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【韓国の会計・税務レポート】外国納付税額控除制度

内国法人及び居住者(以下、‘内国法人等’という。)の国外源泉所得は、源泉地国である外国で一次的に課税されると同時に、居住地国である韓国でも国内源泉所得と合算され課税されます。従って、内国法人などの国外源泉所得に対しては、韓国と源泉地国で税金が同時に賦課される国際的二重課税問題が発生します。

 

このような国際的二重課税を防止するため、韓国の税法では外国納付税額控除制度を規定しています。内国法人等は、所得金額に国外源泉所得が含まれており、その国外源泉所得に対し源泉地国で税額を納付したか、又は納付する額がある場合は、一定金額を限度として外国納付税額を税額控除する方法と、外国納付税額を損金算入する方法のいずれかひとつを選択して適用を受けることができます。

 

今回は、韓国の税法で規定している外国納付税額控除制度について説明します。内国法人と居住者に対する外国納付税額控除制度は、幾つかの事項を除いてはほとんど同一に適用されるため、内国法人に対する外国納付税額控除制度を重点的に説明し、内国法人と居住者に対する外国納付税額の差異部分に対しては別途説明します。

1. 外国納付税額の範囲

 

(1) 直接外国納付税額

 

直接外国納付税額とは、各事業年度の課税標準金額に含まれる国外源泉所得に対し、外国政府(地方自治団体を含む)により課税され納付したか、又は納付することが確定された金額で、以下の税額(加算税及び加算金は除く)を言います。

 

①    超過利潤税及びその他法人の所得等を課税標準にして課税された税額

②    法人の所得などを課税標準にして課税された税額の付加価値税

③    法人の所得等を課税標準にして課税された税額と同一な税目に該当するもので、所得以外の収入金額、又はこれに準ずるものを課税標準として課税された税額(例えば、利息、配当などの投資所得に対する税金)

 

従って、上記①、②、③に該当しない税目は、直税外国納付税額に該当しません。即ち、韓国の付加価値税のような間接税や直接税であっても所得に対し課税されない税額(例えば、法人の収入金額、生産量等に対し課税されるもの)は直接外国納付税額に該当しません。

 

(2) みなし外国納付税額

 

国外源泉所得のある内国法人が、租税条約の相手国で当該国外源泉所得に対し法人税減免を受けた場合、減免を受けた税額相当額は、その租税条約で定める範囲内で外国法人税額とみなされます。みなし外国納付税額に該当するためには、相手国の他の特別法により租税減免を受けなければならず、締結された租税条約でみなし外国納付税額控除を規定していなければなりません。

 

[事例]

a. 投資相手国で発生した国外源泉所得:100ウォン

b. 投資相手国の税法上 同所得に対する源泉徴収税率:20%

c. 投資国と投資相手国との間に締結された租税条約上制限税率:10%

d. 同国外源泉所得に対する投資相手国の特別法上源泉徴収税率:7%

 

直接外国納付税額 = 100 x 7% = 7ウォン

みなし外国納付税額 = 100 x (10% – 7%) = 3ウォン

 

(3) みなし外国納付税額

 

内国法人の各事業年度所得に外国子会社からの収入配当金額が含まれている場合、その外国子会社の所得に対し賦課された外国法人税額のうち、当該収入配当金額に対応する間接外国納付税額は、税額控除、又は損金算入の対象となります。

 

(4) 外国Hybrid事業体を通した国外投資時の外国納付税額

 

内国法人の各事業年度所得に、外国法人より受けた収入配当金額が含まれている場合で、その外国法人の所得に対し出資者である内国法人が直接納税義務を負担するなど、韓国の税法で規定している一定要件を備えた場合には、その外国法人の所得に対し出資者である内国法人に賦課された外国法人税額のうち当該収入配当金額に対応する税額は、税額控除、又は損金算入の対象となります。

 

2. 外国納付税額控除の方法

 

外国納付税額控除の方法には、税額控除方法と損金算入方法とがあり、内国法人はいずれかひとつを選択して適用を受けることができます。

 

(1) 外国納付税額控除の方法

 

外国納付税額を当該事業年度の法人税額から控除する方法で、以下の金額を限度として控除を受けることができます。

 

控除限度 = 法人税算出税額 × 国外源泉所得 ÷ 当該事業年度の課税標準

 

外国納付税額が上記の控除限度を超過する場合、その超過金額は当該事業年度の次期事業年度開始日から5年以内に終了する各事業年度に繰り越して、その繰り越された事業年度の控除限度範囲内で控除を受けることができます。

 

(2) 外国納付税額損金算入の方法

 

国外源泉所得に対し納付したか、又は納付する外国法人税額を、各事業年度所得金額を計算する際に損金に算入する方法で、この場合に控除限度はありません。

 

 

3. 外国納付税額の換算及び控除時期

 

(1) 外国納付税額の換算

 

外国納付税額を税額控除、又は損金算入するためには、外貨で納付した税額をウォン貨に換算しなければなりません。

外国納付税額のウォン貨換算は、税額を納付した際の外国為替取引法による基準為替レート、又は財政為替レートによります。仮に、当該事業年度中に確定された外国納付税額が納期未到来等により未納の場合、その事業年度終了日現在の基準為替レート、又は財政為替レートによって、又、事業年度終了日以後に確定された外国納付税額は、確定日以後最初に納付する日の基準為替レート、又は財政為替レートによります。

 

(2) 外国納付税額の控除時期

 

外国納付税額は、当該国外源泉所得が法人税課税標準金額に算入されている事業年度の算出税額から控除するか、又は損金に算入します。

 

4. 控除税額計算書の提出

 

外国納付税額控除を受ける法人は、法人税課税標準申告と共に、外国納付税額控除計算書を納税地管轄税務署長に提出します。

この場合、外国政府の国外源泉所得に対する法人税決定通知の遅延、課税期間の相違等の理由により、課税標準申告と共に提出することができない場合は、外国政府の法人税決定通知を受けた日より45日以内にその証憑書類を添付して提出します。

また、外国政府が決定した法人税額を更正することにより外国納付税額に変動が生じる場合は、その変動通知を受けた日から45日以内にその事実を証明する書類を添付して提出します。

 

5. 内国法人と居住者との外国納付税額控除制度の比較

区分

内国法人

居住者

適用対象所得

制限なし

制限なし

損金(必要経費)算入方法

制限なく適用可能

事業所得及び譲渡所得の場合のみ適用可能

控除限度の計算方法

課税標準按分計算

所得金額按分計算

税額控除限度超過額の繰越控除

5年間繰越控除

5年間繰越控除

*退職所得税、譲渡所得税は繰越控除不可

間接外国納付税額控除

あり

あり

 

 

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