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K-IFRS導入により変わる主要会計処理基準

韓国版国際会計基準(以下、「K-IFRS」という)の導入により変わる主要会計処理基準及び当該会計処理基準の変更による影響について説明します。

 

 

1. 棚卸資産の評価方法

 

K-IFRSが導入されると、棚卸資産の会計処理方法の1つである後入先出法を適用することができなくなります。後入先出法とは、最も新しく取得されたものから払い出しが行われ、期末棚卸品は最も古く取得されたものからなるとみなして価額を算定する方法です。

 

K-GAAPでは後入先出法が容認されているため、石油、ガスなどの多くの会社では後入先出法を採用していましたが、K-IFRSの導入により先入先出法又は加重平均法で棚卸資産の会計処理を行わなければなりません。

 

一般的に時間が経過すればするほど物価は上昇するものであるため、後入先出法を採用してきた会社がK-IFRSを導入すると、売上原価は減少し、棚卸資産価額は増加するため、当期純利益が増加する効果があります。

 

 

2. 有無形固定資産の評価方法及び減価償却方法

 

(1) 評価方法

 

K-GAAPでは有無形固定資産の評価方法として、取得原価で計上する原価モデルが採用されていますが、K-IFRSでは公正価値を反映する再評価モデルを選択して適用することができるようになりました。即ち、K-IFRSでは有無形固定資産を取得原価で計上する方法、或いは公正価値で再評価して計上する方法のうちの1つを選択して適用することと規定しています。

 

 

再評価モデルを採用する場合、定期的に再評価を実施して帳簿価額を公正価値で計上しなければなりません。有無形固定資産の再評価による損益の認識方法は以下の通りです。

区分 公正価値が増加する場合 公正価値が減少する場合
包括損益計算書 その他包括損益として認識 

(但し、過去に再評価減少額を当期損失と認識した金額がある場合、

当該金額までは当期利益として認識)

 

当期損失として認識 

(但し、再評価剰余金残高がある場合には、

その金額を限度に再評価減少額をその他包括損益として認識)

 

財務状態表 再評価剰余金(資本)に計上 

(但し、当期利益と認識された金額は利益剰余金として処理)

 

利益剰余金の減少として処理 

(但し、その他包括損益と認識された金額は再評価剰余金の減算として処理)

 

 

 

 

 

 

 

K-IFRSの導入により有無形固定資産の評価方法に再評価モデルを採用すると、従来の原価モデルに比べ、有無形固定資産の公正価値変動による資産及び損益の変動が大きくなります。

 

(2) 減価償却方法

 

K-IFRSでの有形固定資産の減価償却方法などは、資産の将来の経済的便益が消費される形態を反映する体系的な方法で決定することとしており、実務上では定額法が最も一般的な減価償却方法とされています。従来多くの企業が採用した定率法は、機械装置などの資産の便益消費が購入初期に集中的に発生することを証明しなければ使用することができません。

 

また、K-IFRSを導入すると、有形固定資産の残存価額、耐用年数及び減価償却方法は、少なくとも毎会計年度末に再検討しなければならず、再検討の結果、残存価額などに対する予測が以前の見積りと比べて異なる場合には、会計上の見積りの変更として、当期以降の期間に向かって会計処理しなければなりません。一方、K-GAAPでは減価償却方法の変更を、会計上の見積りの変更ではなく、会計方針の変更とみなして、遡及的に(過去の会計期間にも変更された方法を適用したものとみなして)会計処理し、残存価額と耐用年数も毎会計年度末に再検討する義務は定められていません。

 

従って、IFRSを導入する場合、毎会計年度末に有無形固定資産の残存価額及び耐用年数などに対する検討が必要となりました。

 

 

3. 退職給与債務の推定

 

K-GAAPでは清算価値の概念を採用しているため、会計年度末現在において、全役職員が一斉に退職する場合に支払うべき退職金相当額を退職給与債務として計上しますが、K-IFRSでは予測給与債務の概念を採用し、将来に役職員が退職する場合に支払うべき将来の退職給与を賃金上昇率、市場収益率などを考慮して退職給与債務と推定して計上することにしています。

 

従って、K-IFRSに転換する際、退職給与債務見積りに専門性が要求され、保険数理の仮定変動により退職給与債務額が変動し、負債比率に影響を及ぼすとみられます。

 

 

4. 機能通貨制度の導入

 

K-IFRSでは、期中は会計帳簿を機能通貨で作成管理し、決算時に表示通貨に換算する機能通貨会計を導入しています。

 

機能通貨とは、営業活動が主に行われる経済環境の通貨で、ある企業が地理的には韓国に所在するが、営業活動と関連した代金の受取や決済は円建で行われる場合、円貨が機能通貨になります。

 

K-GAAPでは取引時点ごとに外貨金額をウォン貨に換算して会計帳簿に記録し、決算時に再び決算日の為替レートを適用してウォン貨に換算します。しかし、K-IFRSによって円貨を機能通貨とすると、取引時には当該円貨金額をそのまま会計帳簿に記録し、最終財務諸表はウォン貨で報告しなければならないため、決算時には円貨で表示された全ての資産及び負債を決算日の為替レートで1回だけウォン貨に換算します。

 

従って、K-IFRSによって機能通貨を導入する場合、取引時及び決算時の為替レートの変動による為替評価損益が認識されないため、為替評価損益による財務諸表の歪曲表示が是正すると思われます。

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