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臨時投資税額控除の再導入

企画財政部は、2023年4月11日付で半導体等国家戦略技術に対する投資税額控除率の
上向調整を内容とする租税特例制限法改正案(いわゆる、Kチップス法)を公布すると、
去る10日発表しました。
投資税額控除は、企業が各種資産に投資し、
その投資額の一定比率分を法人税から控除を受ける制度です。
今回再導入された臨時投資税額控除により、企業は今年1年間投資した金額に対し、
一時的により多くの控除を受けることになります。

韓国の輸出で最も大きな割合を占めていた半導体業況の不振は、
国家経済全体に悪影響を及ぼしています。
4月11日付で関税庁が発表した輸出入統計によると、
4月1日~10日の輸出額(通関基準暫定値)は140億2700万ドル(約18兆5000億ウォン)で、
昨年同期に比べ8.6%減少しました。
同期間、貿易収支の赤字も続き、
今年累積した貿易赤字は250億ドル(約32兆9800億ウォン)に増えました。
これらの輸出指標には、半導体の輸出減少が大きな影響を及ぼしました。
韓国の主力輸出品目である半導体は、昨年8月から今年3月まで
月間基準で8ヶ月連続して前年比輸出が減少しています。

悪化した国内外経済環境の中で、企業が果敢で、かつ先制的な投資を通して
景気反騰時期にさらに大きく跳躍し中長期的に将来競争力を備えられるよう、
12年ぶりに臨時投資税額控除を再導入することにしたとのことです。
臨時投資税額控除は、1982年の第2次石油ショックの時期に
投資を支援するため初めて施行されました。
その後、1997年の通貨危機の時期にも企業活力を高める対策として
臨時投資税額控除が施行され、インターネット・バブルで投資が萎縮した2000年代初めには
過去最大水準の15%の控除率を適用する等、危機克服に向けた企業投資の足場となってきました。

今回は、再導入された臨時投資税額控除について紹介します。

 

1.控除率の上向調整

臨時投資税額控除は2つの部分で構成されますが、企業は、
①基本控除率の上向調整により今年の投資金額に対し2~6%増加した税額控除を受けることになり、
②投資増加分控除率の上向調整により直前3年に比べ増加した投資金額に対しては
10%の追加控除を受けることになります。

 

区分

 

①当期分基本控除率の上向調整

+

②投資増加分控除率の上向調整

 

大企業

中堅企業

中小企業

一般

 

1 ⇒ 3

5 ⇒ 7

10 ⇒ 12

3 ⇒ 10

新成長・源泉技術

 

3 ⇒ 6

6 ⇒ 10

12 ⇒ 18

国家戦略技術

 

15

15

25

4 ⇒ 10

 

投資税額控除額は、(投資額×当期分控除率)+(3年平均比投資増加分×投資増加分控除率)
で算定されます。
例えば、大企業が新成長・源泉技術事業化施設に毎年1,000億ウォンを投資し、
今年500億ウォンを追加で投資(合計1,500億ウォン投資)する場合、
140億ウォン(=当期投資額×6%+投資増加分×10%=1,500×6%+500×10%)の
臨時投資税額控除を受けることになります。

 

2.繰越控除

企業は、2024年に納付すべき2023年帰属所得に対する法人税の一部に対し
控除を受けることになりますが、2023年に欠損が発生して納付する税金がないか、
或いは税額控除額より納付する税額が少なく臨時投資税額控除を
一度に控除を受けることができなくても、残った金額は今後10年間繰越控除となります。

 

3.事業用設備・施設への投資

臨時投資税額控除の対象となる投資は事業用設備及び施設に対する投資で、
土地・建築物、中古品購買等は臨時投資税額控除の対象から除外されます。
即ち、土地、中古品等のように、国内総生産(GDP)に影響を及ぼさないもの、
或いは建築物、車両等生産と直接的な関連性の低い項目の購買に対しては適用されません。

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