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【韓国の会計・税務レポート】海外金融口座に対する申告制度

海外金融口座を保有している居住者及び内国法人は、海外金融口座の残高の合計額が10億ウォンを超過する場合、当該海外金融口座に対する情報を翌年6月末までに申告しなければなりません(国際租税調整に関する法律第34条)。この制度は、域外脱税を防止し、課税衡平性を高めるため、域外金融情報の収集方案の一環として2010年12月に導入され、2011年6月に初申告が行われました。初申告で525名が11.5兆ウォンを申告して以来、国税庁の事前申告に対する案内や、未申告者に対する事後検証等の持続的な努力により、2017年6月の申告では1,133名が61.1兆ウォンを申告しました。2017年分に対する申告期限は、6月30日が土曜日であるため、2018年7月2日になります。

韓国の海外金融口座申告制度は、2013年12月末現在における国外財産に適用され、2014年3月15日まで初めて行われた国外財産調書制度と類似しています。日本の2012年の税制改正要綱では、国際課税について国際的租税回避を防止し、日本の適切な課税権を確保するため、一定額を超過する国外財産を保有している個人に対し、その保有する国外財産に関する調書の提出が必要となりました。

 

1.申告義務者

申告対象年度の終了日を基準に判定された居住者及び内国法人のうち、海外金融機関に開設された海外金融口座の残高が、当該年度の毎月末日のうち何れか1日でも10億ウォンを超過する場合、申告しなければなりません。2017年税法改正を通じて申告基準金額が5億ウォンへと強化されたため、2019年に申告が行われる2018年分について留意する必要があります。

日本の国外財産調書制度(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律)では、毎年12月31日現在における国外財産の合計が5,000万円を超過する居住者(非永住者を除く)が申告義務者になります。

韓国の海外金融口座申告制度では内国法人も提出義務者に含まれますが、日本の国外財産調書制度では居住者のみ申告対象者となり、申告対象基準金額は2018年から各々5億ウォン及び5千万円になるため、ほぼ同等の水準になります。

 

2.申告対象海外金融口座

海外金融口座申告制度での申告対象海外金融口座とは、海外金融会社に銀行業務、証券及びデリバティブ取引等の金融取引のために開設された口座を言い、ここで海外金融会社とは、国外に所在する金融業、保険及び年金業、金融及び保険関連サービス業及びこれと類似した業種を営む金融会社を言います。申告義務者は、海外金融口座で保有した現金、株式、債券、集合投資証券及び保険商品等全ての資産を申告しなければなりません。しかし、海外資産でも海外金融口座で保有しない資産は海外金融口座の申告対象から除外されます。即ち、海外不動産の取得・賃貸現況や海外に直接投資して設立した海外現地法人の現況等は、提出対象から除外されます。

なお、日本の国外財産調書制度では、全ての国外財産を申告対象としています。

 

3.海外金融口座申告時の留意事項

在外国民及び外国人も居住者に該当する場合、申告義務が発生します。但し、国内に居所をおいた期間が2年間183日以下の在外国民、及び居所をおいた期間が10年間の内5年以下の外国人には、申告義務が免除されます。

 

居住者及び内国法人は、海外事業場、又は支店が保有した海外金融口座も含めて申告しなければならず、国内の親会社は、租税条約未締結国に所在する100%海外現地法人(子会社・孫会社等)が保有した海外金融口座についても自ら保有したことと同様にみなして申告しなければなりません。

 

4.申告義務不履行時の不利益

申告期限内に申告を怠ったり、過少申告した場合は、未(過少)申告金額の最大20%に相当する過料が賦課され、自発的に修正申告するか、或いは期限後申告をする場合は、過料の最大70%まで軽減を受けることができます。過料の賦課基準及び軽減基準は以下の通りです。

 

<未(過少)申告時の過料の賦課基準>

未(過少)申告金額

過料

20億ウォン以下

当該金額×10%

20億ウォン~50億ウォン

2億ウォン+20億ウォン超過金額×15%

50億ウォン超過

6.5億ウォン+50億ウォン超過金額×20%

 

<修正(期限後)申告時の軽減基準>

区分

修正申告時点

期限後申告時点

過料軽減基準

申告期限が
経過した後

6ヶ月以内

1ヶ月以内

過料の70%

6ヶ月~1年以内

1ヶ月~6ヶ月以内

過料の50%

1年~2年以内

6ヶ月~1年以内

過料の20%

2年~4年以内

1年~2年以内

過料の10%

 

上記の過料とは別に、未(過少)申告金額に対する資金出所疎明の要求を受ける場合、誠実に疎明する義務があり、未(偽造)疎明時には20%の過料が追加に賦課されます。また、未(過少)申告金額が50億ウォンを超過する場合、刑事処罰を受けるか、或いは人的事項等が公開されることもあります。

日本の国外財産調書制度では、未(過少)申告金額に対し直接に過料が賦課されることはありませんが、申告漏れの国外財産に対する所得税が過少申告された場合は、過少申告された所得税の5%相当額が加算税として課税されます。なお、偽造で記載して提出した場合、或いは政党な理由なく提出しない場合は、1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金が賦課されます。

 

5.申告褒賞金

海外金融口座の未申告者についての重要な資料(口座番号、残高等)の情報を提供した場合、最高20億ウォンまで褒賞金が支払われます。

 

- 以上 -

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