供給時期は、個別財貨及び役務の供給がいつの課税期間に含まれるかを決定する基準となります。また、供給時期が到来すると、供給者は税金計算書を交付しなければならないため、供給時期は税金計算書の交付時期を定める基準としても非常に重要な意義をもっています。仮に、財貨及び役務供給時期を誤って判断した場合、税金計算書の発給及び付加価値税申告・納付による仕入税額不控除及び加算税などの不利益が生じる可能性があります。

今回は、付加価値税法上の財貨及び役務の供給時期及び供給時期の擬制について説明します。

 

. 財貨の供給時期


(1)  一般的な基準

財貨の供給時期に対する一般的な原則は以下の通りです。

1)    財貨の移動が必要な場合:財貨が引渡される時

2)    財貨の移動が必要でない場合:財貨が利用可能となる時

3)    上記の規定を適用できない場合:財貨の供給が確定される時

 

(2)  具体的な基準

 

区分

財貨の供給時期

① 現金販売・買掛販売、又は短期割賦販売の場合、

-商品券により供給する財貨の供給時期

-内国信用状による財貨の供給時期

財貨が引渡されるか、或いは利用可能となる時

-財貨が実際に引渡される時

-財貨を引渡す時

② 長期割賦販売※1の場合

代価の各部分を受けることにした時

③ 条件付販売・期限付販売の場合

 

その条件が受取られるか、期限が経過して販売が確定される時

④ 完成度基準支払※2、中間支払条件付※3の場合

代価の各部分を受けることにした時

⑤ 財貨の供給とみなされる加工の場合

加工された財貨を引渡す時

⑥ 自家供給、個人的供給、事業上贈与の場合

財貨が使用、又は消費される時

⑦ 廃業時残存財貨

廃業する時

⑧ 輸出財貨の供給時期

-内国物品の国外搬出及び仲介貿易方式の輸出

-委託販売輸出

-外国引渡輸出及び委託加工貿易方式の輸出

 

-輸出財貨の船積日

-輸出財貨の供給価額が確定される時

-外国で輸出財貨が引渡される時

⑨ 保税区域での輸入財貨供給時期

輸入申告受理日

⑩ その他の場合の供給時期

-現物出資の場合

-寄付滞納施設物の場合

-廃業前に供給した財貨の供給時期が廃業日以降に到来する場合

財貨が引渡されるか、或いは利用可能となる時

-現物出資履行が完了される時

-目的物を実質的に引渡・利用可能な時

-廃業する時

 

⑪ 委託売買、又は代理人による売買の場合

受託者、又は代理人が財貨を供給する時

⑫ リース資産の供給時期

財貨の供給を受けたか、或いは輸入する時

⑬ 通信販売及び電子商取引の場合

郵便、又は宅配便で発送した日


※1 長期割賦販売とは、財貨を供給し、その代価を月賦・年賦、その他賦払方法により受ける場合で、①代価を2回以上分割して受け、②当該財貨を引渡した日の翌日から最終賦払支払期日までの期間が1年以上の販売取引を言います。

※2 完成度基準支払条件付販売とは、財貨が引渡される前、又は財貨が利用可能となる前に、その代価を当該財貨や役務の完成度により分割して受ける約定により供給する取引を言います。

※3 中間支払条件付販売とは、①財貨が引渡される前、又は財貨が利用可能となる前、或いは役務提供が完了される前に、②契約金以外の代価を分割して支払を受ける場合で、③契約金を受けることにした日から財貨が引渡される日・利用可能となった日、又は役務提供が完了する日までの期間が6ヶ月以上の販売取引を言います。

 

2. 役務の供給時期


(1)  一般的な基準

役務の供給時期は、役務が提供される時、又は財貨施設物や権利が使用される時です。ここでの役務が提供される時とは、役務供給が完了した時点で、役務提供が完了して当該役務の供給を受ける者が役務提供の産物としてのその効力を享受できる時点を言います。

 

(2)  具体的な基準

区分

役務の供給時期

一般的な
場合

①通常的な供給の場合

役務提供が完了した時

②完成度基準支払・中間支払・長期割賦、又はその他条件付で役務を供給するか、その供給単位を区切りできない役務を継続的に供給する場合

 

代価の各部分を受けることにした時

但し、長期割賦、又は供給単位を区切りできない役務を継続的に供給する場合、供給時期到来前に税金計算書などを交付する場合は、その交付日

③上記基準を適用できない場合

役務提供が完了し、その供給価額が確定される時

特殊な
場合

①代金期日の約定のない建設役務の供給時期

建設役務の提供が完了する時

②完成度基準の支払日が明示されていない場合

請負金額が決定され代金支払を受けることができる時

③出版物による広告役務の供給時期

出版物が事実上出版される時

④みなし賃貸料の供給時期

予定申告期間、又は課税期間の終了日

⑤2課税期間以上にかけて不動産賃貸役 務を供給し、その代価を前払い、又は後払いで受ける場合、月数により按分計算した賃貸料

予定申告期間、又は課税期間の終了日

 

3. 供給時期の擬制

 

付加価値税法では財貨及び役務の供給時期以前にその供給代価の全部、又は一部を受け税金計算書、又は領収証を発給する場合、その発給する際に取引の実際性が確保されたものとみさなれ、その時を財貨及び役務の供給時期とみなします。

 

供給時期の擬制は、供給代価を伴う場合のみ認められるため、代価を伴うことなく供給時期前に税金計算書を交付する場合は、供給時期の擬制が成立せず、この際に交付する税金計算書は事実と異なる税金計算書になります。これは供給を受ける事業者が代価を支払わず供給時期前に予め税金計算書の交付を受け、不当に仕入税額控除を受けることを防ぐためのものです。

 

但し、下記の場合は供給時期の擬制の特例事項で、供給時期前に代価の受取なく税金計算書を交付しても、その際を正当な供給時期とみなします。

 

1) 下記要件の1つに該当する事前発行税金計算書の交付時期

① 税金計算書の事前発行以後7日以内に代価の支払を受けた場合

② 税金計算書の事前発行以後7日経過30日以内に代価の支払を受けるものの、

ⅰ) 取引当事者間の契約・約定書に代金請求時期及び支払時期が別途記載されており、

ⅱ) 代金請求時期と支払時期との間の期間が30日以内であること

 

2) 長期割賦販売など下記取引に該当する税金計算書の交付時期

 

① 長期割賦販売の供給取引

② 電力等、その他供給単位を区切ることのできない財貨を継続的に供給する場合の供給取引

③ 通信等、その供給単位を区切ることのできない役務を継続的に供給する場合の供給取引

 

このような長期割賦販売等は、契約内容により実際に財貨が引渡されたか、或いは役務提供が行われていることにより、仕入税額不当還付という問題が発生しないため、正当な交付時期と認定します。

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