- 2012年4月12日
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韓国、IFRSの導入
国際会計基準(IFRS)は、国家間経済活動が多くなり、国際資本市場が活性化し、統一された会計基準の必要性が高まりとなり誕生しました。2005年EU会員国内の25カ国全ての上場企業が適用し、現在はオーストラリア、南アフリカ共和国、中国、ブラジル及び韓国などの120カ国が導入しているか、導入を準備しています。
会計基準間の差異を調整しながら既存自国の会計基準を固持していた米国と日本も、このような世界的な勢いに逆らえずIFRSを導入することを発表しました。日本金融庁によると、日本企業のIFRSは2015年及び2016年に段階的に導入するものの、最終導入決定は2012年に行われる予定です。
韓国は2007年3月、全世界的に起きている会計基準の単一化の勢いや韓国企業の国際化に歩調を合わせるため、「国際会計基準導入ロードマップ」を発表し、2011年から韓国採択国際会計基準(以下、“K-IFRS”)を全ての上場企業に優先適用し、2009年より早期適用できるようにしました。
K-IFRSの導入を通して韓国企業は国際社会で会計透明性に対する信頼度を向上させ、グローバル企業間の比較可能性も高め、究極的には企業価値に肯定的な影響を及ぼすと期待しています。
1. K-IFRSとは
K-IFRSとは、IFRSを韓国語に直訳して韓国の会計基準として採択したもので、韓国がIFRSを公式的な手続きを経て、本来の趣旨通りに導入するという意味で、韓国採択国際会計基準、英語ではK-IFRSと表記することになりました。
K-IFRSは、IFRSを韓国の実情に合わせて調整する過程で発生した番号体系、適用範囲、施行日及び経過規定などの形式的な差異はありますが、IFRSとK-IFRSとは事実上同じです。
従って、K-IFRSにより作成された財務諸表はIFRSにより作成された財務諸表と同一であると注記することができ、この財務諸表は世界の様々な国でIFRSによる財務諸表と認められ、誰でも有用に利用することができます。
2. IFRSの特徴及びIFRSの導入による影響
(1) 原則中心の会計基準
原則中心の会計基準とは、具体的かつ詳細な会計処理方法を提示するのではなく、取引の経済的実質に着目して合理的に会計処理できるように基本原則及び方法論を提示する考え方です。また、原則に則している限りにおいて、会計処理の多様性を認めています。
K-IFRSを適用する韓国の企業は既存の規定中心の会計処理から外れ、企業の多様なビジネスや経済的実質を反映して財務諸表を作成することができるようになりました。
(2) 連結財務諸表中心の会計基準
IFRSでは個別財務諸表ではない、支配会社と従属会社との財務諸表を合わせた連結財務諸表を主な財務諸表として活用しなければなりません。
連結財務諸表を主財務諸表にしたことは、支配会社と従属会社の財務諸表を合算することによって関係会社間の内部取引を通して財務諸表を有利に作成する余地を相当部分なくしました。
(3) 公正価値評価を強調する会計基準
IFRSでは取得当時の原価で記録していた資産及び負債について公正価値で評価できるように許容するか、或いは公正価値で評価するように強制することによって、資産及び負債に対する公正価値評価の適用を拡大しました。
これにより、財務諸表が企業の財政状態や経営成績をより現実的に反映することができるようになりました。
(4) 注記を強調する会計基準
IFRSは原則中心の会計基準であるため、注記により資本市場に会計処理の判断根拠と説明を詳細に知らせなければなりません。
従って、規定中心の会計基準に比べ、相対的に注記すべき内容がより多くなり、注記の重要性もより高くなります。
3. IFRSの適用時期及び義務適用対象
(1) 適用時期
2011年より上場法人及び金融会社はIFRSを義務適用しなければなりません。金融会社ではない場合には、各会社の選択によって2009年からIFRSを早期適用することもできました。但し、企業の状況及び経済環境に及ぼす影響などを考慮して、上場企業のうち資産2兆ウォン未満の企業は四半期・半期財務諸表に対しては2012年まで連結財務諸表の作成を免除しています。
また、非上場法人は財務諸表の作成負担を減らすため、便宜的に簡略化して制定された一般企業会計基準を適用することができます。
従って、大きな枠では2011年より韓国の会計基準はK-IFRSと一般企業会計基準とで二元化されたとも言えます。
[韓国の会計基準適用体系]
区分 | 2008年まで | 2009~2010年 | 2011年以後 |
IFRS早期適用企業 | 企業会計基準 | K-IFRS | |
上場法人及び金融会社 | 企業会計基準 | K-IFRS | |
非上場法人 | 一般企業会計基準 |
(2) 義務適用対象企業
2011年1月1日以降に開始される会計年度よりK-IFRSを適用して財務諸表を作成すべき会社は以下の通りです。
① 資本市場と金融投資業に関する法律による株券上場法人
② 当該事業年度又は翌年事業年度中に、株券上場法人になることを希望する株式会社
③ 金融持株会社法による金融持株会社
④ 銀行法による金融機関
⑤ 資本市場と金融投資業に関する法律による投資売買業、投資仲介業者、集合投資業 者、信託業者及び総合金融会社
⑥ 保険業法による保険会社
⑦ 与信専門金融業法によるクレジットカード業者